マルチタスクとは?そのメリットとデメリット。仕事に生かすコツを解説

2022-11-14

大後 ひろ子

C-OLING代表 ブランディングコンサルタント

組織その他

マルチタスクとは「複数のタスクを同時進行すること」を指します。元々は コンピューター用語として同時に違う情報処理をすることを指していました。現在では日常生活、ビジネス、また医療業界でも重要なスキルとして位置づけられています。
今回の記事では マルチタスクの基本的な意味とメリット、マルチタスクを有効的に活用する方法等について解説します。

管理職はチーム全体の仕事を把握して仕事を細分化し、部下へ与えなくてはなりません。  また1度各部下へ与えた仕事の進捗や品質などもチェックします。何人も部下を持つ管理職者には、それぞれの仕事と全体をマネジメントするためにマルチタスクが求められるのです。

医療従事者は毎日、突発的な出来事で人の生死にかかわる仕事を複数同時に行っています。つまりひとりの患者だけに対応するわけにはいきません。医療従事者は、新人にマルチタスク能力を鍛えるための模擬的なシナリオベース訓練も行われるほど、マルチタスクが求められる職業なのです。

マルチタスクとは

様々な情報が飛び交う現在において重要視されているマルチタスクの意味や、シングルタスクとの違いについて解説します。

マルチタスクの意味

マルチタスクとは現代において「複数のタスクを短時間で切り替えながら同時進行すること」を指します。元々はコンピュータ用語として使われていたものです。今では当たり前となっている、「ひとつのコンピュータが一度の複数のタスク(情報)処理をすること」を指します。

マルチタスクは日常的に使われています。例えば料理をしながら掃除したり、スマートフォンをさわりながら映画を見ることもマルチタスクといいます。またビジネスシーンでは、電話をしながらメモを書いて部下に指示を出したり、コピー機での印刷を待つ間にメールを返信するなど、2つ以上の作業を行っていれば、それはマルチタスクです

マルチタスクとシングルタスクとの違い

シングルタスクは1つの業務や作業(タスク)が完了してから、ほかのタスクに着手する仕事の手法です。


元々は1980年頃のまだまだ性能が低かったパソコンの、一度にひとつのアプリケーションソフトしか実行できないシステムに対して使われていたコンピュータ用語から発生したものです。

一度にひとつのタスクしか行えないシングルタスクに対して、 複数のタスクが行えるマルチタスクの方が優れているように捉えられがちですが、業務の内容や職場環境、本人の性格などによってどちらが効率的かは異なります。 両方のメリットやデメリット、特徴を理解した上で意識的に取り入れることが重要です。

マルチタスクが苦手な人の特徴
 

マルチタスクが苦手な人の特徴について解説します。自分自身や 組織のメンバーに当てはまっていないか確認すると良いでしょう。

完璧主義

マルチタスクが苦手な人の特徴として「完璧主義」な傾向があります。完璧主義の傾向がある人は、ミスをしないよう 1つの業務に集中する習慣がついているのでマルチタスクに向きません。 作業中に話しかけられたり、他の業務を頼まれるなどイレギュラーな対応をすることに対して大きなストレスを感じます。完璧主義傾向のある人は、シングルタスクで業務に当たる方が生産性を上げることができます。

スケジュール管理が苦手

マルチタスクが苦手な人の特徴には、 スケジュール管理が苦手な傾向があります。 複数の業務を同じタイミングで依頼されるとどこから手をつけていいのかわからなくなり、作業が止まってしまいます。その結果納期が遅れてしまい、 余計にスケジュールを圧迫することにつながります。

マルチタスクのメリット

マルチタスクのメリットについて解説します。

①同時進行で複数の仕事ができる

業務を行う上でイレギュラーな対応はつきものです。マルチタスクでは、 順序建てて1つの仕事を完了させるのではなく、複数の仕事を同時に進行するので、他の仕事を停滞させずに進めることができます。 そのため納期は締め切りが同じタイミングの業務を受けることも可能です。

②全体像の把握ができる

同時進行で複数の作業を進めていると、業務の全体像が把握できます。目の前の資料に目を向けることに終始せず、 多角的な視点から提案や行動をすることができるようになります。このように業務の全体を把握しておくことで、革新的な仕事を遂行することができます。

③コミュニケーションが活性化する

マルチタスクを活用すると、周囲との円滑なコミュニケーションにも役立てることができます。業務の全体像を把握できるため、連携する部署とスムーズに問題や課題を共有することができます。また、マルチタスクが得意な上司がいる組織では、 部下は上司とコミュニケーションが取りやすくなり、組織全体が円滑にコミュニケーションをとることができます。

④チームの業務が停滞しづらい

シングルタスクでは、納期と締め切りが同じタイミングの業務が一時的に止まってしまうリスクがあります。それは、その仕事に携わる関係者の業務まで止めてしまう可能性があるのです。一方マルチタスクでは、複数の仕事を同時に進行するので、他の仕事を停滞させずにチームの業務が停滞しづらいメリットがあります。

マルチタスクのデメリット

アメリカの実業家デボラ・ザック氏の著書によると「あたふたとせわしなく働いている社員たちは1日に500回も注意を向けるタスクを変えるが、もっとも能率の高い社員たちは注意を向けるタスクを変える回数が少ない」というハーバード大学の研究結果が紹介されています。

ここではマルチタスクのデメリットについて解説します。

①生産性が低下する

作業を切り替える際、集中力を元に戻すまでに約15分間の時間がかかるといわれています。
つまり、シングルタスクなら30分で終わる作業も1時間、2時間と余計な時間がかかってしまうことがあります。また、集中力を保てずに生産性の悪い状態が長時間続いてしまうため、脳にも体力的にも悪影響を及ぼすケースも出てくるでしょう。

②キャパシティがオーバーする 

シングルタスクは、作業工程がひとつなので目安も見積もりやすくなります。一方マルチタスクでは、シングルタスクの感覚で工数見積もりをしてしまった結果、作業の切り替え時に派生する時間のロスによってキャパオーバーを起こす可能性があります。

③焦ってしまう

マルチタスクを行っていると、「時間がなく慌ただしい」といった焦りの意識が脳に強い負荷をかけるため、時間に対するプレッシャーを強く感じるようになるのです。脳への強い負担は、時間が細切れになった感覚に陥ってしまい、目の前のことに集中できない「時間汚染」という現象を生み出します。

マルチタスクができるようになるには?
 

 

「効率も上がらないし、脳にも悪影響がある」と批判的な意見も数多いマルチタスクですが、仕事上必要と迫られる場合もあります。ここではマルチタスクを効率よく行う方法について解説します。

タスクシフト

一般的にタスクシフトとは、医師の仕事の一部を看護師など他の職種に任せることを指します。この取り組みは、一般の仕事にも生かすことができます。

タスクシフトのポイントでは、マルチタスクも多くのシングルタスクの集まりと考えます。あらかじめタスクを切り替えるタイミングを決めることで、脳がパニックを起こすことなく、効果的にタスクを切り替えることができるのです。

タスクシフトの方法

  1. その日の自分の業務をリスト化し、優先順位をつける
  2. 優先順位順に、30分間ひとつの業務に集中して取り組む
  3. 30分経ったら、別の仕事に取り掛かる

この時、30分以上かかる業務であっても、30分経ったら一旦その業務を止めて、別の業務に切り替えることでパフォーマンスを上げることが期待できます。

ポモドーロテクニック

ポモドーロテクニックとは、25分の作業時間と5分間の休憩で構成され、仕事や勉強において集中力を高め、生産性を上げるタイムマネジメント術です。

ポモドーロテクニックの方法

  1. やるべきことをリストアップする
  2. 25分のタイマーをセット 
  3. タイマーが鳴るまでタスクに集中
  4. タイマーがなったらリストにチェック
  5. 5分間の休憩を取ります
  6. ポモドーロが4回終わったら20分間の休憩を取ります。

To-Do リストだけでは見るだけでストレスを感じたり、集中力を継続させるのに限界があります。ポモドーロテクニックでは集中的な作業時間と短時間の頻繁な休憩によって、生産的にタスクをこなします。

まとめ

マルチタスクとシングルタスクには、それぞれにメリットとデメリットがあります。そして業務の内容や職場環境、本人の性格などによってどちらが効率的かは異なります。仕事を効率的に行う上でも、両方の特徴と本人の特性を理解した上で、意識的に取り入れることが重要です。

今回の記事を参考に、まずは日頃の仕事のスタイルを振り返り、脳に負担のかからない効率的な時間設定の元作業に取り組むよう心がけましょう。
 

WRITER

大後 裕子

C-OLING代表

生活用品メーカーで10年間企画職に従事し、企画立ち上げから海外工場との商談、販促まで商品開発のゼロから一貫して行い、多くの商品をブランディングし、リリース。 8年販売され続けるヒット商品を始め、開発商品点数累計約1,200点、約1,700店舗へ導入。ブランディングを主軸とした、経営コンサルティング、 社内教育の3つの事業を通して、多くの人の生活に豊かさを提供ができる企業を社会に増やしたいと考えています。