ブラック企業の特徴とは? 見分けるポイントや対処法について解説

2022-11-08

大後 ひろ子

C-OLING代表 ブランディングコンサルタント

労務リスクマネジメント

きれいなオフィスに充実の設備……誰もが羨むような会社に入ったものの「何かが違う!」と思ったことはありませんか? 毎日長時間の残業を強いられたり、休日のセミナー参加でプライベートが削られたり、労働に対する賃金が少なすぎたり……。何か思い当たることがあるのなら、あなたの会社は「ブラック企業」かもしれません。こちらの記事ではブラック企業の特徴などをわかりやすく解説するとともに、うっかりブラック企業に入ってしまったときの対処法もレクチャーします。自分や親しい人の身を守ることにもつながりますので、ぜひ内容を確認してみてください。

そもそも、ブラック企業とは?

ブラック企業とは、劣悪な環境の中で従業員を働かせたり、過酷な労働を課したりする企業のことをいいます。ブラック企業については、明確な基準があるわけではありません。しかし、厚生労働省は労働条件に関する総合情報サイト「確かめよう労働条件」の中でブラック企業の特徴を以下のように述べ、注意を促しています。

さらにブラック企業では、従業員に対する過度な選別が行われているといいます。被害を受けるのは主に若年層で、会社に使い捨てにされるケースもあるようです。

ブラック企業・7つの特徴

ブラック企業では労働基準法違反が横行しているケースも少なくありません。2012年にはブラック企業の頂点を決める「ブラック企業大賞」が創設され、毎年ランキング形式で会社名が発表されています。

ここでは、ランキングに名を連ねる会社の選抜理由から、ブラック企業と呼ばれる会社の特徴を見ていきましょう。

1)休憩なしの長時間労働

ブラック企業の最大の特徴といえるのが、1日の労働時間が極端に長いことです。厚生労働省では過労死ライン(健康被害につながる残業時間数)を定めていますが、これを超える残業を課している会社は明らかなブラック企業といえるでしょう。具体的には、ひと月の残業時間が80時間を超える場合で、この状態を6ヶ月以上続けた労働者が死亡した場合には過労死が認定される確率が高くなります。

2)休日が少ない・有休を取れない

ブラック企業は年間休日が少ないことも特徴です。一般に、年間休日の日数は120日前後とされていますが、ブラック企業は年間休日が100日に満たないケースも少なくありません。また、1人の従業員が担う業務量が大きいため、労働者の権利である有給休暇も自由に取得できないことが多いようです。

3)給料が最低賃金以下になる

労働時間に対する報酬額の少なさもブラック企業の特徴です。国は都道府県ごとに最低賃金を定めていますが、ブラック企業では最低時給額を下回るケースが少なくありません。たとえば、1日8時間/1ヶ月25日勤務している場合、1ヶ月の労働時間は200時間になります。この従業員の給料が月給18万円ならば時給は900円となり、東京都の最低賃金1,013円を大きく下回ってしまいます。

4)残業代が支払われない

残業の多い会社が必ずしもブラック企業であるとは限りません。しかし、従業員の労働(残業)に対して対価を支払わない会社は、明らかにブラック企業です。定時にタイムカードを打刻させた後も仕事をさせたり、みなし残業制や裁量労働制を悪用したりすることで、残業代の支払いを免れるケースもあるようです。

5)離職率が高い

一般にブラック企業は労働時間が長く、休日も少ないため、従業員には疲労やストレスが蓄積していきます。肉体的にも精神的にも過酷な環境であることが多いため、従業員が定着しないのも当然のことといえるでしょう。社内を見渡してみて、入社3年未満の従業員がほとんど、といった場合にはブラック企業である可能性が高いです。

6)休日に予定を入れられる

従業員のプライベートを尊重しないこともブラック企業の特徴の一つです。せっかくの休日に会議があったり、プライベートタイムに業務連絡が入ったり、セミナーなどへの参加を強制されるケースも少なくありません。本来、会社の命令で休日出勤した場合には手当が支給されますが、ブラック企業ではそれさえ支払われないことも多いようです。

7)ハラスメントの横行

社長がワンマンであったり、体育会系な精神論を振りかざしたりすることは、ブラック企業によく見られる特徴です。上司がその立場を利用して部下を威嚇するパワハラ、男女を問わずプライベートを詮索するセクハラ、言葉や態度で相手を傷つけるモラハラなど。労働組合や相談窓口のない会社では、こうしたハラスメント行為が当たり前のように行われているケースが少なくありません。

ブラック企業に入社してしまったらどうする? 

インターネットで簡単に情報を得られる時代になったとはいえ、会社の雰囲気や上司の人柄などを事前にリサーチするのは難しいでしょう。うっかりブラック企業に入社してしまったら、取るべき対応は2つです。

1)退職に向けて行動する

もしもブラック企業に入ってしまったら、できるだけ早く会社を辞めることをおすすめします。残念ながらブラック企業と呼ばれる会社では、どれだけ頑張っても報われないことが多いです。心と体を病んでしまう前に、会社に退職を申し入れましょう。会社側から引き留められたときのために次の勤務先を決めておいたり、「実家に帰る」などの口実を作っておいたりすると、スムーズに退社できるようです。

2)未払い分の残業代を請求する

残業をしたにもかかわらず報酬を得られていない期間があった場合には、サービス残業をした時間の残業代を請求しましょう。就業規則に記載された所定労働時間を超えて労働した/1日8時間を超えて労働した/1週間に40時間以上の労働をしたにもかかわらず残業代が支払われていない場合は、請求によって残業代を受け取れる可能性があります。

「ブラック企業」と呼ばれないよう、社内の環境をチェックしよう! 
 

 

ブラック企業の特徴は、長時間労働・残業代の不払い・休日が少ないなど劣悪な労働環境のもとで従業員を働かせていることです。これらに加えてパワハラやセクハラが横行し、さらに厳しいノルマを課されることにより、精神的に追い詰められる人も少なくありません。すべてのブラック企業に共通するのは、従業員を「人」として扱っていないことですが、あなたの会社はどうでしょうか? 従業員に愛される「ホワイト企業」になるためにも、ぜひ組織全体を見直してみてください。
 

WRITER

大場由佳

取材対象者の想いを伝えるWebライター

証券会社勤務を経て、印刷会社にてグラフィックデザインを学ぶ。キャリアップを目指した広告代理店では、企画・デザイン・ライティング・ディレクション業務などを幅広く手がける。出産を機にフリーライターとして活動をスタート。医療・グルメ・女性・スクール系など幅広いジャンルのWebサイトで記事を執筆し店舗取材を多数経験。取材時に寄せられる労務問題に対応する中で知識を深め、読みやすく・分かりやすい文章で発信中。