組織マネジメントの基本を解説!6つの必須スキルとフレームワークを紹介
2022-09-28
大後 ひろ子
C-OLING代表 ブランディングコンサルタント
組織組織開発
「組織マネジメント」は、企業の成長に合わせた人員拡大や新規事業設立を行う中で必要不可欠な仕組みの一つです。多くのビジネスリーダーが、会社やチームに向けられる従業員の愛着度(エンゲージメント)を高めようと、従業員の気分をその都度伺うのではなく、自走して成果の出る組織への成長を望んでいます。
そこで今回は、組織マネジメントの基本から、リーダーに求められるスキル、そして実際の取り組みに向けたフレームワークについてご紹介します。
組織マネジメント定義
同じ組織にいるはずなのに、モチベーションや取り組みの姿勢にばらつきがある。そのような組織では成果を生み出すことは難しいでしょう。あなたが組織をマネジメントする立場にいるならば、組織が同じ方向を向き、円滑に業務を遂行できる施策をすべきです。そのために4つの経営資源について理解し、最適な配分で活用することが重要です。
組織マネジメントとは?
組織を円滑に運営するために欠かせない4つの資源は以下の通りです。
- ヒト(スタッフなど)
- モノ(生産など)
- お金
- 情報
4つの経営資源の中でも特に「ヒト」のマネジメントは重要です。組織が目指すべき方向へ向かえるか否かは「ヒト」の働きにかかっています。
しかし、「ヒト」のマネジメントは個人の育ってきた環境や、その日の感情や体調、職場での人間関係などに左右されやすく、非常に難しい分野です。しかし自走できる組織を作るためには注力すべき経営資源でもあるのです。
組織マネジメントとリーダーシップの違い
組織マネジメントに取り組む上で、マネジメントとリーダーシップは混同されやすい言葉なので、ここで一度整理しておきましょう。
リーダーシップ
組織の目的達成のために集団をまとめ、積極的に導いていく能力。
マネジメント
組織に成果を上げる責任を持ち、戦略を立て、仕組みを作り計画を実行すること。
リーダーシップは集団を導く意味合いが強くあります。チームのメンバーにビジョンを掲げ、モチベーションを高めて引っ張っていくことが求められます。そのため、経営者や新規事業のリーダーにはこのリーダーシップが求められます。
一方マネジメントは目標達成のために組織の課題を明確にしていくことが求められます。そのために、現状を把握し、戦略を立て、仕組みや取り決めを設定し、目標達成までの管理や手段まで考える能力が求められます。
組織マネジメントのメリット
組織マネジメントを行う目的は、以下の2つです。
- メンバー一人ひとりの個性を把握し、パフォーマンスを最大化すること。
- メンバー同士が、強みや弱みを補完しあい、相乗効果によって組織を強化すること。
売り上げを上げるために、営業のエースが1人いたとしても時間は有限なため、できることは限られています。そこで、従業員一人ひとりの特性を理解した上で、
サポートが得意なメンバー、分析が得意なメンバーといった組織をマネジメントすることで相乗効果を発揮し、より大きな成果を生み出すことができるのです。
では、組織マネジメントを行うことでどんなメリットがあるか見ていきましょう。
組織全体のマネジメントで生産性が向上
日本の中小企業でマネジメントだけに従事している管理職は少ないと思います。いわゆるプレイングマネージャーと言われるもので、自らも成果を出しながら、マネジメントも行うことが求められています。
良いプレイヤーがそのまま良いマネージャーになるとは限りません。そこでマネジメント力を養うための施策が必要です。研修やセミナーなどのプログラムを通して、マネジメント力やマネージャーとしての責任感を養うことで、成果を生み出すチームの管理職としてのスキルや責任感を身につけることができます。
個々に合わせたマネジメントで生産性が向上
働き方の多様化やグローバル化が進展する中で、メンバーそれぞれの志向や適正、価値観を把握した上での采配が求められています。適正に合った采配をされた従業員はエンゲージメントが高まり、業務に集中ができます。その結果、一人ひとりが組織の課題に対して責任感が芽生え、より効果的な組織運営ができるのです。
管理職の負担軽減
プレイングマネージャーにとって、自分の仕事と部下の管理の両立は、多大な時間と労力を要します。
そこで、日常的に組織マネジメントができていると、自主的にパフォーマンスの高い仕事を行うチームメンバーが育成されています。その結果として、管理職の負担も軽減されるのです。
「7S」で組織の課題を設定する
組織マネジメントの手法として、組織を構成しているリソース(経営資源)を7つに分けて考えることができる「組織の7S」という考え方があります。これは世界的に有名なコンサルティングファームマッキンゼー・アンド・カンパニー社が提唱したものです。
- 戦略(Strategy)
- 組織(Structure)
- システム(System)
- スキル(Skill)
- 人材(Staff)
- スタイル(Style)
- 価値観(Shared Value)
自社の課題はさまざまな問題が絡み合い複雑に見えてしまいます。だからこそこの「組織の7S」を活用して課題を7つに分類し順序立てて解決していきましょう。
①戦略(Strategy)
企業が目指す目的を達成するために、何を行うべきか示す道筋
「企業戦略」「企業戦略」「企業戦略」の順に策定します。
②組織(Structure)
集団で働く上での形態や構造を指します。
パフォーマンスを最大化するために「機能別組織」「事業部制組織」「プロジェクト組織」に目的別に種類が分けられます。
③システム(System)
「ヒト」を動かすための制度です。
組織の目的達成に向けた活動を円滑にするための人事評価や報酬、情報の流れ、会計制度などが欠かせません。
④スキル(Skill)
営業力、技術力、マーケティング力など組織に備わっている能力
⑤人材(Staff)
組織の価値観を共有している、個々の人材とその能力
⑥価値観(Shared Value)
企業のビジョンに基づき全社で共通認識を持つ価値観
⑦スタイル(Style)
社内風土や職場環境などの組織の文化
組織マネジメントに必要な6つのスキル
目標設定力
組織の目的を理解し、その達成に向けた数値的目標の設定や、施策実施のための人員配置を的確に行える能力です。目標設定のポイントは、実現可能かつ達成可能なギリギリのラインに目標を設定することで、チームに程よい緊張感と達成感をキープし続けることができます。
計画力・推進力
目標達成に向けた、現実的なプロセスを把握し、必要な経営資源をヒト・モノ・お金・情報に割り振る力です。さらに目的達成に向けてこれらの資源がオンタイムで効果的に活用されているかをチェックし、調整する能力も必要です。
人材マネジメント力
成果を出すチームを形成するための、適材適所な人選をする力です。またメンバーの指導力も必要となります。マネージャー自ら率先して仕事を進めることで、部下のやる気を促進することはできますが、モチベーションが低い時でも成果を出せる仕組みを構築しておくことも重要です。
コミュニケーション力
組織を円滑に運営するために、2つのコミュニケーション能力が求められます。1つ目はチームメンバーに対して、2つ目はチーム外に対して必要とされます。
1つ目のチーム内に対してのコミュニケーションは、現場の目線で報告・連絡・相談がしやすい環境を作ることが重要です。2つ目のチーム外に対してのコミュニケーションは経営層やステークホルダーに対して売り上げや利益などの現状を理解してもらう高度なコミュニケーション能力です。
課題排除力
ビジネスでは日々、市場環境や顧客の変化などで様々な課題が立ち上がります。組織マネジメントにはこういった課題に対してリスクを察知する習慣や、イレギュラーを排除する施策に対する知識が必要です。
総合的評価力
チームメンバー一人ひとりに対して、総合的に平等な評価ができる力が求められます。組織の目標達成に向けて明瞭な基準に基づいた評価をすることで、メンバーの仕事へのモチベーションを維持することができるのです。
まとめ
組織マネジメントが効果的に機能することができれば、組織の生産性や従業員のエンゲージメントも高まります。そのためにも、形式的にマネジメントをするのではなく、経営資源である「ヒト」が最大限のパフォーマンスを発揮できるよう心がけることも重要です。
今回ご紹介した組織マネジメントの基礎や必要スキルを取り入れて、自走できる組織を作り、企業の目的・目標を達成していきましょう。
WRITER
大後 裕子
C-OLING代表
生活用品メーカーで10年間企画職に従事し、企画立ち上げから海外工場との商談、販促まで商品開発のゼロから一貫して行い、多くの商品をブランディングし、リリース。 8年販売され続けるヒット商品を始め、開発商品点数累計約1,200点、約1,700店舗へ導入。ブランディングを主軸とした、経営コンサルティング、 社内教育の3つの事業を通して、多くの人の生活に豊かさを提供ができる企業を社会に増やしたいと考えています。