確証バイアスとは?日常からビジネスへの影響と回避するためのポイントを解説

2022-10-20

大後 ひろ子

C-OLING代表 ブランディングコンサルタント

組織その他

確証バイアスとは、自分の考えた仮説を検証するときに、自分にとって都合の良い情報ばかりを集め、そうでない情報を無視してしまう傾向のことを指します。

確証バイアスは日常からビジネスシーンにおいても、本人の成長やモチベーションに大きく影響を与えます。今回の記事では確証バイアスの意味から、日常的に起きているものから、ビジネスにおける影響と回避するためのポイントまで解説します。

確証バイアスとは?

仕事やプライベートに大きな影響を与えている確証バイアスについて解説します。

確証バイアスとは何か?

確証バイアスとは、周囲の環境などの要因により非合理的な判断をしてしまう確証バイアスを指します。

確証バイアスがかかった状態だと、自分にとって都合のよいデータを集めるようになり、自分の意見や思想に強い自信を持つようになります。反対に自分にとって都合の悪いデータに対して目にしないよう避けたり、疑ったりします。その結果、自身を過大評価してミスをしたり、逆に過小評価して身動きが取れなくなってしまうことがあります。

日常に見る確証バイアス

私たちの生活に当たり前のように馴染んでしまっている確証バイアスについて解説します。

①血液型占い

A型は几帳面。B型は頑固。O型はおおらか。AB型は変わり者。血液型と性格のイメージを結びつけてしまうことが多いのではないでしょうか。しかし私たちは、仕事で何度もチェックをしたり、丁寧な資料づくりをしている人に対して、実際の血液型が違っても「几帳面だからきっとA型だろう」と思ってしまいます。これも確証バイアスの影響の一種なのです。また確証バイアスによって本人もこれらの血液型のイメージに合わせて行動をしてしまうケースもあります。

②人から嫌われているという思い込み

人間関係においても確証バイアスは大きく影響します。過去に人間関係で傷ついた経験からこれ以上傷つかないために「自分は人から嫌われている」という思い込みを持って、人から遠ざかろうとします。

この確証バイアスの影響は、人から褒められた場合でもお世辞と捉えて素直にその言葉を受け取れなくさせたり、人の気遣いに対しも「私のことが嫌いだから…」と全て悪い方向へ捉えるようになってしまいます。
このように全ての情報に対して、あえて「自分は好かれない」という思い込みを強化するような解釈を繰り返してしまいます。

③損切りできない

投資において損きりできない場合や、暴力やモラハラをする他人と別れられないという場合にも、確証バイアスが働いている可能性が高いのです。

確証バイアスにかかっていると、客観的な視点から見てやめた方が良いことにも「悪い点を見ようとせず、よい点ばかりにこだわって続けてしまう」ケースがあります。

確証バイアスを回避するためのポイント

正しく現実を捉えられなくなってしまい、仕事やプライベートに大きな影響を及ぼす確証バイアスを回避するためのポイントを解説していきます。

クリティカルシンキングをする

「クリティカルシンキング」とは、「批判的思考」と訳されます。「これは本当に正しいのだろうか」という視点を持って、先入観にとらわれず客観的にものごとを捉え、結論や判断の精度を高めていく思考法です。その際、反論や疑問を自ら生み出すことで、ものごとに対して様々な側面を見つけることができるようになります。

確証バイアス・先入観のきっかけを認知する

まず人は誰しも確証バイアスにかかる可能性があることを理解しておくことが重要です。先ほどのクリティカルシンキングを行う前にも、自身が確証バイアスにかかっている可能性を疑うことも重要になります。私たちには育ってきた環境や普段取り入れている情報によって「先入観」が存在します。この先入観が客観視を妨げる可能性があることを知っておくことは、確証バイアスを避ける上でとても有効です。そのためにも今までの情報収集の方法以外にも、広く新しい知見からデータを取り、ものごとを吟味することが重要です。

信頼できる第3者の意見に触れる

確証バイアスが作用しているときは、理性的に物事を判断できなくなってしまいます。この状態を改善するために、悩みが生じた場合、第三者の意見を聞く習慣を持つ事をオススメします。第三者を選ぶためのポイントは下記の通りです。

数値化された評価から考える

確証バイアスを避けるために、目の前の物事を数値で捉える習慣をつけましょう。事態を全体から見る確率や統計から考えられるようになると、目の前の悩みに確証バイアスがかかりにくくなります。例えば仕事でスランプに陥っても、他の人が成功するまでに行った行動の共通点を洗い出したり、自分が成功したときのパターンを書き出すことによって、客観的かつ建設的な行動を取れるようになります。

企業の中で起こる確証バイアス

企業の中で日常的に起きている確証バイアスについて解説します。

ハロー効果

企業においても確証バイアスは影響を与えています。例えば、採用活動において企業として「明るく優秀な人材」を求めて「一定ランク以上の大学出身者で、体育系部活動経験者」を理想の人物像として採用した際、この人物の瞬間的な活躍を見ると「この理想像は正しかった」と思い込みを強めてしまいます。

この場合「一定ランク以上の大学出身者で、体育系部活動経験者」ではない人物が活躍しても、「まぐれであろう」と数字や実際のデータに基づく正しい判断ができなくなってしまいます。

また、これらの確証バイアスは採用活動だけではなく、取引やチームビルディングにおいてもおこるため、感情ではなくデータを元にした客観的な視点を常に意識することが重要です。

寛大化傾向

寛大化傾向は、評価を行う物事に対して、全体的に高く評価してしまうことを指します。これは評価する側が批評家からよく思われたいという思いから生まれます。その反対に評価者が自分の専門分野において、全体の評価が低くなってしまう「厳格化傾向」も存在します。評価者は自身にとって未知の領域・専門領域に対して客観的な判断をすることを心がけましょう。

中心化傾向

中心化傾向は、両極端な評価結果を避けて標準的な評価結果に集まる心理現象です。例えばレストランのメニューで高価なAコース、真ん中のBコース、安いCコースと3つの選択肢が並ぶと、両極端な回答を避けて「なんとなく」真ん中のBコースを選んでしまう傾向があります。

組織においても評価基準が曖昧だと、何度もBの評価をしてしまいがちです。組織の成長を望む場合は、曖昧な評価を避ける仕組みの構築をすることで、メンバーのモチベーションを保つことにつながります。

まとめ

「確証バイアス」は、日常的に発生して誰しもがとらわれている可能性があるものです。だからこそ、「自分はもしかしたら、確証バイアスにとらわれているかもしれない」という想いを常に持つことが重要です。  今回の記事を参考に、ビジネスでもプライベートでも、特に自分にとって重要な意思決定をする際に「確証バイアス」にまどわされないように客観的視点を持つよう心がけましょう。
 

WRITER

大後 裕子

C-OLING代表

生活用品メーカーで10年間企画職に従事し、企画立ち上げから海外工場との商談、販促まで商品開発のゼロから一貫して行い、多くの商品をブランディングし、リリース。 8年販売され続けるヒット商品を始め、開発商品点数累計約1,200点、約1,700店舗へ導入。ブランディングを主軸とした、経営コンサルティング、 社内教育の3つの事業を通して、多くの人の生活に豊かさを提供ができる企業を社会に増やしたいと考えています。