年間休日の平均はどのくらい? 年間休日が多い業種や平均日数を解説
2022-11-02
大後 ひろ子
C-OLING代表 ブランディングコンサルタント
労務雇用管理
毎日頑張って働いているぶん、休日はのんびり過ごしたり、趣味を楽しんだりしたいですよね。仕事によってカレンダーどおりに休みが取れる人・取れない人がいると思いますが、1年間にいったい何日休んでいるのか、正確に把握している人は少ないのではないでしょうか? こちらの記事では、年間休日の基本的な知識をはじめ、事業規模や業種別で見た平均日数などをわかりやすく解説します。あなたの会社の年間休日は平均より上か?下か? ぜひチェックしてみてください。
そもそも、年間休日とは?
「年間休日」とはその名のとおり、会社が定める1年間の休日を合計したものです。労働基準法では法定休日(最低限の休日)を定めていますが、このほかに会社が任意に導入できる法定外休日があるため、年間休日(休日の合計日数)は会社によって異なります。一般によく知られている休暇の中にも、年間休日に含まれるもの・含まれないものがあります。
有給休暇
有給休暇(年次有給休暇)は会社が独自に設定する休暇制度ではなく、労働基準法に定められた労働者の権利です。1年間の付与日数は従業員によって異なるため、年間休日には含みません。
夏季(年末年始)休暇
会社の就業規則で「休日」として定められている場合、夏季休暇や年末年始休暇は年間休日に含まれます。夏季(年末年始)休暇のほか、ゴールデンウィークやシルバーウィーク中の休日、国民の祝日なども年間休日として考えます。
慶弔休暇など
従業員が休暇を取得できるのは労働基準法に定められた「法定休日」のほか、会社が任意で導入する「法定外休日」があります。本人や身内に慶事・弔事があった際に取得できる「慶弔休暇」や勤続年数に応じた「リフレッシュ休暇」などがよく知られています。こうした休暇を取得する・しないは従業員によって異なるため、年間休日には含みません。
年間休日の平均日数
厚生労働省による調査(令和2年就労条件総合調査)では、年間休日の平均日数が109.9日であったと報告されています。以下のように、会社の規模に比例して年間休日数も多くなる傾向があるようです。
従業員数 年間休日
1,000人以上 116.6日
300~999人 114.9日
100~299人 113.0日
33~99人 108.3日
またこの調査によると、年間休日を120日以上としている会社は全体の3割程度にとどまることが明らかになっています。こちらも年間休日数と同様に、会社の規模に関係しているようです。
従業員数 年間休日120日以上の割合
1,000人以上 51.5%
300~999人 44.9%
100~299人 37.6%
33~99人 28.0%
求人情報などで「年間休日120日」という表記を目にすることがあります。しかし、この基準は従業員数が1,000人以上の大企業でも約半分しかクリアしていないことがわかります。
年間休日120日と105日の違い
「120」と「105」、2つの数字を比べると前者が大きい数であることは明らかです。ではこれを実際の休日で考えてみるとどうなるでしょうか? 会社が土曜日・日曜日・祝日を休日としている場合を想定し、2021年のカレンダーで計算してみましょう。
2021年のカレンダーでは、土曜日と日曜日が合計104日あります。さらに祝日(振替休日を含む)が15日あるため、104+15=119日が年間休日となります。これらに会社が定める夏季(年末年始)休暇などが加わると、年間休日120日は余裕で超える計算です。リフレッシュ休暇の取得年にあたる従業員などは年間休日が130日以上になるケースもあるでしょう。年間休日120日と105日では、以下のような違いがあることがわかります。
「年間休日120日」の場合
- おおよそカレンダーどおりに休暇を取れる
- 1年(365日)の3分の1程度が休日である
「年間休日105日」の場合
- 土曜日・日曜日(年間合計104日)をすべて休むと、祝日や年末年始などは休暇を取れない
- 毎週1回の休日(年間52日)を基本に、夏季・年末年始を適宜追加する
たかが「15日」ではありますが、この差はかなり大きいといえそうです。「年間休日120日」の会社で働いていた人が「年間休日105日」の会社に転職した場合には、心身ともに負担を感じることになるかもしれません。
年間休日の平均日数が多い業種
年間休日の平均日数を業種別に見たデータ(厚生労働省調査)によると、同率1位に輝いたのは「情報通信業」と「学術研究、専門・技術サービス業」でした。このほか、トップ10に入った業種は以下のとおりです。
順位 業種 平均日数
同率1位 情報通信業/学術研究、専門・技術サービス業 118.8日
第3位 金融業、保険業 118.4日
第4位 電気・ガス・熱供給・水道業 116.8日
第5位 教育、学習支援業 112.7日
第6位 製造業 111.4日
第7位 複合サービス事業 110.4日
第8位 不動産業、物品賃貸業 109.6日
第9位 医療、福祉 109.4日
第10位 サービス業 109.0日
年間休日の日数が多くても「完全週休2日制」とは限らない
就職や転職を考える際、年間休日の日数が多い業種は魅力的に思えるでしょう。しかし、たとえ年間休日が多くても、毎週必ず土曜日・日曜日が休みになるとは限りません。
求人情報などに記載される「完全週休2日制」は毎週2日の休みがあることを指すもので、連休が取れることを約束するものではありません。また「週休2日制」は1週間に2日の休日を取れる週が月に1回以上あることを指します。
年間休日の日数が会社によって違うように、どのように休暇を与えるか、何曜日が休日になるかといった条件も会社ごとに異なることを覚えておくとよいでしょう。
年間休日に対する不満が離職につながる!? 自社の体制を見直そう!
年間休日の日数については、会社の就業規則にきちんと明記しておく必要があります。また求人広告などを出す際にも休日・休暇制度にまつわる労働条件を正しく記載し、入社後のミスマッチを防止します。「休みが多い会社」だと思ったのに「思うように休めない」ようでは、従業員の流出につながりかねません。あなたの会社の休暇制度は多様な働き方にマッチしているかどうかを確認し、必要があれば制度の見直しを検討しましょ
う。