マネジメントとは?ビジネスでの定義と役割・必要な4つのスキルを紹介
2022-11-02
大後 ひろ子
C-OLING代表 ブランディングコンサルタント
組織人材育成・マネジメント
企業におけるマネジメントとは、「経営管理」や「組織運営」などを意味します。部下の育成や目標達成のためにはマネジメント力を高めるために、必要なスキルを明確に理解していく必要があります。
今回の記事では、マネジメントの定義や歴史、マネジメントを行う目的、そしてマネジメント力を高める4つのスキルについて解説します。
マネジメントとは
マネジメントは英単語で「Management」と表記し、直訳すると「管理」や「経営」という意味を持ちます。またビジネスにおいては「経営管理」や「組織運営」などを意味します。
ビジネスにおけるマネジメントとは?
ビジネスにおけるマネジメントとは、企業や組織の成果を上げるために経営資源(ヒト・モノ・カネ)を効率的に活用し、リスク管理を行って、あらかじめ設定した組織の目標やミッション達成を目指すことです。
ドラッカーの「マネジメント」の概念と定義
「マネジメント」の概念は、起業コンサルタントや経済学者として活躍し、経営や経済に関する著作を発表してきた、アメリカの経営学者であるピーター・ファーディナンド・ドラッカー(1909~2005)が、1973年に刊行した著書『マネジメント』の中で提唱した言葉から生まれたものだとされています。
ドラッカーは著書の中で、「マネジメント」、そして「マネージャー」に対して以下のように定義しています。
マネジメント:「組織に成果を上げさせるための道具、機能、機関」
マネージャー:「組織の成果に責任を持つ者」
マネジメントは組織に成果を上げさせるための仕組みやツールを指し、マネージャーは組織が成果を上げるように的確に働きかけ、責任を持つ人としています。
マネジメントの目的と役割
ビジネスにおけるマネジメントの目的は、「企業の設定した目標の達成に向けて、組織を運営する」ことです。 つまり、「目標・案件・プロセス」を明確にして「ヒト・モノ・カネ・情報」といった経営資源を効率的に運用することで、成果を上げるための方策を示して成果を上げ、組織を発展させ続けることなのです。
マネジメントと類似用語
ここでマネジメントと混同されやすい 用語について解説します。
「マネージャー」と「リーダー」
先に述べたドラッカーは、マネージャーを「組織の成果に責任を持つ者」と定義しています。その一方でリーダーは、強いリーダーシップを発揮して、企業や組織が目指すべき方向性や具体的な目標を示すことが役割だと提唱しています。
つまり、リーダーが経営方針や目標を示す任務を持ち、マネージャーはリーダーが示した方向性を理解して、目標達成への手段を示し、組織が円滑に進むように指導・先導する任務を持ちます。
「マネジメント」「リーダーシップ」
先に述べたように、リーダーは「組織の成果に責任を持つ者」であり、マネージャーは「目標達成のための具体策を示す者」です。
同じようにリーダーシップは「方向性を示す」ことが目的で、マネジメントは「目標達成のために組織に具体策を示し運営する」ことが目的です。
組織の中でリーダー育成の際、「マネジメント」「リーダーシップ」が混合しないよう、役割やポジションの目的に合わせた教育が必要です。
マネジメントに必要な4つのスキル
マネジメントを遂行するうえで欠かせない4つのスキルについて解説します。
意思決定のスキル
マネジメントを行うマネージャーが仕事をする上で、具体的な判断をする局面が多く存在します。目標達成のために前例のない選択をしなければならない時もあります。そこで「意思決定のスキル」が必要になります。多様な意見や見解、複数の選択肢から目標達成のために最適なものを慎重に選び、決断することが重要です。また、目標達成につながらない凡庸な選択肢を避ける必要も出てきます。
コミュニケーションのスキル
組織の目標を達成するためには、メンバーの協力が必要不可欠です。そのために、マネージャーは組織全体の目標を示し、達成のための具体策を提示することが重要です。しかしコミュニケーションは一方的なものでなく、双方向的なものです。受け手であるメンバーが提示した考えや方法に理解を示すよう対話を行いましょう。マネージャーは相手の意見を聞いて理解しながら、自身の考えや情報を伝える「傾聴」を行いながらコミュニケーションを実施していくことが大切です。
管理のスキル
マネージャーとして組織を率いて成果を出していくためには、管理のスキルが必要です。そのために以下の3つの力が求められます。
- 目標の達成に向けて、組織を適切に機能させる
- 生産性向上のために、適切な組織構成や業務振り分けを行う
- 仕事の基準を高め、組織全体の仕事の質を上げていく
これらを的確に行うために、メンバー一人ひとりの 特性を理解し、適切な仕事を割り当てそれぞれのパフォーマンスが発揮できるよう心がけることが重要です。また評価だけではなく、適切なフィードバックを行うことで組織を強化していくことにつながります。
分析のスキル
組織の目標達成のためにはカンや経験だけで実現することはできません。 客観的な視点や実証データを分析しながら戦略を立てていく必要があります。組織を正しい方向に導くためには人・モノ・カネや、知識・技術などの経営資源を どのように運用するか、短期的・長期的なスパンで分析するスキルが必要になります。
「階層別マネジメント」の種類
マネジメントには、従業員の役職や職能資格によって 求められるものが異なります。マネジメントを3つの階層に分けて解説していきます。
トップマネジメント
トップマネジメントとは、社長や経営者、各部門や事業部の長といった組織が、経営方針の決定や経営計画の策定、組織運営といった経営や管理を行うことを指します。
トップマネジメントを行う人物は、強力なリーダーシップが求められます。なぜなら、トップマネジメントには、経営に関する総合的な意思決定と最終的な責任を担う役割があるのです。
ミドルマネジメント
ミドルマネジメントとは、先の「トップマネジメント」を行う層と、現場の作業管理を行う「ローアーマネジメント」の間に位置する「中間管理者層」を指します。ミドルマネジメントを行う従業員は、一般的には中間管理職と呼ばれています。
ミドルマネジメント層には、トップマネジメント層と現場をつなぐ重要なパイプの役割があります。トップマネジメントの戦略的判断を受け、組織に具体的な組織の運営方針を組織のメンバーへ通達する役目と、ローアーマネジメント層を通して現場からの意見を吸い上げる役割を担っています。
ローアーマネジメント
ローアーマネジメントは、トップマネジメント、ミドルマネジメントから組織の意思決定と、具体的な運営方法を受け取り、直接現場での業務遂行を指揮・統制を行います。商品やサービスの企画や顧客との直接のやりとりを行う現場を取り仕切るため、顧客満足度を左右するポジションでもあります。
まとめ
企業や組織の成長には適切なマネジメントが必要不可欠です。また今後のマネジメントには市場や働き方の多様化、個々の従業員のキャリア形成、特性を生かした人事配置などが求められます。
今回の記事を参考にマネジメントの意味や役割を再確認し、時代の流れに沿った要素を加えて自社がするべきマネジメントについて話し合ってみてはいかがでしょう。
WRITER
大後 裕子
C-OLING代表
生活用品メーカーで10年間企画職に従事し、企画立ち上げから海外工場との商談、販促まで商品開発のゼロから一貫して行い、多くの商品をブランディングし、リリース。 8年販売され続けるヒット商品を始め、開発商品点数累計約1,200点、約1,700店舗へ導入。ブランディングを主軸とした、経営コンサルティング、 社内教育の3つの事業を通して、多くの人の生活に豊かさを提供ができる企業を社会に増やしたいと考えています。