リフレッシュ休暇を解説!有給休暇との違い・付与日数をわかりやすく

2022-09-21

大後 ひろ子

C-OLING代表 ブランディングコンサルタント

労務福利厚生

有給休暇や慶弔休暇など多彩な休暇制度がある中で、カタカナ表記が目を引く「リフレッシュ休暇」。リフレッシュ休暇の導入率は企業規模に比例しているため、聞いたことはあるけれど、よくわからないという人も多いのではないでしょうか。こちらの記事では、リフレッシュ休暇にまつわる基本的な情報や導入時に注意するべきポイントなどをわかりやすく解説します。従業員だけでなく、企業にとってもメリットのある制度ですから、ぜひ内容を確認してみてください。

リフレッシュ休暇って何?

リフレッシュ休暇とはその名の通り、従業員に「リフレッシュ」してもらうための休暇制度です。毎日頑張って仕事を続けていると、どうしても心と体に少しずつ疲れやストレスが溜まってしまうもの。そこで、有給休暇とは別枠の休暇を与え、心身の疲れを癒してもらおうというのがこの制度の大きな目的です。

従業員のみならず、企業側のメリットも少なくないリフレッシュ休暇、その実態を見ていきましょう。

リフレッシュ休暇の導入は義務?

有給休暇もリフレッシュ休暇も、従業員にとっては全く同じ休暇です。しかし、法律的な観点から見ると、有給休暇は法律で定められた「法定休暇」、リフレッシュ休暇は各企業が任意で導入できる「法定外休暇」となります。

つまり、リフレッシュ休暇は法律によって導入が義務付けられているわけではなく、たとえ導入しない場合でも事業者が罰せられることはありません。

こうした事情から、リフレッシュ休暇の導入に積極的な企業はまだまだ少なく、規模の小さな企業になるほど導入率が低い傾向にあります。

有給休暇との違いは?

繰り返しになりますが、有給休暇は「法定休暇」であり、リフレッシュ休暇は「法定外休暇」です。有給休暇については、取得するための条件や取得日数が法律で定められているのに対し、リフレッシュ休暇の扱いは各企業が自由に決めてよいことになっています。

企業がリフレッシュ休暇を導入する際には、以下の内容を自由に設定できます。

リフレッシュ休暇の付与条件と付与日数

自社の従業員にどのようにリフレッシュ休暇を取得させるのか、一から考えるのは大変な作業です。ここでは厚生労働省の調査に基づいて、目安となるおおよその数値をご紹介します。

リフレッシュ休暇の付与条件

リフレッシュ休暇は、会社のために頑張ってくれた従業員へのご褒美的な意味合いがあります。そのため、勤続年数が5年・10年・15年・20年…など、節目の年に与える企業が多いようです。

もちろん、付与条件は各企業が自由に決めてよいため、勤続年数にかかわらず全ての従業員がリフレッシュ休暇を取得できる会社もあります。また、公務員の立場であってもリフレッシュ休暇を取得できる自治体もあるようです。

リフレッシュ休暇の付与日数

リフレッシュ休暇の日数は、会社によってそれぞれ異なります。多くの場合、5日程度からスタートして、5年経つごとに1日追加されるなど、勤続年数によって付与日数が増えていくようです。

リフレッシュ休暇の取得方法としては、土曜日・日曜日にプラスして9連休にしたり、1ヶ月程度の長期休暇が認められたり、企業によってさまざまな規定のもとに運用されています。

リフレッシュ休暇を導入するメリット

有給休暇とは別に取得できるリフレッシュ休暇は、従業員だけでなく企業側にもメリットをもたらします。

従業員のメリット

忙しい仕事を離れて一定期間の休息を得ることにより、心身ともによい影響があらわれることが期待できます。

1)生産性の向上

プライベートの充実は、労働意欲や業務効率アップにつながります。しっかりと休暇を取ってリフレッシュできれば、日々の仕事にも前向きに取り組むことができます。

2)計画的な休暇取得

リフレッシュ休暇は、有給休暇とは別に与えられる休暇です。土日や有休と組み合わせることで長めの休暇取得が可能になり、旅行や帰省などのイベントも計画が立てやすくなります。

3)メンタルケア

仕事を忘れてリラックスすることは、メンタルヘルスケアに役立ちます。長時間労働が続くと、心の病気を発症する恐れがありますから、従業員の健康を守ることにもつながります。

企業側のメリット

リフレッシュ休暇が従業員にもたらすメリットは、いずれ企業側にもメリットとなって返ってきます。さらに、次の2つのメリットが考えられます。

1)従業員の定着率アップ

リフレッシュ休暇をはじめとした待遇面が良好な企業は、会社に対する満足度が高い従業員が多いです。休暇制度を充実させることは、従業員の離職対策にもなり、求人募集の際も大いにアピールできます。

2)後進の育成

リフレッシュ休暇を取得した従業員が職場を離れている期間は、ほかのメンバーが代わって業務を担当することになります。いつもと違った役割を任せることにより、従業員の成長を後押しできます。

リフレッシュ休暇制度・運用時のポイント

従業員を喜ばせるだけでなく、会社にとってもプラスのはたらきを期待できるリフレッシュ休暇。導入する際に気になるポイントについて解説しましょう。

リフレッシュ休暇中の給与は支払うべき?

リフレッシュ休暇中の給与の扱いについては、従業員と企業で取り決めをし、事前に「有給か」「無給か」を決定します。とはいえ、無給にするとリフレッシュ休暇の取得をためらう従業員が出てくることが予想されるため、「有給休暇」とする企業が多いようです。

リフレッシュ休暇手当を支給するべき?

リフレッシュ休暇は、企業が任意に導入する休暇制度です。そのため、休暇にプラスして手当などを支給するかどうかも各企業に任されています。もしも従業員のリフレッシュ休暇取得率が低い場合、休暇と手当支給をセットにすると取得率アップが期待できます。

従業員に休暇取得時期を指示できる?

日々の業務を円滑に進めるためには、会社として従業員の休暇取得時期をコントロールする必要があります。リフレッシュ休暇の取得を希望する従業員が繁忙期に集中してしまうと業務が滞り、ほかの従業員への負担が増大するからです。取得可能な時期や期間について、あらかじめ就業規則などで明確にしておくといいでしょう。

リフレッシュ休暇制度を導入し、従業員のモチベーションアップを目指そう!

リフレッシュ休暇の導入は、従業員と企業どちらにもメリットをもたらします。しかし、リフレッシュ休暇は長期間に及ぶことが多いため、従業員が休暇を取得しやすい体制づくり・環境づくりを進めることが大事です。従業員の理解を深め、各自が制度を活用できるよう、定期的に制度の内容を見直していきましょう。

WRITER

大場由佳

取材対象者の想いを伝えるWebライター

証券会社勤務を経て、印刷会社にてグラフィックデザインを学ぶ。キャリアップを目指した広告代理店では、企画・デザイン・ライティング・ディレクション業務などを幅広く手がける。出産を機にフリーライターとして活動をスタート。医療・グルメ・女性・スクール系など幅広いジャンルのWebサイトで記事を執筆し店舗取材を多数経験。取材時に寄せられる労務問題に対応する中で知識を深め、読みやすく・分かりやすい文章で発信中。