キャリアパスとは何か?企業にもたらすメリットと具体例を紹介
2022-10-20
大後 ひろ子
C-OLING代表 ブランディングコンサルタント
採用その他
キャリアパスとは
「キャリアパス(Career path)」とは、キャリアアップのプロセスや必要となる水準のことを指します。
どの仕事をどれくらい経験し、どのぐらいのスキルを身につければどのポストに就けるのかなどを企業が明確にしたもので、企業内での出世や昇進ルートを示したものと考えてもよいでしょう。
人事担当者の方は人材育成の観点からも、このキャリアパスについて詳しく知る必要があります。
また、キャリアパス制度の導入を検討中の企業は、この機会にキャリアパスが企業にもたらすメリットについても考えてみてはいかがでしょうか。
こちらのページでは「キャリアパス」についてその必要性やメリット・デメリット、キャリアパスの具体的な例を挙げてご紹介しましょう。
キャリアパスが必要な理由
個人の価値観や働き方が多様化してきた近年、労働者がキャリアアップのために転職することは当然となりました。
そのため、企業は人材育成制度の一環として社内のキャリアパス制度を整え、社内基準や条件を明確化することで社員一人ひとりの道標を示し、仕事へのモチベーションを上げることが必要です。
また、人材採用の際には、応募者の考えるキャリアパスについて質問するためにも、自社のキャリアパス制度を整える必要があるでしょう。
この質問により、入社後、長く働くつもりがあるのかを確認できますし、応募者本人の描くキャリアパスと、自社で叶えることができるキャリアパスがマッチしているかどうかを確認することができます。
応募者と企業、お互いのキャリアパスがミスマッチでないことがわかれば、安心して入社への一歩が踏み出せることでしょう。
キャリアパス制度が企業にもたらすメリット・デメリット
キャリアパス制度を明確にすることでもたらされるメリット・デメリットについてご紹介します。
メリット
キャリアパス制度がもたらすメリットはいくつかあります。
それぞれのメリットについてご紹介しましょう。
モチベーションアップ
キャリアパス制度により自分の将来像を描くことができれば、社員のモチベーションはアップします。
目標意識を持って働くことは社員自身の成長にもつながり、自身の将来に向け、前向きな姿勢で業務に取り組むことができるでしょう。
採用活動におけるミスマッチ予防
採用活動においても自社のキャリアパス制度を公開すれば、応募者は入社後のキャリアのイメージがつきやすくなります。
モチベーションの高い人材を確保することは、入社後のミスマッチや早期離職を防ぐことにも役立つでしょう。
自社の業績アップ
社員のモチベーションアップ、意欲ある人材の確保ができれば、社内は目的意識を持った社員が多い環境となり、業績アップも期待できるでしょう。
社員の定着率アップ
キャリアパス制度が明確化されることは、企業が社員の将来に向けてサポート体制を整えている証にもなります。
社員の成長を支える企業は社員にとっても長く働きたい企業であり、結果、離職率を下げ、定着率をアップさせることでしょう。
デメリット
次に、キャリアパス制度がもたらすデメリットにはどのようなものがあるのか、ご紹介しましょう。
モチベーションの低下につながる可能性も
自社にキャリアパス制度があったとしても、当然のことながら社員全員の希望が叶うわけではありません。
募集が少ない部門への異動や、マネージャー職、管理職への昇進は、社員の人数が多い部署や企業ほど難しいものでしょう。
また「本社に転勤できなければ叶わない」など、地方の支店や小さな営業所などの社員は、キャリアパス実現の可能性が低いと感じ、モチベーションの低下につながる可能性もあるでしょう。
新しい可能性や成長の妨げになる可能性も
キャリアパスを叶えるために、与えられた仕事のみを行う、キャリアパスに関係ない知識やスキルは習得しないなど、社員によってはキャリアパスを目的にするあまり、自身の可能性を広げず、成長するチャンスを逃してしまう可能性もあります。
視野も狭くなり、ビジネスチャンスに気がつかないままに終わってしまうこともあり得ます。
キャリアパスの具体例
キャリアパスは業種や職種、企業によっても異なります。
ここでは代表的な職種である営業職とエンジニアのキャリアパスの一例をご紹介しましょう。
営業
営業として経験を積んだ後は
- プレイヤーとして現場の第一線で活躍し続ける
- 営業チーフやマネージャーとしてキャリアアップ
- 他の商材を扱う営業部署へ異動する
などのキャリアパスが代表的なものですが、営業経験を活かして、コンサルタントやマーケティング、経営企画などへとジョブチェンジすることも可能です。
システムエンジニア
システムエンジニアとして経験を積んだ後は
- 現場でその道のスペシャリストとして活躍し続ける
- 経験を生かして管理する立場へとキャリアアップ
が一般的です。
エンジニアは専門的な技術や知識を極められる職種であり、スペシャリストとしてのキャリアパスを用意する企業が多い傾向にあります。
しかし、高度な技術の習得に興味があったり、さまざまな技術を身につけたいと考えたりするエンジニアには、プロジェクトマネージャーのようなジェネラリストのキャリアパスを用意する企業もあります。
- プロジェクトリーダー
- プロジェクトマネージャー
- プログラムマネージャー
など、プロジェクトを指揮するポジションでのキャリアアップの道は整えられています。
さらに広く深い知識を身につけ、さまざまな経験を積むことによって、ジョブチェンジも可能でしょう。
社員のニーズに対応できるキャリアパス制度の導入へ
キャリアパス制度の導入で特に重要なことは、社員のモチベーションアップと自社の業績アップへいかにつなげていくかということです。
そのためにも、キャリアパス制度は社員のさまざまなニーズに対応し、社員が納得できる制度であることが大切です。
導入を検討中の企業や、導入したもののうまく活用できていない企業は、ぜひこの機会に社員のニーズに合った質の高いキャリアパス制度を構築し、活用していきましょう。