効果的なフィードバックとは?ビジネスの生産性が上がる3つの要素を解説!

2022-10-18

大後 ひろ子

C-OLING代表 ブランディングコンサルタント

組織人材育成・マネジメント

「フィードバック」とは人材育成人事評価の場面で用いられる用語で、主にマネジメント層や上司から部下へ、1対1で改善点や良かった点を伝えることを指します。

企業では日常的に上司から部下に対してフィードバックが行われていますが、「フィードバックの効果があまり感じられない」「本当にこの方法で伝わっているだろうか?」と疑問を感じている上司や担当者の方も多いと思います。

今回の記事では、基本的な意味や効果的なフィードバックをするために必要な要素や注意点について解説していきます。

そもそもフィードバックとは 

ビジネスシーンにおけるフィードバックとはどのような意味を持つのでしょうか。効果的なフィードバックを行うためにも、まずはその意味について解説していきます。

フィードバックとは 

ビジネスにおけるフィードバックは、上司が部下に対して求める成果と、ズレが生じている場合、原因や改善点・良かった点などを当事者側に伝えることを指します。

もともとは制御工学の世界で用いられている工学用語で、求める目標値(アウトプット)になるよう、インプットした入力値を戻して調整していく意味で使われていました。

コーチングとの違い

コーチングとは、当事者が自ら答えを引き出すまで指導者から質問を行い、目標達成を間接的にサポートする手法のことです。 指導者は傾聴によって当事者の話を注意深く聴き、質問によって相手の中から答えを引き出すことを目指すものです。

チェックバックとの違い

チェックバックとは、成果に対して遡ってチェックするという意味です。ビジネスシーンにおいては、映像業界や医療業界で使用されています。

映像業界ではディレクターからの直しや内容の確認に対して使われます。また医療業界 はミスをなくすために、受けた指示を復唱することを指します。このように主に成果物に対して修正指示や意味・内容を確認する用語として使われています。

2つのフィードバックの方向性

フィードバックには主に2つの方向性があります。状況によって使い分けられるよう、効果と注意点について解説します。

ポジティブフィードバック

ポジティブフィードバックとは、当事者の言動や行動から評価できる点を見つけ、ポジティブな言葉で評価を伝え、当事者の自発的成長を促す手法のことです。部下のチャレンジに対して、自己肯定感を高めるのに効果的です。

注意点は、当事者が褒められることに慣れてしまって、現状で満足してしまわないように観察しなければならない事です。

ネガティブフィードバック

ネガティブ・フィードバックとは、当事者の行動や言動に対してあえて否定的な表現を用いて行うフィードバックのことを指します。当事者の成長を妨げているポイントを指摘することで、本人が課題を理解するきっかけが生まれます。その結果、効果的に改善につながるのです。

注意点としては、指導者が正しい指摘を行い、改善ができたら褒めるということです。また、「あなたの成長のために、あえて厳しいことを伝える」と主語を当事者にした会話を行うことで、励ましの意と目的を明確に伝えて信頼関係を醸成することを忘れてはいけません。

フィードバックの目的と効果

効果的なフィードバックのために、具体的な目的とその効果について解説します。

①目標の達成 

フィードバックは具体的成果を挙げるために行われるものです。こまめなフィードバックを行うことで方向性の違いやミスが起きても、早い段階で軌道修正することで効率的に目標達成を目指します。

また、個人・チーム・事業部門などそれぞれのフィードバックの制度を高めることで、一人では達成できない目標達成への道のりを効率化することができます。

②人材の育成 

フィードバックによって、当事者が自ら気づき行動することを習慣づけることで、長期的に生産性の高い方策を選択できる人材の育成が可能です。その結果企業の成長に大きく貢献することができるのです。

また、課題解決に導くフィードバックができる上司の存在は、部下にとって安心して仕事に打ち込むことができ、組織内での信頼関係が育まれる風土を醸成することができます。

③モチベーションの向上 

フィードバックによって、自分の行動に適切な評価やアドバイスを貰えることは業務への意欲を高める効果もあります。与えられた業務に対して「難しそうだ」とネガティブに感じている場合も、信頼できる上司から見守られている安心感からポジティブな感情へと変換でき、自己肯定感を高めながら業務に取り組めるようになります。

④パフォーマンスの向上

フィードバックを繰り返すうちに、自分の強みや弱みといった特性を把握できる自己認識力(セルフアウェアネス)を高めることができます。業務に対して自分の力で効果的・非効果的であるかを判断できるようになるので、改善へのスピードも高まりストレスを抱えにくくなります。その結果、状況に応じたパフォーマンスの高い行動が自然ととれるようになります。

効果的なフィードバックのための3つの要素 意味と特徴

それでは実際の現場でフィードバックを行うための、3つの要素を解説していきます。

①フィードアップ

目的:目標の確認
フィードバックを効果的なものにするために、目的や目標の設定や確立を行うフィードアップが重要です。闇雲に頑張るのではなく、目的や目標を再確認することで業務の方向性が定まり、質を高めることができます。

②フィードバック

目的:経過の振り返りと評価
設定した目的や目標の達成に向けて、経過の振り返りを行います。上司は当事者に対して「事前準備はどうだったか?」「その中で良かった点は?」「今後改善できる課題は?」というように、目標に対する状況を把握させ、達成に導く情報を与えます。ここにフィードバックの真髄があります。

③フィードフォワード

目的:目標に対する逆算 
フィードバックを行うことで、改善に向けた課題が明確になります。そこで達成すべき目標に対して逆算して、未来に向けて今何をするべきかを考えるものです。

その際、現時点でできることではなく、未来のためにどのような行動を起こすかが重要です。

「フィードバック」を実施するうえでの注意点

ここで効果的なフィードバックを実施できるよう、いくつか注意点について解説します。

目標と関連づける

フィードバックを効果的にするために重要なことは、最初に上司と部下との間で目標を定めることです。目標が定かでない状態では、受ける側はフィードバックを享受できません。

「当事者が目標を達成するために」ということに焦点を当てた考え方を一貫して行うことが重要です。

具体的に話す

指導者は具体的なフィードバックを心がけなくてはなりません。「目標を達成できて良かった」という曖昧な表現ではなく、例えば事前調査・対策・企画・根回しなど、目標達成に向けて行ったどの事項が評価されることなのかを明確に伝えることが重要です。

実現可能な内容で話す

実現不可能なフィードバックは、部下のモチベーションを低下させてしまう可能性があります。部下のミスに対して「同じようなミスを起こさないためにどうすればよいか」、「失敗してしまった原因は何か」というように、部下が自ら考えて答えを出せるフィードバックが必要です。

タイムリーに行う

フィードバックは行動後なるべく早い段階で行うようにしましょう。何故なら、時間が経つほど記憶が曖昧になってしまい、フィードバックの効果が薄れてしまうのです。記憶が新鮮なうちに評価を行うことで、質の高いフィードフォワードを行うことが可能になります。

主体的な行動を肯定し、促す

フィードバックでは言葉選びが重要です。部下のチャレンジに対してネガティブフィードバックを行うときも、当事者の人格を指摘するのではなく、あくまで課題に焦点を当て、問題解決のための会話を行いましょう。

まとめ

効果的なフィードバックを行うためには、担当者であるマネジメント層や上司が何を目的としてフィードバックを行うのかを明確にしておくことが重要です。またフィードバックには受け取り手との信頼関係の構築も欠かせません。部下の効果的な能力開発のためにも、今回の記事を参考に、課題に対して客観的視点をもったフィードバックを日常的に心がけましょう。
 

WRITER

大後 裕子

C-OLING代表

生活用品メーカーで10年間企画職に従事し、企画立ち上げから海外工場との商談、販促まで商品開発のゼロから一貫して行い、多くの商品をブランディングし、リリース。 8年販売され続けるヒット商品を始め、開発商品点数累計約1,200点、約1,700店舗へ導入。ブランディングを主軸とした、経営コンサルティング、 社内教育の3つの事業を通して、多くの人の生活に豊かさを提供ができる企業を社会に増やしたいと考えています。