エンゲージメントとは?基本的な意味と高める方法・メリットを解説!

2022-09-30

大後 ひろ子

C-OLING代表 ブランディングコンサルタント

組織組織開発

ビジネスにおけるエンゲージメントという言葉には大きく分けて、「対従業員」と「対顧客」の2つの意味が含まれています。

この記事では、昨今エンゲージメントという言葉が各所で注目されるようになった背景や、ビジネスにおける定義、そしてエンゲージメントを高めることによって企業にもたらされるメリットについて解説していきます。

エンゲージメントの基礎知識 

「エンゲージメント」と聞くと、主に「従業員の会社に対する愛着や思い入れ」を指す言葉として解釈されていますが本来の意味はどういったものなのでしょう?

エンゲージメントの意味

そもそもの「エンゲージメント=engagement」とは、直訳すると「従事」「婚約」「契約」といった意味を持つ言葉です。また、TPOに応じてさまざまな意味に使い分けられますが、基本的に「深い関わり合いや関係性」を意味する言葉です。

企業におけるエンゲージメント

まず、ビジネスシーンで用いられるエンゲージメントという言葉には、「対従業員」と「対顧客」の2種類があります。そしてそれぞれ、両者の間に信頼関係が構築されていることが前提となります。

従業員エンゲージメント

従業員エンゲージメントとは、従業員の企業への理解や信頼を意味する言葉です。しかし、一方的な愛着で構成されるのではなく、その地盤には、従業員は企業に対して貢献することを約束し、企業側も従業員の貢献に対して報いることを約束する、この双方の約束に相当するものがエンゲージメントなのです。

従業員エンゲージメントを図るための「会社に対する誇りはあるか?」、「仕事に対する誇りはあるか?」といった質問に対して、結果が高い従業員が多い企業ほど従業員の企業への愛着と貢献意欲が高くなります。その結果、離職率が低く、業務へのモチベーションも高いので、安定した企業成長を遂げています。

また、従業員エンゲージメントを向上させる主な要素として、以下の3点が挙げられます。

①働きやすさ

職場の人間関係が良好で、自身に合った職場環境だと感じられる。

②やりがい

従業員が仕事において自ら成長を実感できたり、組織から評価される仕組みがある 。

③指針への共感

企業のビジョンが職場の風土にまで浸透して従業員が共感できている。

単に居心地の良さだけではなく、組織の一員として貢献したい会社であることが重要です。これらの3つ要素を達成できる施策を行なっているか、または施策の結果から企業成長に結びついているか1年に一度チェックすることをオススメします。

顧客エンゲージメント

顧客エンゲージメントとは「顧客との親密度」を表す言葉です。顧客が企業やその商品・サービスに対して信頼を寄せてくれている場合は、競合他社の商品にではなく再度自社の商品を購入してくれる可能性が高いのです。顧客エンゲージメントが高まるとこのような効果が現れます。

顧客エンゲージメントを高めることで、LTV( Life Time Value)「顧客生涯価値」を挙げていくことができるので、安定した企業成長に繋がります。

エンゲージメントを高めるメリット

では、2つのエンゲージメントを高めることで、経営全体にどのようなメリットがあるのでしょうか?

1. 売上利益の増加

顧客エンゲージメントを高めることで、LTV( Life Time Value)「顧客生涯価値」を挙げていくことができるので、安定した企業成長に繋がります。

2. 業務効率化や生産性の向上

同じビジョンを共有している従業員が集まった職場環境では、目的達成意識が高いので業務効率が非常に良いのです。また挑戦による失敗も、トライアンドエラーの事例として共有するなど、自走して生産性を高める組織に成長していくのです。

3. 離職率の低下

従業員は顧客に愛されるエンゲージメントの高い商品やサービスを提供していることに誇りを持つことができます。また、商品やサービスを通して自分たちがもたらす社会的影響を認知できるので、業務にもポジティブな姿勢で向かうことができ、顧客と従業員の間にも良い循環が生まれます。その結果、従業員の離職率を低下させることができるのです。

エンゲージメントを高める方法

2つのエンゲージメントを高めるためにも、まずは商品やサービスの質を左右する従業員エンゲージメントを高める必要があります。以下の4つの観点から、エンゲージメントを高める施策を講じていきましょう。

従業員エンゲージメントの把握

現状の従業員エンゲージメントを測定する手段として多く用いられるのはアンケート調査です。月1回から半年に1回のアンケート調査を実施し、会社への満足度や仕事に対する意欲、職場環境について調査を実施します。

経営トップからの企業理念やビジョンの発信

ビジョンへの共感は、従業員エンゲージメントを高める上で欠かせません。企業が進むべきビジョンに対して、従業員の共感を得られなければ、努力の方向を間違えたり、仕事の目的がわからなくなって意欲が減退してしまいます。経営トップは、自社の社会的存在意義を従業員に共感されるよう、企業理念やビジョンを定期的に自ら発信する施策が必要です。

マネジメント層の教育の実施

経営トップが企業理念やビジョンの共有施策を行なっても、従業員の直属の上司であるマネジメント層に浸透していないと職場環境のエンゲージメントを高めることは難しくなります。マネジメント層には一般従業員よりも企業理念やビジョンに対する理解を深め、目的達成のための実行プランを考える教育や研修を実施することも重要です。

コミュニケーション活性化のための施策を導入

働きやすい職場環境は、組織へのコミットメントに大きく影響します。そのためにコミュニケーションを活性化する施策を導入し、従業員一人一人の個性への理解や、働き方の柔軟性を認め合う職場風土を醸成することが大切です。経営トップやマネジメント層は、一般従業員が「信頼できる仲間と、長く安心して働ける職場環境」を意識して構築する必要があります。

まとめ

今回の記事では、企業のおけるエンゲージメントの基本的な意味からその重要性、さらにエンゲージメントを向上する方法について解説してきました。

エンゲージメントを高める上では、少子高齢化やマーケットの変化によって多くの課題があります。しかし従業員と顧客のそれぞれの声に耳を傾け、企業成長の中でより良い信頼関係を結ぶ施策をひとつづつ丁寧に実施していくことで、着実にエンゲージメントを高めていくことができるでしょう。

WRITER

大後 裕子

C-OLING代表

生活用品メーカーで10年間企画職に従事し、企画立ち上げから海外工場との商談、販促まで商品開発のゼロから一貫して行い、多くの商品をブランディングし、リリース。 8年販売され続けるヒット商品を始め、開発商品点数累計約1,200点、約1,700店舗へ導入。ブランディングを主軸とした、経営コンサルティング、 社内教育の3つの事業を通して、多くの人の生活に豊かさを提供ができる企業を社会に増やしたいと考えています。