KPTとは?業務改善のための正しい振り返り正しいK P Tの実践方法を解説

2022-11-28

大後 ひろ子

C-OLING代表 ブランディングコンサルタント

組織組織開発

KPTとは、企業や個人においてこれまでの仕事や活動内容を「Keep(成果が出ているので続けること)」「Problem(問題があり改善すること)」「Try(次に挑戦すること)」の順に振り返って分析し、今後の行動を決める開発手法のひとつです。基本的には「ホワイトボードとふせん」を使って進めることが多くあります。

今回の記事では、KPTによって振り返って分析をすることで得られるメリットや、KPTのやり方や、効果的に取り組むためのポイントについて解説します。

KPTとは?

日本で広まっているKTPの元になるのは、アメリカのコンピューター科学者であるアリスター コーバーン氏が提唱した「Reflection Workshop」で提唱された手法です。

KPTの目的

KPTの目的は、組織や個人での仕事のプロジェクトや定期的な日常業務を振り返ることで、生産性の向上・リスクの最小化を目指すものです。

個人や組織の成長には、経験したことを効果的に次に活かすことが重要です。そのために、KPTを用いて次に活かす具体的な次のアクションを決めるということが有効です。成功や失敗も次のアクションという行動に落とし込むことで、再現性を持つことができるのです。  

KPT3つの要素

元々KPTは、アジャイルソフトウェア開発の世界から広がったフレームワークです。

K:keep = 成果が出ているので続けること 
P:problem=問題があり改善すること
T:try = 次に挑戦すること

これらの3つの言葉の頭文字をとって作られました。プロジェクトや業務について、上記の3つの要素の振り返りが重要と位置付けています。

KPTのメリット
 

 

KPTは、振り返りをおこなうフレームワークです。ここでは、その期待されるメリットについて解説していきます。

①課題の早期検出・解決

課題の発見は、遅れるほどに打開策が減少し、解決の難易度が上がってしまいます。そのためにも  課題の早期検出は解決の可能性を高めるために非常に重要です。
個人でKPTを用いることで、課題の早期発見や対策にもつながります。また、組織でKPTを活用することで、チーム全体の多角的な視点から課題の早期検出ができ、解決のための対策を全員で共有することができます。

②コミュニケーション促進

たとえ個人が課題を認識していても、客観的な振り返りができなければ、課題を解決することは難しくなります。そこでKPTを用いることで、課題を洗い出しチームメンバーと共有することが有効です。メンバーに打ち明けることで、課題を客観的に捉えられ、余計なストレスを取り除き本来の業務に集中することができます。

③課題の共有

チームでKPTを実施することで、具体的な「try(次に挑戦すること)」の項目を見つけることができます。

また トップダウンで「try(次に挑戦すること)」の項目を支持されるのではなく、「keep=(成果が出ているので続けること」」「problem(問題があり改善すること)」を共有できていることで、チームに一体感が生まれます。

④組織内での改善の習慣

業務の振り返りというものは、日々の業務に追われて後回しにしてしまいがちですが、KPTを通じてシンプルかつ定期的に実施することで、必ず組織や個人の業務プロセスのアップデートにつながります。 闇雲に新しいアイディアを考えるのではなく、具体的な解決方法の検討と実践によって、着実に改善するという実感が、個人や組織のモチベーションを高めることにつながります。

KPTのやり方 

実際に組織や個人でKPTを実践するときの、進め方について説明します

KPTのフォーマット準備

ここでは、ホワイトボードとふせんを用いて行うと効率的です。
まずホワイトボードの中心に縦線、さらに分割して左側に横線を入れます。3つの枠に分割した。左上に「Keep」、左下に「Problem」右側に「Try」と書き込みます。

上記のようにKPTのフォーマットが準備できたら、約5分間で思いつく限りの「Keep」「Problem」の2つから振り返りを行い、ふせんに振り返った項目を書き出します。「Keep」「Problem」の項目が書き出せたら、次の5分間で思いつく限りの「Try」について解決策やアイデアを書き出します。

この時付箋にはまとめて項目を書かずに、1項目ずつ書き込みましょう。また深く考えずにブレーンストーミングのような感覚で書き出すこともポイントです。

Keep・Problemは貼り出す

次に、書き出した「Keep」「Problem」「Try」の項目の付箋をホワイトボードの各スペースに貼り出します。

この時、似たような意見を近くにまとめるとこの後のディスカッションがスムーズになります。

Keep・Problemについてディスカッション

貼り出した付箋の内容について「Keep」「Problem」のディスカッションを行います。参加者全員のコメントをホワイトボードに書き出して、可視化・共有できるようにします。
このディスカッションでは全員が意見を発言できるよう、一人ひとりの発言時間が長くなりすぎないように注意が必要です。

現実的・具体的なTryを決める

「Keep」「Problem」のディスカッションが終わったら、「Try」の欄に出ている「挑戦すべきこと」に対して 具体的にどのようなアクションを起こすべきか話し合います。

「~を注意する」「~を頑張る」といった抽象的な項目ではなく、具体的にどういう行動をするのかを明確にすることが「Try」の目的です。 組織で具体的に行動するための対策を協議として、組織に必要な仕組みや実施の優先順位をつけることも重要です。

KPTを成功させるポイント
 

 

組織でKPTを効果的に行うためのポイントについて解説します。

参加者の心理的安全性を確保

KPTでは課題の本質に迫るために、参加者全員が思いついたことをそのまま発言できる環境を作ることが重要です。特に「Keep」「Problem」のディスカッションの際には、 他人からの批判を避けるために発言を避けるケースがあります。しかし本人にとって些細な事が、実は課題 の本質である場合があります。KPTの場ではどんな些細な意見も自然と集まるよう、自由に発言ができる空気感を醸成するよう努めましょう。

ファシリテーターを設置

KPTの場では、参加者が多い場合、議論が行ったり来たりと散乱してしまうことがあります。KPTの目的は、振り返りによる課題の早期発見と改善策を導き出すことです。 そのため重要な課題や優先順位の高い項目についてKPTを実施する場合は、時間配分や取りまとめを集中して行うファシリテーターを設置することが有効です。

継続開催の仕組みづくり

組織で習慣的に課題の早期発見や改善策の導き出しを行うために、KPTを継続開催する仕組みづくりが重要です。前回の「Try」の効果測定なども定期的に行えるよう、日時や週次などのスケジュールに落とし込み、改善のサイクルを回していく姿勢が重要です。

まとめ

KPTは行動や結果に対して、Keep・Problem・Tryの3つの要素に分解して振り返りを行うことで、問題が明確になり、次のアクションを起こしやすくします。また、非常にシンプルなフレームワークなので、大きな負担やストレスもなく、定期的に繰り返し実施しやすいことも特徴です。

KPTは、繰り返すことで業務効率が上がるだけでなく、従業員が課題の発見・改善を通じて成長感や貢献感を得られやすいといったことから、個人や組織の双方に大きなメリットがあると言われています。

今回の記事を参考に 課題対応へのストレスを軽減し効率化を図るKPTを活用してみてはいかがでしょうか。
 

WRITER

大後 裕子

C-OLING代表

生活用品メーカーで10年間企画職に従事し、企画立ち上げから海外工場との商談、販促まで商品開発のゼロから一貫して行い、多くの商品をブランディングし、リリース。 8年販売され続けるヒット商品を始め、開発商品点数累計約1,200点、約1,700店舗へ導入。ブランディングを主軸とした、経営コンサルティング、 社内教育の3つの事業を通して、多くの人の生活に豊かさを提供ができる企業を社会に増やしたいと考えています。