新しい働き方「ギグエコノミー」とは?そのメリット・デメリットを紹介
2022-10-17
大後 ひろ子
C-OLING代表 ブランディングコンサルタント
採用その他
ギグエコノミーとは?
ギグエコノミーの「ギグ(gig)」とは、主に音楽業界で使われてきた言葉で、ライブハウスなどで演奏者が一度限りの単発ライブ、演奏者同士のセッションなどを行うことを指す言葉です。
その言葉が転じ、インターネットを通じてフリーランスなどの立場で、単発もしくは短期の仕事を受注する働き方のことをいいます。
つまり、「ギグエコノミー」とは、働き方の概念であり、就業形態なのです。
こちらではギグエコノミーが発展した理由や、メリット、デメリットなどを解説していきます。
シェアリングエコノミー、クラウドソーシングとの違い
ギグエコノミーの働き方と混同される言葉があります。
それは
- シェアリングエコノミー
- クラウドソーシング
です。
まずはギグエコノミーとどう違うのかを説明しておきましょう。
シェアリングエコノミー
ギグエコノミーが共有するものは「人材」ですが、シェアリングエコノミーは「モノ」を共有し、自分の「モノ」を貸し出す(シェアする)という働き方を意味します。
「モノ」は、物体やサービス、場所などを指し、「モノ」を必要とする多くの人と共有・交換して利用します。
貸し出すものとして例を挙げると、
- 自宅の空き部屋
- 車
- 高級バッグ
- 自転車
などです。
クラウドソーシング
クラウドソーシングは仕事を依頼する企業側の目線に立った名称です。
企業がインターネットを通じて不特定多数の労働者に対して業務内容や報酬などを提示し、仕事を発注することを指し、企業はフリーランスを代表するような個人労働者との間で受発注の取引を行うことができます。
受注側の労働者の目線に立った場合は「ギグエコノミー」と解釈することもできるでしょう。
ギグエコノミーが発展してきた背景
ギグエコノミーが発展してきた背景には、
- インターネット上でプラットフォームを提供する企業の台頭
- 労働者のさまざまな働き方への価値観の変化とニーズ
が考えられます。
プラットフォームを提供する企業の台頭は著しく、仕事のマッチング以外にも、身元の保証や仕事の実績紹介、売掛金の回収代行、報酬の支払いなどさまざまなプロセスにおいて業務の代行やサポートをしています。
信頼性のあるプラットホームの確立は、労働者を呼び込むうえでも頼もしく、ギグエコノミー発展の後押しにもつながったのです。
ギグエコノミー成長企業の代表例
Uber(ウーバー)
配車サービスを行うライドシェア最大手企業です。
Airbnb(エアビーアンドビー)
宿泊施設や民泊を貸し出す人と借りたい人をつなぐ、宿泊施設仲介を行う企業です。
TaskRabbit(タスクラビット)
お店の行列へ並ぶことから家具の組み立てまで、さまざまな仕事を代行する人を派遣する便利屋サービス企業です。
ギグエコノミーのメリット・デメリット
ギグエコノミーは労働者にも企業にもメリットとデメリットをもたらします。
こちらでは労働者、企業それぞれの視点から、メリット・デメリットをお伝えしましょう。
労働者側のメリット・デメリット
メリット
自由な働き方ができる
場所も時間も問わずに好きな時に仕事ができるため、自分のライフスタイルを守りながら、自由に働くことができます。
高いスキルや知識を持っている労働者は、より自由に労働環境を選択することができるのでメリットも多いことでしょう。
自分のスキルや価値の見極めができる
ギグエコノミーで働くということは、自分のスキルや価値の見極めにもつながります。
能力さえあれば、実力に合った評価や報酬を得ることができるでしょう。
デメリット
不十分な保護施策
企業との雇用契約が曖昧であり、労働者は保護や権利が主張しづらいのが現状です。
万が一、仕事中にトラブルが起きても労働者の自己責任になってしまう場合が多く、労災や社会保障も受けられないことから、リスク管理も自分次第です。
不安定な仕事環境
労働者に高いスキルや能力がなければ、良い条件の仕事を得られず、仕事獲得に苦労しても、保証はありません。
自分自身のフォロー
ギグワーカーは全ての業務プロセスを一人で行い、一人で完結させなくてはなりません。
社会とのつながりも希薄になりやすく、自分自身のフォローをしながら働く強さが必要です。
企業側のメリット・デメリット
メリット
固定費用を抑えられる
単発で仕事を依頼できるので、労働者に対する社会保障や年次有給休暇制度、福利厚生などのコストを削減することができます。
社員の雇用と比較しても、コストの大幅コストダウンはメリットです。
即戦力の人材確保ができる
プラットフォーム内で即戦力となる人材を採用することで、人材育成にかかる時間や採用コストの削減ができます。
デメリット
知識や技術の蓄積
労働者とは単発での仕事の関わりであるため、仕事上必要となる知識や技術を社内に蓄積することができません。
コンプライアンスでの問題
労働者へ企業側が長時間の労働を強いる、無理な依頼を繰り返すなどを行えば、コンプライアンス面での問題が発生します。
業務上の守秘義務
企業側も雇用した労働者次第で業務や人材の質が不安定になる可能性も秘めています。
労働者が知り得た業務上の企業秘密や情報の保護なども課題となるでしょう。
日本におけるギグエコノミーの将来性
日本におけるギグエコノミーは、世界と比べてもまだまだ普及率が低い状態です。
しかし、ギグエコノミーは世界中で拡大しており、さまざまな働き方への価値観が広がる昨今、ギグエコノミーは今後の日本でもまだまだ普及していくことが予想されます。
労働者の価値観の多様化を背景に、政府は「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(2021年3月)を策定しました。
現在、フリーランスの労働者(ギグワーカー含む)が、一方的に不利な扱いを受けないための環境整備を進めており、ギグワーカーが活躍できる環境は増えていくことでしょう。
このような労働者の働き方の波に乗り遅れないために、企業は最新の働き方やサービスにも目を向けておきましょう。