適性検査とは何か?一般的な検査の種類と特徴、注意点を紹介

2022-10-07

大後 ひろ子

C-OLING代表 ブランディングコンサルタント

採用その他

適性検査とは?

適性検査は「人を見極めるために使用される検査」のことです。
採用活動の際、自社で活躍できる人材を効率的に見極める手段の一つとして、適性検査を導入している企業も少なくありません。
しかし、人事担当者は適性検査の種類や内容を把握したうえで、検査を行っているのでしょうか。

「検査の種類が多くて違いがよくわからない」
「どの検査が一番効果的なのだろう…」

など、実はよく把握できていない担当者の方も多いのではないでしょうか。

そこでこちらのページでは、適性検査の種類や特徴、注意点についてご紹介します。

適性検査の測定内容

適性検査には大きく分けると「能力検査」と「性格検査」の2つに分けられます。

能力検査

基本的な能力を測定するのが「能力検査」です。
国語や数字のような基礎学力、社会人としてふさわしい一般常識の有無、論理的思考などを測ります。
検査レベルは難易度が高いものではなく、主に学生時代の試験に近い内容が出題されます。

性格検査

その人の人間性や性格、価値観、考え方の癖や特性などを測定するのが「性格検査」です。
入社後に社内外において円滑なコミュニケーションが取れるか、仕事に対する考え方などを判断し、応募者と自社企業のミスマッチが起こること防ぐために性格検査を行う場合も多いようです。

適性検査の主な種類

採用活動で使用される適性検査はさまざまで、数えてみれば50種類以上にもなります。
ここではよく使用される検査をピックアップし、ご紹介しましょう

SPI3

リクルートキャリアが開発した適性検査です。
国内トップクラスのシェアを誇り、多くの企業で導入されています。
特に学生の就職活動時に多く用いられ、検査は

で、構成されています。

玉手箱

性格検査と能力検査で構成されていますが、特に能力検査では9つの特性について分析されます。
検査ではWebテストが採用されており、自宅から受験できるテストとして知名度とシェアを広げています。
主に金融業界で導入されています。

Cubic

性格検査と能力検査を含めた試験時間の短さと、判定スピードの短さに定評があります。
能力検査は言語・倫理・数理・図形・英語の5科目で、難易度は中学生から高校生レベルで出題されます。
業種や業態、企業規模を問わずに人気の検査ですが、特に中小企業での導入実績が高いです。

クレペリン検査

60年以上の歴史と実績をもつ心理検査で、簡単な一桁の数字を淡々と足していく単純作業のテストです。
英語版、中国語版もあるため、外国人の方にも使用が可能です。
能力、性格や行動面での特徴が分析できます。

eF-1G

適性検査の中でも、難易度が高いとされている検査です。
性格検査では全251問・80項目、能力検査は19ブロック114問もの問題が用意されており、広く深く人物の特徴や、心の機微を測定することができます。
また、採用選考基準や適性判断などを企業ごとにカスタマイズすることも可能です。

TAL

質問形式・図形形式の2種類で行われる検査です。
専門の弁護士によるチェックを受けており、人権に対しての配慮がされている質問文や選択肢が用いられます。
試験時間は約20分程度という短時間で、分析結果をWebで確認できるということも特徴です。

適性検査の受験方式

次に適性検査の受験方式について紹介しましょう。

ペーパーテスト

筆記用具を使用し、テスト用紙に解答を書き込むテストです。
試験時間は比較的長くかかりますが、大まかな出題内容や問題量を把握してから取り掛かることができるため、余裕をもって受けることができるでしょう。
しかし、分析結果が出るまでに時間がかかる場合が多いです。

Webテスト

自宅や学校のパソコンから受験するテストです。
パソコンとネット環境さえあれば、受験者の好きな場所、時間で受けることができます。
特に新型感染症の流行に伴い、導入率が増加しました。
しかし、受験中にトラブルが起きてしまった場合でも、受験者本人の対応となってしまいます。
そのため、インターネットの通信環境やパソコン動作環境の事前チェックは欠かせません。

テストセンター

適正検査を提供する会社が会場を用意するので、受験者は会場に出向き、会場に設置されているパソコンで受験します。
過去1年以内にテストセンターでテストを受けている場合は、前回の受験内容を企業へ送信することも可能です。

インハウス

企業側が受験会場やパソコンを用意し、そこで行う適性検査を「インハウス」といいます。
適性検査後すぐに結果をダウンロードすることができるため、時間をかけずに選考の判断材料に利用することができます。
結果がすぐにわかることから、面接とセットで行われる場合が多いです。

適性検査の注意点

あまり考えたくないことですが、受験方式によっては受験者が不正を行うチャンスもあります。
不正行為の一例を挙げておきましょう。

電卓使用

テストセンターでの受験の際、電卓は使用禁止ですが、自宅受験では電卓が使用されてもわからないため、実質、使用可能な状態となっています。

受験者なりすまし

自宅受験ではもちろんのこと、テストセンターでの受験においてもなりすましを起こすことができる状況です。
実際、本人を名乗る別の人物が検査を受けに来るケースは少なくありません。

性格検査での嘘

性格検査で、あえて嘘の答えを書くケースが見られます。
自分の見せたい性格を演じ、本来とは違う解答をしてしまうのです。
しかし、適性検査の項目には「ライスケール」という嘘をついていないかを見抜く質問もあるため、受験者の嘘を見抜くこともできます。
 

適性検査導入の勧め

適性検査は採用活動の場だけでなく、社員の能力開発や人事配置、評価といったさまざまな場面での活用も期待できます。
適性検査の種類は豊富ですから、人事担当の方はどれが良いか迷ってしまうかもしれませんが、検査の導入実績やコスト、自社に合った質問項目の有無などから判断してみてはいかがでしょうか。
人物の能力や性格を見極める方法の一つとして、適性検査を効果的に活用していきましょう。
 

WRITER

麻生さきこ

ライター

キャリアアドバイザーとして求職者のカウンセリングや面接対策、就職セミナーなどに携わり、求職者と企業の双方の立場から就職支援、採用支援を行った経験あり。 個人事業主として開業後は、人材分野のほか、学習・教育分野、医療分野、サブカルチャー関連など幅広いジャンルでの執筆活動、インタビュー取材を多数行う。WEB媒体はもとより、広告、新聞、雑誌など紙面での記事執筆経験あり。硬軟使い分けたコラム、エッセイも得意。