タイムカードは何に使うもの? 目的やメリット・デメリットを解説

2022-10-07

大後 ひろ子

C-OLING代表 ブランディングコンサルタント

労務勤務管理

オフィスの壁にずらりと並ぶタイムカードの中から自分の名前が書かれた1枚を抜き出し、タイムレコーダーに差し込む……。あなたの会社でも毎日当たり前のように繰り返される光景かもしれません。誰にでも簡単に扱えてコスト面でも優秀なタイムカードですが、今の時代にはマッチしないと感じている方も多いのではないでしょうか? こちらの記事では、タイムカードの基本的な知識に加え、今注目を集める勤怠管理システムについてもわかりやすく解説します。あなたの会社にはどちらの方法が適しているのか、ぜひ確認してみてください。

そもそも、タイムカードとは?

タイムカードは、従業員の出退勤時に始業時刻や終業時刻などを記録する用紙のことです。時刻や時間を計測する機器(タイムレコーダー)に、専用のタイムカードを差し込んで打刻する方法が一般的です。

多くの会社では職場の入り口に設置されており、出勤した(退勤する)従業員が自分のタイムカードを使って勤怠管理を行います。本来「タイムカード」は用紙のことを指しますが、「タイムレコーダー」と合わせた機器一式を意味する言葉として使われることが多いようです。

タイムカード・3つのメリット

勤怠管理は、給与計算にかかわる大切な情報です。タイムカードを使って従業員の出退勤時刻を打刻する方法は、大きく3つのメリットがあります。

コスト削減

タイムカードは、初期費用がそれほど高額ではありません。導入時に必要となるのは、従業員の人数分のタイムカード、始業(終業)時刻を記録するタイムレコーダーが1台のみ。ランニングコストとして、月々のタイムカードや打刻用のインク代は必要になりますが、おおむね低コストで運用できます。

利用方法がシンプル

出勤した(退社する)従業員は自分のタイムカードを取り出し、タイムレコーダーに差し込むだけで出退勤時間を記録できます。登録作業や従業員への詳しい説明も必要ないので、導入後すぐに運用をスタートできます。

ラクラク運用

タイムカードの導入にあたって、従業員に向けた教育や運用にまつわる特別な知識などは必要ありません。タイムカードを確認すれば、従業員一人ひとりの勤務状況が明らかになりますので、就業時間の集計作業もスムーズに行えます。

タイムカード・4つのデメリット

運用や管理にまつわる負担が少ないタイムカードにも、デメリットは存在します。

アナログゆえの業務負担

タイムカードは、従業員の出退勤時間を打刻するシステムです。始業時刻・終業時刻が記録されるのは、あくまでも紙です。そのため、就業時間を集計する際には用紙を回収して担当者が1つ1つエクセルなどに入力する必要があり、時間や手間がかかります。

ミスの発生・データ改ざん

タイムカードの回収と就業時間の集計は人の手で行われます。エクセルなどに数字を入力する際にミスが起きないとは限りませんし、故意にデータを改ざんすることも可能です。意図的に就業時間・残業時間を操作できるため、労務管理に求められる労働時間把握ができていると言えるか疑問が残ります。

不正な打刻・打刻忘れ

出退勤時に従業員が打刻を忘れてしまった場合、タイムカードの管理者は従業員の申告に基づいて時刻を手書きしなければなりません。また、タイムカードの特性を悪用し、自分が遅刻した(早退する)ときに同僚にタイムカードの打刻を頼むなどの不正行為が行われる可能性があります。

労務管理に限界がある

タイムカードは従業員の出退勤時間は記録できますが、リアルタイムの残業時間や有給休暇の取得状況などを確認することはできません。一方で、2019年より順次施行されている「働き方改革関連法」では、会社として従業員の残業時間や有給休暇の取得日数を正確に把握するよう求めています。従来型のタイムカードでは、時代に合った労務管理は行えないと言えるでしょう。

タイムカードに代わる「勤怠管理システム」とは?

タイムカードにはシンプルで使いやすいなどのメリットがある一方、思わぬミスや不正を招くリスクがあります。時代に即した労務管理を行うという意味からも、最近は「勤怠管理システム」を導入する会社が増えているようです。

勤怠管理システムには3種類ある

勤怠管理システムとは、ICカードや生体認証システムを活用して従業員の出勤・退勤を管理するシステムです。一口に「勤怠管理システム」といっても、運用方法によって大きく3つに分けられます。

自社システム型

会社の状況に合わせて、サービス提供会社が自社専用のサーバを開発・構築してくれます。

パッケージ型

サービス提供会社からソフトウェアとサーバを購入し、その後の運用は自社で行います。

クラウド型

サービス提供会社と契約(月額/年額)を交わし、インターネット上で運用を行います。

勤怠管理システムが人気の理由

勤怠管理システムを導入することにより、業務効率アップやコスト削減などさまざまなメリットが期待できます。

情報を自動でデータ化

勤怠管理システムでは、打刻によって記録されたデータがシステム上に自動で登録されます。従業員が出勤・退勤時刻を報告するタイムレコーダーにはさまざまな種類があり、従業員がどこにいても勤怠管理を行えます。

マルチデバイス対応

ほとんどのタイムレコーダーは、スマホ・PC・タブレットなどに対応しています。中にはSuicaをはじめとしたICカード対応していたり、指紋や顔など生体認証に対応していたりするタイムレコーダーもあります。

休暇を一括管理

ほとんどの勤怠管理システムでは年次有給の管理もできます。あらかじめ従業員の入社日を入力しておくことにより、付与日数や利用可能日数を労使双方で確認できます。

労務アラートを発出

従業員の就業時間や遅刻の回数が一定の数値を超えると、システムの画面上にアラートを表示できます。従業員の労働状況を「見える化」できる点は、勤怠管理システムの特徴といえます。

シフト管理にも対応

勤怠管理システムでは、シフトの作成・管理も可能です。従業員が希望する日を入力し、管理者は一人ひとりのスキルや必要人数などに照らし合わせてシフトを作れます。

タイムカードと勤怠管理システムを比較し、自社に適した管理方法を選ぼう! 
 

タイムカードによる勤怠管理は低コスト・簡単運用などのメリットがあります。しかし、タイムカードは従業員が打刻を忘れたり、不正に打刻したりするリスクを避けることができず、休暇日数の管理にも対応できません。一方で、近年導入が進む勤怠管理システムは情報を自動でデータ化できたり、従業員の休暇を一括管理できたりと、今の時代に即した勤怠管理を行えます。両者の特徴をよく確認して、あなたの会社に合った管理方法を見つけてください。
 

WRITER

大場由佳

取材対象者の想いを伝えるWebライター

証券会社勤務を経て、印刷会社にてグラフィックデザインを学ぶ。キャリアップを目指した広告代理店では、企画・デザイン・ライティング・ディレクション業務などを幅広く手がける。出産を機にフリーライターとして活動をスタート。医療・グルメ・女性・スクール系など幅広いジャンルのWebサイトで記事を執筆し店舗取材を多数経験。取材時に寄せられる労務問題に対応する中で知識を深め、読みやすく・分かりやすい文章で発信中。