特別休暇とは何か? 無給か・有給か、法定休暇との違いなどを解説

2022-11-16

大後 ひろ子

C-OLING代表 ブランディングコンサルタント

労務福利厚生

毎週土曜日と日曜日がお休みで、さらに有給休暇もしっかり消化できる。そんな恵まれた環境で働いていても、「もっと休みがあったら……」と思う人は多いのではないでしょうか? 法律で決められている最低限の休暇に加えて、各企業が独自に導入できるのが「特別休暇」といわれる休暇制度です。こちらの記事では、特別休暇の基本的な知識や法定休暇との違いなどをわかりやすく解説します。特別休暇はあなたの会社をより魅力的にする武器にもなり得ますから、ぜひ内容をチェックしてみてください。

そもそも、特別休暇とは?

特別休暇とはその名のとおり、会社が従業員に対して特別に与える休暇です。特別休暇は法律で決められている休暇(法定休暇)とは異なり、会社の福利厚生の一環として導入されます。

それぞれの会社が独自に導入する特別休暇は、従業員にリフレッシュしてもらうことを目的にしているものが多く、各社がオリジナル色を打ち出せる点が特徴です。また、特別休暇を導入することにより従業員のモチベーションがアップしたり、多様な働き方に対応できたりするメリットもあります。

特別休暇導入のメリット

法定休暇に加えて特別休暇制度を設けている会社では、以下のような効果が期待できます。

会社にもたらすメリット

従業員にもたらすメリット

特別休暇は有給? 無給?

特別休暇はそれぞれの会社が独自に導入・運用するものです。そのため、休暇を取っている期間を有給とするか、無給とするかは、会社によって異なります。同じ理由により、休暇を翌年へ繰り越すことができるか、休暇を取った日を出勤扱いにするかどうかなども、会社が自由に決めてよいことになっています。

このように特別休暇に対する考え方は会社によって異なりますが、特別休暇の代表といえる「慶弔休暇」などについては「有休(有給休暇)扱い」とする会社が多いようです。また、有休が理由を問われずに取得できるのに対して、特別休暇は休暇取得にあたって勤続年数などさまざまな条件をクリアしなければならない場合が多いようです。

特別休暇の種類

特別休暇は、会社がそれぞれにオリジナリティあふれる制度を作り上げることができます。厚生労働省の調査(令和2年度)によれば全体の60%近い会社が特別休暇制度を導入しており、会社の規模に比例して導入率が高くなる傾向があるようです。

特別休暇には多くの会社で導入されているスタンダードなもの、時代に合わせて採用されたものなど、さまざまな種類があります。

慶弔休暇

特別休暇の代表的なものとして慶弔休暇が挙げられます。従業員本人が結婚するときや配偶者が出産するなどのお祝いごと、身内が亡くなって葬儀に出席するときなどに合わせて取得できます。

夏季・冬季休暇

お盆やお正月に合わせて与えられるのが夏季休暇・冬季休暇です。厚生労働省の調査では、平均日数は4.4日、約4割の会社で導入されています。

リフレッシュ休暇

従業員の心と体の回復(リフレッシュ)を目的とした休暇がリフレッシュ休暇です。一定期間継続して勤務している従業員に与えられることが多く、全体の平均日数は5.5日となっています。

誕生日・アニバーサリー休暇

誕生日や結婚記念日など、従業員にとって特別な日に取得できる休暇です。独身の従業員には誕生日休暇を、既婚者には結婚記念日休暇を与える会社もあるようです。

ボランティア休暇

各地で発生する災害の復興支援をはじめとした社会貢献活動を行おうとする従業員が取得できる休暇です。しかしながら、ボランティア休暇の導入率はまだまだ低い状態で、全体の5%にも達していないのが現状です。

教育訓練休暇

業務上必要な資格を取るために勉強したり、実際に試験を受けたりするときに取得できる休暇です。厚生労働省の調査では平均日数を17.6日としていますが、従業員1,000人以上の大企業でも導入している会社は2割以下となっています。

裁判員休暇

日本で裁判員裁判が開始されたのに伴い、新たに導入されたのが裁判員休暇です。従業員が裁判員裁判の裁判員に選任され、裁判員として活動する際に休暇が与えられます。

特別休暇と法定休暇の違い

法定休暇は法律で定められた労働者の権利であるのに対して、特別休暇は会社が任意で設定できる休暇制度です。法定休暇には、労働基準法で定められているもの・育児介護休業法で定められているものがあります。

労働基準法が定める法定休暇

育児介護休業法が定める法定休暇

特別休暇は目的を明確にすることが大切。魅力的な制度をつくろう!
 

 

特別休暇は法律に規定がないため、それぞれの会社が自由に制度設計できる点が特徴です。新たに特別休暇を導入する際には従業員のニーズをしっかり汲み取ったうえで、枠組みづくりを進めるといいでしょう。また、せっかくの仕組みがうまく機能しているかどうか、導入後も定期的に検証していくことも必要です。たとえば、すべての従業員に適用される誕生日休暇であれば、全体の何割が取得しているかを正しく把握できるはずです。もしも取得率が低いようなら再度取得を促すなどして制度の周知を徹底し、取得率アップを目指しましょう。
 

WRITER

大場由佳

取材対象者の想いを伝えるWebライター

証券会社勤務を経て、印刷会社にてグラフィックデザインを学ぶ。キャリアップを目指した広告代理店では、企画・デザイン・ライティング・ディレクション業務などを幅広く手がける。出産を機にフリーライターとして活動をスタート。医療・グルメ・女性・スクール系など幅広いジャンルのWebサイトで記事を執筆し店舗取材を多数経験。取材時に寄せられる労務問題に対応する中で知識を深め、読みやすく・分かりやすい文章で発信中。