「KJ法」とは?情報やアイデアを効率的にまとめる方法を伝授

2022-09-28

大後 ひろ子

C-OLING代表 ブランディングコンサルタント

労務その他

新しい企画案を考えながら何日も過ごしたり、意見がまとまらない会議に何時間も費やしたり…そんな経験ありませんか? 新たな発想や問題解決策が生まれないのは、議論の進め方に原因があるかもしれません。こちらの記事では、さまざまなアイデアを抽出し、整理・分析するのに役立つ「KJ法」についてわかりやすく解説します。独創的な発想法をマスターして、限られた時間の中で効率的にアイデアをまとめましょう。

そもそも、KJ法とは何か?

KJ法は、頭に浮かんだアイデアを言語化するための手法です。カードや付箋などの紙にアイデアを書き込み、それらをグループ分けすることにより、内容を整理・分析していきます。

「KJ」は開発者のイニシャル

KJ法の生みの親は、地理学者であり文化人類学者の川喜田二郎(かわきた・じろう)氏です。1967年に出版された著書『発想法―創造性開発のために』の中で、この独創的な発想法が発表されました。KJ法のK・Jは、開発者のイニシャルだったというわけです。

ブレインストーミングとの違い

ブレインストーミングの発祥は、1950年前後のアメリカだとされています。職場内や友人間で自由に意見を交わし、よりクリエイティブなアイデアを導き出す手法を指します。

ブレインストーミングが制限なく・自由に・新たな視点で意見を出し合う発想法であるのに対し、KJ法はブレインストーミングによって得られたアイデアをまとめることによって新たな気付きを得て、問題を解決します。

KJ法の実施フロー

KJ法を行うのに必要なのは、カードや付箋などの紙とペン、ホワイトボードや大きな机など、情報をカテゴリ分けするために必要なスペースです。KJ法を実施する際には事前にブレインストーミングを行い、さまざまな視点から意見を募ります。

1)ブレインストーミングでアイデアを抽出する

ブレインストーミングを行う際は、なるべく異なる立場・性格の人に参加してもらい、多彩な意見が集まるようにします。決められた時間内で活発な議論ができるよう、参加人数は10人未満にするといいでしょう。

ミーティングをサポートする司会進行役や意見を紙に書き込む書記などの役割を決めたら、挙手または順番制で意見を出し合います。発言者の意見に対して疑問がある場合は質疑応答を行い、もしも反対意見が出た場合も1つのアイデアとして採用します。

ブレインストーミングの大きな目的は、制限なく自由に意見を出し合うことです。次に挙げる2つのルールを守って議論を進めましょう。

ブレインストーミングのルール

(1)批判をしない

発言者が提案したアイデアを実現できるかどうか、ブレインストーミングの場で判断する必要はありません。他人の意見を批判し合うような雰囲気を排除し、自由な発想・自由な発言ができる環境を整えましょう。

(2)質にこだわらない

ブレインストーミングは、少しでも多くの意見、多彩なアイデアを引き出すことが目的です。完璧なアイデアは求めず、積極的に発言してもらいましょう。後に行うKJ法の中でさまざまなアイデアを掛け合わせ、まとめ上げればOKです。

2)アイデアカード(付箋)をグループごとに分ける

ブレインストーミングで抽出したアイデアや意見が書かれたカードは、1つ1つ読めるようにホワイトボードやテーブルに広げます。こうしてアイデアの全体像を把握できたら、内容が似ているものを選んでグループをつくっていきます。このとき、どのグループにも属さないカードがあっても構いません。

3)それぞれの関係性を図解化する

(2)でカードをグループ分けしたら、グループごとに「見出し」を付けます。次に、関連性のあるグループ同士を近づけたり、丸で囲んだりして図解化します。それぞれのグループを線で結び、「原因」「結果」などのワードを書き込めば、お互いの関係性がよくわかるようになります。

4)図を言語化して共有する

カードのグループ分け、図解化が終わったら、それぞれのグループの紹介文のようなものをつくりましょう。各カードに書かれた言葉をできる限り拾い上げ、アイデアを言語化するという作業です。出来上がった図の中で最も重要なグループはどれか、参加者全員で確認しながら行ってください。

KJ法を活用する3つのメリット

社内に新しい事業を立ち上げたり、新しい休暇制度や福利厚生を導入したりするとき、KJ法は大きな助けになります。

1)アイデアを可視化できる

ブレインストーミングによって多くのアイデアを引き出し、KJ法で図解化し、言語化する。こうしたステップを踏むことにより、ぼんやりと頭の中にあったアイデアを見える化できます。また、1つのアイデアに対して参加者全員でサポートすることが可能になり、より良い結果につながります。

2)情報を整理整頓できる

アイデアが書かれたカードをグループに分ける作業は、情報を整理しているのと同じです。また、各グループを関連付けたり、図解したものを言語化したりする中で、自然と論理的な思考(ロジカルシンキング)が養われます。ロジカルシンキングが身に付けば、情報をわかりやすく伝えられるようになります。

3)より良いアイデアの創造

KJ法では、常識を覆すアイデアや少数派の意見にもスポットが当てられます。参加者の意見をもれなく吸い上げることにより、新たな課題が見つかったり、思わぬ解決策が見つかったりします。幅広い視点で集められた意見を分析・整理することで、新しいアイデアが生み出されるでしょう。

KJ法を正しく活用して、アイデアを整理整頓しよう!

1人ではたどり着けないかもしれないゴールの場所を、仲間と一緒に探していく…。KJ法は、そのための手法の一つと言えるかもしれません。カードや付箋、ミーティングのための場所など、準備にはそれなりに手間がかかりますが、きっと1人では思いつかないアイデアや新しい価値観に出会えるはずです。自分の考えを明確にするとともに、他者の意見にもしっかりと耳を傾け、理想のゴールを目指しましょう。

WRITER

大場由佳

取材対象者の想いを伝えるWebライター

証券会社勤務を経て、印刷会社にてグラフィックデザインを学ぶ。キャリアップを目指した広告代理店では、企画・デザイン・ライティング・ディレクション業務などを幅広く手がける。出産を機にフリーライターとして活動をスタート。医療・グルメ・女性・スクール系など幅広いジャンルのWebサイトで記事を執筆し店舗取材を多数経験。取材時に寄せられる労務問題に対応する中で知識を深め、読みやすく・分かりやすい文章で発信中。