チームビルディングとは?組織のパフォーマンスを向上させる 目的や方法を解説

2022-09-30

大後 ひろ子

C-OLING代表 ブランディングコンサルタント

組織組織開発

組織におけるチームビルディングとは、1人ひとりの個性や能力・知識や経験が最大限に発揮され、目標達成できるチームを作り上げる取り組みのことです。

組織は異なる個人の集合体です。しかし正しいチームビルディングによって協働における問題を解決できれば、個性や経験が掛け算のように重なり合い、チームの力を強化していくことができます。

本記事では、チームビルディングの本質的なメリットや、取り組みのためのプロセスについてご紹介します。

チームビルディングの基礎知識

日本におけるチームビルディングという言葉は、学生の部活動などでも慣れ親しまれるほど浸透しています。しかし正しい意味やプロセスを理解・実行しているチームはそれほど多くないのではないでしょうか?ここでは言葉の持つ本来の意味と、再注目されている背景を解説します。

チームビルディングの意味

チームビルディングとは、目的達成できる強い組織を構築していくための取り組みです。

個人の集まりを指す言葉で、チームと意外にグループという呼び方もあります。
チームはメンバー全員が共同体として目的達成のために活動を行う集団です。一方グループは、ある目的のために集まった単なる集団のことを指します。

チームビルディングの目的は、ただ仲が良くなる事ではありません。メンバーそれぞれが個々の持つ能力で課題に主体的に取り組むことで相乗効果が生まれ、最高のパフォーマンスで目標達成を目指す事です。

チームビルディングが注目される背景

個々のパフォーマンスを発揮できるチームは、組織としてとても効率的です。働き手の減少が問題視される現代で、少数でも成果を出せるチームを構成することが求められています。また、若手社員の即戦力化という視点からも、ベテラン社員の知識やスキルをスムーズに共有できる組織を構築するために、チームビルディングが不可欠なのです。

組織におけるチームビルディングのメリット

チームビルディングに取り組む前に、組織においてどのようなメリットがあるか解説します。

コミュニケーション量が増える

チームビルディングに取り組む際、コミュニケーションの活性化を意図的に起こす仕組みを構築ができます。

朝礼や社内報、研修や合宿、企画イベントやアイデアミーティングなど、さまざまな角度から取り組みが可能です。対象や目的に合わせた施策を柔軟に取り入れることによって、これまで接点のなかったメンバー間にコミュニケーションの機会が生まれます。

モチベーションの向上

チームビルディングによって個々人の役割が明確になるため、自分の能力を発揮できる場所を確立できます。それは安心感につながり、仕事へのモチベーションを高めます。その結果従業員全体に、自主的な組織への貢献意欲が生まれるのです。

またこのような従業員が多いチームでは相手を尊重する意識も芽生えます。チームへのエンゲージメントも高まり、自然とモチベーションの高い状態をキープする事ができます。

新しいアイデアが生まれる職場環境

チームビルディングを取り入れることで、メンバー間で共に目標達成する意識が芽生えます。自分は考えもしなかったアイデアや経験による素早い判断など、各メンバーの視点や能力が掛け合わさる事で、組織にイノベーションが生まれやすい環境を作れます。

チームビルディングにおける5つの段階

チームビルディングには「タックマンモデル」と呼ばれる5つの段階が存在します。これは心理学者のブルース・W・タックマン氏が提唱したことから、その呼び名がつけられました。これから解説する5つの段階を経て、チームビルディングを発展させられるとされています。

1. 形成期

チームが立ち上がったばかりの段階です。この段階は、メンバー同士の理解が不十分で、チームの目標も不確かなため、チーム内には緊張感があります。ここではリーダーが主導となり、目標意識を醸成するためのコミュニケーションを行います。

2. 混乱期

メンバー間で対立や仲違いが生まれている段階です。チームが誕生し、少し時間が経つとメンバー1人ひとりの考え方の違いが明らかになり、混乱が生まれやすいのです。次の第3段階に移行するために、意見の対立を恐れず、目的達成のためにディスカッションを行い、お互いの考えに理解を深めていきます。

3. 統一期

安定したチームとして機能していく段階です。意見を出し合ったことで、お互いの立場や価値観への理解が深まっているので、チームの目標やその達成に向けたまとまりが出てきます。 次の段階に移行するために、全員が主体的に動けるようにメンバーの個性を活かせる目標の設定と管理体制が重要です。

4. 機能期

個人の能力を発揮もでき、さらにチームとして機能していく段階です。メンバー同士がフォローし合って協働が確立します。リーダーは適切な人事配置を行い、メンバーの成長をケアすることでチームの成果を出すスピードが加速します。

5. 散会期

プロジェクトなどの目的達成や時間的制約を受け、チームが解散する段階です。メンバーが解散を惜しむようなメンタル的視点と、成果の結果といった論理的視点の両面からチームビルディングの効果を検証しましょう。

混乱期を乗り越える6つのポイント

違う人間が集まった集団の成長に、混乱期は避けられません。そこでこの混乱期を迅速に乗り越える6つのポイントを解説します。

1. ビジョン・理念の策定

企業としてのビジョンの共有も必要ですが、チームが成長すべき方向を示すビジョンや理念を持つことも重要です。目指すべき目標がなければ、モチベーションを保つことは難しくなります。また目的が明確でないためチーム内での相乗効果も起きづらくなります。

集団がチームとしてうまく機能していないと感じている時は、まずチームのビジョン・理念を明確にして共有する事から始めていきましょう。

2. 逆算してマイルストーンを立てる

チームビルディングでは、達成するべき目的からすべきことを逆算することが重要です。どんな優秀な人材を集めても、チームを組んですぐに目的を達成できる訳ではありません。

リーダーが達成までのマイルストーンを設定します。そしてマネージャーがーそれらを達成できているか管理していきます。

マイルストーンの達成を、チーム内で共有し賞賛し合う習慣を設けることで、自分たちの成長を感じる事ができ、着実に目標達成へ近づいていくのです。

3. 組織内の役割・権限を見直す

チームで目的を達成するためには、メンバーそれぞれの役割・権限が明確でないといけません。マネジメントをする上でも、チーム結成後の効果検証を行えるように一人ひとりの成果を分析し、人員配置やタスクの振り分けを見直すことも必要です。

4. 視覚化する

目的達成に向けたスケジュールを、メンバー同士が共有できるように可視化しておきましょう。カレンダーの共有やSNSなど現場によって使いやすいものを選びます。重要なことは、目的達成までの全体像をチーム全員で可視化して共有することです。お互いの業務の負荷や重要性を俯瞰的に考える思考の習慣を身につける事ができます。

5. ひとりに押し付けない

チームビルディングを行うと様々な特性のある人間が集まります。その結果、モチベーションの高い人材に業務が集中してしまう傾向があります。そこでチームとしての相乗効果を出せるように、他のメンバーがサポートしやすい人員配置を行いましょう。

6. コミュニケーションの仕組みを作る

チームが最大のパフォーマンスを発揮するには、コミュニケーションが不可欠です。ミーティングだけでなく、立ち話やSNSなどを利用して、リーダーとメンバー、メンバー同士などシーンに合わせたコミュニケーションの機会を設ける仕組みを作りましょう。

コミュニケーションが活性化すると、情報共有が密になり不足の事態を避けることにもつながります。

まとめ

今回は、チームビルディングの本質的な意味から、5段階の期間「タックマンモデル」の詳細や、混乱期の乗り越え方を紹介しました。経営トップとして「色々施策を講じているのに、チームがうまく機能しない根本的な理由がわからない」といった課題を持っている方は、今回の記事を参考に組織の問題を早期発見し、早期解決できる仕組みを作りましょう。

WRITER

大後 裕子

C-OLING代表

生活用品メーカーで10年間企画職に従事し、企画立ち上げから海外工場との商談、販促まで商品開発のゼロから一貫して行い、多くの商品をブランディングし、リリース。 8年販売され続けるヒット商品を始め、開発商品点数累計約1,200点、約1,700店舗へ導入。ブランディングを主軸とした、経営コンサルティング、 社内教育の3つの事業を通して、多くの人の生活に豊かさを提供ができる企業を社会に増やしたいと考えています。