組織デザインの基本を解説!組織のチームワークが向上する7つのステップ

2022-09-29

大後 ひろ子

C-OLING代表 ブランディングコンサルタント

組織組織開発

企業も働き方を選ばれる立場になりつつある現代において、従業員全員の仕事を効率化できる企業が選ばれます。会社へのエンゲージメントを高め、個々人の能力を十分に生かすことのできる合理的な方法として組織デザインが注目されています。

人口減少に伴い働き手は確保できない事態が起こるのは、遠い未来ではありません。あなたの会社でも十分起こりうることです。市場のグローバル化や業界を取り巻く環境、そして従業員の働き方は目まぐるしく変化を続けています。

ゼロから構築することは難しいので、既存のステップを参考にしながら、自社の風土に合ったアレンジを加えることで無理なく取り組むことができます。

今回の記事では組織デザインの基本的な知識と、取り組みに向けた7つのステップをご紹介します。

組織デザインの基礎知識 

「組織デザイン」という言葉に聞き馴染みがない方も多いかと思います。実際、「リーダシップ」「経営戦略」「組織風土」といった経営用語を使用しているビジネスパーソンは多いと思いますが、組織デザインはまだ日本に定着していないのが現状です。まずは組織デザインの本質的な意味についてお話しします。

組織デザインの意味

組織デザインとは、最高のパフォーマンスを発揮できる組織をデザインすることです。2人以上の人間が同じ目的達成のために集まったものが組織ですが、しかし
従業員個々人の気分や感情によって、組織としてのパフォーマンスを発揮できなくなります。これは積み重なってパフォーマンスの低い組織文化を生み出す恐れがあります。

そこで組織デザインでは、従業員それぞれの特性や能力が生かされ、目的・目標達成する組織のメンバーとして機能し、企業活動を最大限に発揮できる仕組みの構築を行います。

組織体制強化のための7つのステップ
 

組織デザインは、単に「組織を変える」ことが目的ではありません。組織のパフォーマンスを最大化することが目的です。あなたの会社でも取り入れやすいように、組織デザインの取り組み方について7つのステップで解説していきます。

1. ビジョンの共有

経営者は従業員に対して企業の向かうべきビジョンを提示することが必要です。それは単に「〇〇年後に年商〇〇億円!」という経営計画ではなく、市場の分析や世界経済の情報収集などから導き出した自社の5年後、10年後向かうべき方向です。経営者はビジョンを明確にし、その目的達成への経営計画への理解を深められる発信をすることが重要です。

2. ビジョン達成の組織構造の見直し

目まぐるしく変わる市場において、10年前に設定した組織構造では機能が果たせなくなっている可能性があります。どの組織に何の機能(役割)を持たせ、どのような階層が必要か検討します。

例えば、策定した事業部に「企画の機能をつけるのか?」「それとも別部署が行うのか?」「それは案件ごとに見直すのか、分業させるのか」など、組織構造の設計を行います。

3. 役割・権限の明確化

従業員のパフォーマンスを最大化するためには、本来与えられた役割が注力するべき業務に集中して取り組む必要があります。そのために役割・権限を明確化することで業務の無理・無駄を排除します。今までなんとなく通例的に行ってきた業務を改めて見直すことで、実は要らなかった設備や書類、会議などの従業員の時間の無駄や、設備の老朽化や従業員のプレッシャーなどの無理を見つけることができます。これらを改善することで、従業員が専門性の高い組織を構築でき、効率的に業務が可能になるので成果を出すことができるのです。

4. 職場環境の見直し

役割や権限を明確化すると同時に、職場環境の見直しを行います。なぜなら無理・無駄の多い組織では、いつの間にかできてしまった悪い習慣によって、職場内に勢力関係が生まれているケースが多いからです。役職が高いからといって偉いというわけではなく、それぞれの仕事を尊重できる風土作りも欠かせません。

5. シンプルな人事評価システム

年功序列や職能給といった報酬制度を取り入れている企業が多いのが現状です。
しかしこれでは、本気で取り組んでいる従業員を正しく評価することができるでしょうか?

例として昇進テストを実施している実際にあった企業の話をします。人望が熱く、いつも仕事が集中してしまう仕事のでる従業員Aが残業続きで試験勉強ができずにいました。しかし一方で、人望がなく自分の仕事だけこなしてそそくさと帰宅する従業員Bは、試験勉強をする時間がしっかり確保できました。その結果、昇進試験でAさんは不合格、Bさんは合格し主任のポジションと報酬を得ることになりました。

いかがでしょう?
有能な従業員を育てたいと思うのならば、企業への貢献度をシンプルに評価できる人事評価制度が必要なのです。

6. スキルアップの仕組みを構築

採用活動において、優秀な人材だけを獲得することは難しいでしょう。そこで組織に合わせた教育の改善によるスキルアップが重要になります。組織の中に同じ思考の系統を持つ人物ばかりが集まっても新しいイノベーションは起こりません。個性ある従業員のそれぞれの特性を見抜き、基礎的な技能的スキルと、思考的スキルの両方を育成していきましょう。そのためにもマネジメント層には、個人の個性を生かすマネジメント能力教育を実施することが必要です。

7. 情報管理システムの強化

組織の立て直しには、営業計画や人材育成計画など各分野の成功パターン・失敗パターンといったあらゆる情報が、いつでも取り出せることが重要です。

なぜなら情報を管理し分析を行うことで、効果的なパターンをいくつか明確化することができるからです。その結果、成功を属人性に依存させない組織デザインができるのです。

組織デザインによる3つのメリット
 

7つのステップによって実際に組織デザインを実施した際の、3つのメリットについて詳しく解説します。

2. マネジメントの効率化

日本の中小企業におけるマネジメント職のほとんどがプレイングマネージャーです。自身の業務も行いながら部下の管理も行うマネジメント職は実に多忙です。そこで企業の組織デザインが行われていると、組織の役割が明確なため判断基準に迷うことが減少します。また従業員のスキルアップのための仕組みも構築されているので、部下の育成に割く時間を削減し、パフォーマンスの良い組織にできるのです。

3. 市場における優位性の確保

組織デザインを行うことで、市場における自社の優位性が発揮できるポイントを分析することができます。その優位性を伸ばしていくことができれば、自ずと競合他社を寄せ付けない営業実績やブランディングができるのです。この分析を続けていけば、自社のマーケットにおけるポジションを強固なものにしていくことが可能になります。

4. 組織風土の醸造

お互いを尊重しあえる組織はコミュニケーションが活発です。円滑な社内コミュニケーションが実現することで、成長し続けられる組織風土を醸成することができます。もちろん1ヶ月半で風土を作り出すことはできません。ただし組織デザインはトップダウンでコミュニケーションを取るように促すのではなく、従業員の「意識」に組織的に変化を起こすアプローチができるのです。

まとめ

組織デザインに取り組むにあたり、中長期的な視点から現状を分析して戦略を立てることが重要です。ビジョンや経営計画と照らし合わせて、自社の組織的能力を冷静に判断します。そうすることで必要な人材の補充や、制度の見直しなどのするべき施策が明確になります。今まで手がけていなかった教育制度の構築や情報共有システムの導入なども効果的に検討することができます。

WRITER

大後 裕子

C-OLING代表

生活用品メーカーで10年間企画職に従事し、企画立ち上げから海外工場との商談、販促まで商品開発のゼロから一貫して行い、多くの商品をブランディングし、リリース。 8年販売され続けるヒット商品を始め、開発商品点数累計約1,200点、約1,700店舗へ導入。ブランディングを主軸とした、経営コンサルティング、 社内教育の3つの事業を通して、多くの人の生活に豊かさを提供ができる企業を社会に増やしたいと考えています。