ボトムアップとは?トップダウンとの違いや最適な意思決定を解説

2022-12-21

大後 ひろ子

C-OLING代表 ブランディングコンサルタント

組織組織開発

「ボトムアップ」とは企業や組織の意思決定において、現場からの意見や提案を基に、経営層やリーダーが「企業もしくは組織としての意思決定」を行うマネジメント方式のことを指します。対となる意思決定スタイルとして、「トップダウン」があります。

今回の記事では、「ボトムアップ」「トップダウン」のそれぞれのメリット・デメリットについて、また組織にとって最適なマネジメント方法を行うためのポイントについて解説していきます。

企業の位置決定2つの方法


会社経営の意思決定の方法として、「ボトムアップ」と「トップダウン」の2種類があります。まずはそれぞれの特性を理解していきましょう。

ボトムアップとは

ボトムアップとは、現場からの意見や提案を基に、経営層やリーダーが「企業もしくは組織としての意思決定」を行うマネジメント方式のことを指します。日本語に訳すと「下意上達」となり、組織の下層部である現場メンバーの意見を、上層部が吸い上げて、意思決定を行います。

トップダウンとは 

トップダウンとは、日本語に訳すと「上意下達」となり、企業の上層部である会長・社長・役員などの経営層やまたはチームにおけるチームリーダーが意思決定を行い、それに基づき下層部である現場メンバーが実行するスタイルを指します。

ボトムアップのメリット・デメリット 
 

 

「ボトムアップ」にはメリットとデメリットもあります。それぞれの特性について詳しく解説していきます。

ボトムアップのメリット

ボトムアップで行う意思決定のマネジメント方法によるメリットは、大きく2つあります。

  1. 現場の現状をリアルタイムで知れる
  2. 部下が自分で考えるようになる

ボトムアップを行うことで現場の現状をリアルタイムで経営に反映していくことができます。そのため現場改善にスピーディーに対応することができ、顧客対応や従業員満足度の向上につながります。

また 意見をしやすい風土が醸造されるため、現場メンバーの問題意識が高まります。その結果現場メンバーが自主的に動き、自ら考えられる能力を身に付けることができます。

ボトムアップデメリット

一方、ボトムアップで行う意思決定のマネジメント方法によるデメリットは、大きく2つあります。

  1. 意思決定までに時間を要する
  2. 現場に優秀な人材は必要

意思決定の段階として現場である下部層からの意見の吸い上げをするため、最終的な意思決定までに時間がかかってしまいます。そのため大企業などの社員数の多い企業では、多い企業では経営改革を行う際に、大きな経営判断をしづらくなる可能性があります。

また、現場に状況判断が得意な優秀な人材を配置する必要があります。しかし、優秀な現場メンバーの意見も集約していく過程で、斬新なアイディアも無難な形にまとまってしまう懸念があります。

トップダウンのメリット・デメリット
 

 

「トップダウン」にはメリットとデメリットもあります。それぞれの特性について詳しく解説していきます。

トップダウンのメリット

トップダウンで行う意思決定のマネジメント方法によるメリットは、大きく2つあります。

  1. 意思決定から実行までの速さ
  2. 大きな変革を起こせる

トップダウンの大きなメリットは、意思決定から実行までが早いと言うことです 経営トップもしくはチームリーダーが行った意思決定によって そのまま組織全体を動かすことができます。

また、トップダウンでは「現場の声」を反映しないため、革新的な変化を起こせる可能性を秘めています。現場にとっては難しそうに感じるアイデアも、実行してみることで簡単にこなせてしまう場合もあります。無難なアイデアにまとまることなく、大きな舵を切りたい場合はトップダウンのメリットが大いに活かされます。

トップダウンのデメリット

トップダウンで行う意思決定のマネジメント方法によるデメリットは、大きく3つあります。

  1. 気付かないうちに「ワンマン経営」になる可能性
  2. 企業としてのリスクが高い
  3. 部下が育たない

トップダウンによるデメリットにより、トップがその場の思いつきで行った意思決定に、現場メンバーの負荷が増えることによって、社員からの反発が生まれやすい「ワンマン経営」企業になってしまう可能性があります。

またトップダウンでのマネジメントは、トップの意思決定に企業全体が従う形となるため、トップの能力や人望に大きく左右されます。さらにトップが不在になってしまった場合、現場が機能しなくなる懸念もあります。

そして、組織がトップダウンに慣れてしまうと、自主的に動くことを放棄してしまったいわゆる「指示待ち社員」が企業の中に増えてしまう恐れがあります。

ボトムアップを行う際のポイント

「ボトムアップ」のメリットを最大化するポイントを解説します。

部下からの提案に耳を傾ける

「ボトムアップ」によるマネジメントを実施する場合は、部下からの提案に一度耳を傾けることが重要です。この際、上司には「傾聴スキル」が求められます。ボトムアップ方式を採用したと周知しても、その実態が「こんな提案不可能だ」「現状を理解しているのか?」などと頭ごなしに否定されてしまっては、次回から意見を言うことをやめてしまいます。上司には部下の意見に対してまずは傾聴を行い、部下が意見を積極的に言える環境を整えることで、組織の成長に繋げることができます。

部下が挑戦できる風土を醸造する

ボトムアップ方式のマネジメントを成功させるためには、現場のメンバーが積極的・自主的に挑戦することを賞賛する組織風土を作ることが重要です。 ボトムアップ方式では、現場メンバーの個人の能力が直接企業の成長に影響を与えます。そのため現場メンバーがトライ&エラーを積極的に行い、そこから学びながら成長することが欠かせません。

トップダウンを行う際のポイント 

続いて「トップダウン」のメリットを最大化するポイントを解説します。

大きな意思決定の際はメンバーに意見を聞く

「トップダウン」によるマネジメント方法を選択した場合でも、大きな意思決定の際はメンバーに意見を聞くことが重要です。なぜなら現場とかけ離れた意思決定では、メンバーの反発を招く恐れがあります。トップダウンによるマネジメントでは小さな意思決定はトップが行い、その決定事項を素早く現場で実行することでメリットを最大化することができます。

最後はトップが責任を取る

トップダウン方式のマネジメントでは、最後はトップが責任を取ると言う意識を持つことが重要です。トップダウン方式では一つ一つの判断が経営に大きく影響を与えます。例えば、新商品の発売や新規事業への参入、またプロジェクトの打ち切りといった重要な判断を下すことはトップの責任であることを覚えておきましょう。

組織のステージに合った選択を

「ボトムアップ」と「トップダウン」にはそれぞれメリットとデメリットがあります。どちらのマネジメント方法を選択するとしても、組織のステージに合わせてデメリットを最小化し、メリットを最大化することが重要です。

また状況に応じて、「ボトムアップ」と「トップダウン」を組みわせることも有効です。トップダウン方式によって既存事業の棚卸しとしてプロジェクトの精査を行い、プロジェクトの部下に与える裁量権を増やして現場のスピーディな改善を行うなど、組み合わせによって組織の成長を促せることにつながります。

まとめ

企業や組織のステージや成長スピードに合わせて、「ボトムアップ」と「トップダウン」のバランスをとりながら取り入れることで、社内の課題に最適な業務効率化を行うことができます。今回の記事を参考に、経営トップだけでなく、管理職や社員の生産性向上、ストレス低下や離職率低下、業績アップにつながるマネジメント方式を選択してみてはいかがでしょう?
 

WRITER

大後 裕子

C-OLING代表

生活用品メーカーで10年間企画職に従事し、企画立ち上げから海外工場との商談、販促まで商品開発のゼロから一貫して行い、多くの商品をブランディングし、リリース。 8年販売され続けるヒット商品を始め、開発商品点数累計約1,200点、約1,700店舗へ導入。ブランディングを主軸とした、経営コンサルティング、 社内教育の3つの事業を通して、多くの人の生活に豊かさを提供ができる企業を社会に増やしたいと考えています。