組織体制を強化する方法!自走して成長する組織を作るための4ステップ

2022-09-29

大後 ひろ子

C-OLING代表 ブランディングコンサルタント

組織組織開発

組織体制の強化は、それぞれの従業員が役割を円滑に進められ、社内を活性化し、企業の生産性を高めるために注目が集まっています。

事業の拡大や新規事業に取り組む際、組織のあり方に改革、いわゆるテコ入れが必要になるでしょう。しかしここで気をつけてほしいことが「今日から俺たちは変わるんだ!」という、気持ちを新たにするために行う改革宣言だけでは、大きな改革を達成するは難しいということです。

なぜなら気持ちだけでは、従業員の個々人の行動やその日の気分によって、結局慣れ親しんだ宣言前の状況を続けてしまうからです。組織を体制から見直す仕組みの改革が必要です。

組織体制の基礎知識 

組織体制とは、「組織」と「体制」という2つの似た単語が組み合わさってできた言葉です。まずは自社の改革のために、組織体制の意味や必要性からお話ししていきましょう。

組織体制の意味

まずはビジネスにおける「組織」と「体制」という単語の意味を、見てみましょう。

組織

共通の目的達成のため集まった2人以上の人々の活動、またその活動が形成するシステム 

体制

会社が組織を統一するための継続的・長期的な構造やその状態

この2つの言葉が合わさってできた組織体制とは、企業の目的達成のための、長期的に継続可能な仕組みのことを指します。

良い組織体制とは何か?

では良い組織体制とはなんでしょうか? それは目的達成のための仕組み化ができているということです。

良い組織体制が整っていると、経営トップによって定められた事業の目的や方向性が全社に共有され、それぞれの役割に応じて目的達成に向けた意思決定がスムーズに行われます。さらに現場がスピーディに動けるための制度も整えられている状態です。その結果企業を成長へと導くことが可能になるのです。

組織を強化するための3つの役割

まず組織体制を整える前に、組織には3つの役割が必要であることを説明していきます。それぞれの役割を理解することで、自社の体制の過不足が明確になり、効果的に組織体制を作ることができます。

①経営セクション

会社全体や未来に関わる意思決定を行うセクションです。企業の目的達成に向けた、中期計画や事業計画などの経営計画を作成し、社内に発信します。その際に下記の3つの意思決定を行います。

②マネジメントセクション

マネジメントセクションには経営セクションが作成した経営計画を達成できるよう行動計画をたてる役割があります。計画に対して現場メンバーの業務状況やメンタルマネジメントを行いながら現場セクションの実働をスムーズにさせます。また顧客の状況・市場の状況などを照らし合わせて、現場メンバーに計画達成までのアドバイスを実施します。

③現場セクション

現場セクションの役割は、経営セクションが定めた経営計画を達成させることです。達成のために、営業であれば営業、経理であれば経理、企画であれば企画を行うためになるべく多くの時間を割くことが理想です。しかし実際は「現場で判断」というように業務外の兼務が多くなっていることが現状です。経営セクション、マネジメントセクションはこの現場の効率化を行える仕組みを考えることが企業成長の鍵なのです。

組織体制を強化することによるメリット

役割の明文化によって、組織の効率化が図れることは明確です。ここではさらに、組織体制の強化を継続していくことで得られるメリットについて見ていきましょう。

1. 決定・実行までの時間のムダがなくなる

経営トップの意思決定により、進むべき方向性が共有された組織は決定・実行がスピーディです。現場での曖昧な判断や、従業員のその日の気分で揺らぐことのない体制を作ることで、時間のムダを大幅に削減することが可能です。

2. 現場の負担が減る

明確な経営計画により、ヒト・モノ・カネ・時間という経営資源を的確に配置された組織は役割が明確です。現場の「これは誰に判断を貰えばいいのか?」という時間的・精神的負担が減り、職場環境も改善されます。

3. 役割への専門知識ができる

時間を有効に使えるようになった組織では、従業員が専門分野への知見を広げる時間を確保することができます。やるべきことが明確なので、経営トップが「自分から勉強しろ!」と叱咤せずに、自然と専門知識を深める流れを生み出します。

4. 役割に対する相互理解が深まる

役割が明確になり、知識が深まった従業員が多く在籍する組織では、従業員がそれぞれの仕事に対して尊重する組織風土が生まれます。「〇〇といったら〇〇さんだよな!」という相手を尊重する組織風土は、職場環境の改善にもつながります。

5. 生産性がアップする

経営指針が明確で、専門知識に長けた従業員が、職場環境の良い組織で働くことができれば、おのずと生産性がアップします。また新人の育成の面においても、良いお手本が揃った状態なので、業務習得のスピードが速く、仕事への定着率も向上します。

組織体制強化のための4つのステップ

1. ビジョンの見直し

経営トップが最初に行うべきは、ビジョンの見直しです。今までの蓄積という財産を用いて、社会に対して自社がこれからやるべき事を定めます。ここでもう一歩踏み込んで、「自社がやらない事」「売らない商品」といった「しないことリスト」を作ることも有効です。

やることが明確になり、やらないことを絞った組織では、判断までの時間が短縮され、時間的・精神的負荷を圧倒的に軽減することができます。

2. 自社のポジショニング設計

目まぐるしく変わる市場の中にいる経営トップには、今まで以上に自社のポジショニング戦略を考えることが求められます。取引先の経済成長、競合他社や新規参入といった市場に対する情報を集め、市場の中のどこに自社の強みをポジショニングするか明確にし、競合優位に立てる戦略を立てましょう。

3. 経営資源の再分配

現在保有するヒト・モノ・カネ・時間といった基本的な経営資源に合わせて、今まで培ってきた知識や経験を明文化しましょう。向かうべきビジョンとポジションに対して、これらの経営資源を最適に分配します。

4. 収益構造の仕組み改善を行う

新規事業や新商品の開発も重要ですが、先に現状の固定費を見直してみましょう。
目指すべきビジョン・ポジションに対して不必要な経費を見直すことで、収益構造を見直し「設計する力」を身に付けます。そこで余裕の出た経営資源を新たな事業へ投入することができるのです。

まとめ

よくある経営者の発言に「現場で考えろ!」というものがあります。しかし現場から新しいアイデアが上がってこないのは、考えられるだけの仕組みづくりや知識の提供、さらには自社へ愛着心が湧く発信などの経営支援が足りていない事が原因かもしれません。

今回の記事の4ステップを参考に、自社の組織体制を新ためて見直すことで経営を改善していきましょう。

WRITER

大後 裕子

C-OLING代表

生活用品メーカーで10年間企画職に従事し、企画立ち上げから海外工場との商談、販促まで商品開発のゼロから一貫して行い、多くの商品をブランディングし、リリース。 8年販売され続けるヒット商品を始め、開発商品点数累計約1,200点、約1,700店舗へ導入。ブランディングを主軸とした、経営コンサルティング、 社内教育の3つの事業を通して、多くの人の生活に豊かさを提供ができる企業を社会に増やしたいと考えています。