従業員エンゲージメントとは?注目される背景・向上施策・メリットを解説!

2022-10-07

大後 ひろ子

C-OLING代表 ブランディングコンサルタント

組織組織開発

これからの企業の業績アップに欠かせない「従業員エンゲージメント」。働き方やマーケットの多様化により、経営トップは変化の激しいビジネスシーンで、従業員一人一人のパフォーマンスを最大化することが求められています。

今回の記事では、「従業員エンゲージメント」の本来の意味や混同されやすい単語、そしてメリットや実際の施策について解説していきます。

従業員エンゲージメントとは?

エンゲージメントには2つの対照が必要です。企業における対象は2つあります。1つ目は顧客エンゲージメント、2つ目が従業員エンゲージメントです。

従業員エンゲージメントの意味

「従業員エンゲージメント」は、従業員が企業に対して、どれだけ信頼して貢献したいと考えているかという愛着を表すものです。
仕事に対する誇りや、企業の目的達成のために自主的に取り組んでいるかという項目から指標づけることができます。

従業員エンゲージメントと混同しがちな用語

従業員エンゲージメントを高めるためにも、ここで一度「エンゲージメント」と同じような意味合いで使われている言葉を解説します。

従業員満足度 
従業員満足度とは、職場環境や社内の人間関係、働きがい、福利厚生、給与などの要素で計測される従業員の満足度のことです。従業員エンゲージメントが自発的に企業への貢献を行う姿勢や意欲を表すのに対して、従業員満足度は企業に対する満足度を表すものです。
 
コミットメント
コミットメントとは、ビジネスの場では企業が求めた業務や業績目標に対して「責任を持つ」「約束をする」という意味で用いられます。自主的に貢献を図る従業員エンゲージメントに対して、コミットメントは企業が成果の判断をするものです。

モチベーション
従業員のモチベーションは、従業員本人の心理状態に対して使用する言葉です。一方従業員エンゲージメントは企業と従業員との双方間の関係性を表します。

従業員エンゲージメントが注目される背景

 それでは多くの企業が昨今、従業員エンゲージメントに注目している背景を解説していきましょう。

少子高齢化

少子高齢化に伴う働き手の減少は深刻化しています。その中でも企業の業績拡大には、優秀な人材が流出しないことが重要です。その面からも従業員エンゲージメントの向上が有効だと考えられています。

働き方の多様化

働き方の多様化からテレワークやリモートワークの普及によって、チームに所属している意識が薄れ、従業員の企業への帰属意識が弱まるケースも見られます。そこで企業としてのビジョンに共感し、従業員がエンゲージメントを高く維持できる環境づくりが求められているのです。

従業員エンゲージメントを高めるメリット

社会情勢や逆境にも負けない強い企業を作るために、従業員エンゲージメントを高めることのメリットについて解説していきます。

1. 業務効率化や生産性の向上

従業員エンゲージメントが高まると、本人のモチベーションも高まります。自ら選んだ企業や仕事に対して誇りが持てるようになり、言われたことをただこなすのではなく、日々の業務に対して自ら価値を見出すことができるようになります。さらに従業員一人一人がより良い仕事をするために創意工夫をする習慣がつくので、組織全体で生産性が向上するのです。

2. 業績アップ

「従業員エンゲージメント」の向上は、企業の業績アップにもつながります。従業員エンゲージメントの向上は、営業利益率や労働生産性向上につながるとの研究結果も出ています。それは、従業員エンゲージメントが高い従業員が増えれば、高い生産性・組織内でのイノベーション・顧客満足度が向上していくからです。

3. 離職率の低下

従業員エンゲージメントの向上は、離職率低下にも影響を与えます。給与やボーナスといった金銭的価値はどこの企業でも与えることが可能です。しかし、仕事のやりがいや働きやすさ、ここで働き続けたいと思える「仕事への誇り」は心理的価値としてはその企業だからこそ感じることができるものです。
  
また、従業員エンゲージメントの高い企業では、離職率の低さから採用にかかる費用を削減することができ、会社の資金を有効活用することができます。

4. 職場環境の改善

「従業員エンゲージメント」の高い従業員は、充足感に満ちているので心理的に余裕があります。そのためお互いの業務に関心を持つことができ、サポート体制をとることが可能です。各々がまた、自分の仕事に誇りを持っているので、自発的に業務の改善を行う中で、メンバーとの意見交換も活発に行うようになります。そういった従業員が多い企業では、社員同士で生産的な意見が飛び交う、心地よい職場環境を構築することができます。

5. 顧客エンゲージメントの向上

「従業員エンゲージメント」の高い従業員は目の前の業務に対して自発的、積極的に改善を行います。その結果、仕事の質が上がり、顧客満足度の向上にもつながります。
さらに質の高い商品やサービスは高いLTV(Life Time Value/ライフタイムバリュー)を生み出します。安定した経営のためにも従業員エンゲージメントの向上が有効なのです。

「従業員エンゲージメント」を向上させる3つの施策

「従業員エンゲージメント」を向上させるためには、次の3つの要素を高めていく必要があります。

①理解度を高める

「従業員エンゲージメント」を向上させるためには、企業の理念やビジョンへの理解が欠かせません。従業員一人一人が持つ自らが良いと思う世界観と、企業が叶えたい理想がマッチしていることが明らかになれば、ビジョンの実現やそのために自分ができることを考え、自発的に行動することができます。あなたが従業員エンゲージメントを高めたいのであれば、経営トップやマネジメント層が、従業員に対して企業側のビジョンや企業理念を発信し、浸透させる施策が必要です。

②共感度を高める

企業の理念やビジョンを発信することで理解を深める施策を行えたら、次は従業員がそれらに共感していくフェーズに入ります。企業の持つ目的・目標に対して共感できれば、自らの仕事の意義を感じることができ、ポジティブに仕事に取り組むことができます。そのために経営トップやマネジメント層は、従業員と直接コミュニケーションをとる仕組みを作り、ヒヤリングや意見交換を重ねることが重要です。

③行動意欲を高める

企業の理念やビジョンを理解し、共感が生まれると、従業員は「愛着があるこの会社が成果を出すために、自分でも考えて動いてみよう」という意思を持つことができるのです。自身の行動が会社の目的達成に貢献できていると感じられれば、従業員エンゲージメントはさらに高まるので、それらを評価するシステムを構築することも欠かせません。

まとめ

仕事感の変化によって個人が自らキャリア設計をする現代。企業にとって従業員エンゲージメントはとても重要な経営資源になります。企業は、経営トップから従業員の貢献に対してしっかりと報いることができる施策を図り、従業員はその企業に対しての貢献を約束できる関係を築き、強いエンゲージメントを生み出します。


そのためにも今回の記事を参考に、従業員エンゲージメントを高める仕組みづくりを始めていきましょう。

WRITER

大後 裕子

C-OLING代表

生活用品メーカーで10年間企画職に従事し、企画立ち上げから海外工場との商談、販促まで商品開発のゼロから一貫して行い、多くの商品をブランディングし、リリース。 8年販売され続けるヒット商品を始め、開発商品点数累計約1,200点、約1,700店舗へ導入。ブランディングを主軸とした、経営コンサルティング、 社内教育の3つの事業を通して、多くの人の生活に豊かさを提供ができる企業を社会に増やしたいと考えています。