理想の会社|中小企業の経営者から学ぶ組織づくりと仕事術

経営理念とは?企業の進化を促すその目的とメリット。経営理念の作り方まで解説

2022-11-22

大後 ひろ子

C-OLING代表 ブランディングコンサルタント

組織組織開発

経営理念とは、経営の進め方における企業の「存在意義」を言語化したものです。 つまり
会社は経営理念を実現するために存在しているのです。

しかし、経営理念は 形骸化されてしまうケースもあります。

今回の記事では、経営理念のもたらすメリットや、社是・社訓など類義語との違い、そして経営理念に必要な5つの要素まで解説します。

経営理念とは?

経営理念の定義から、企業理念や他の類義語との違いについて解説します。

経営理念の定義

経営理念とは、経営の進め方におけるその企業の「存在意義」を言語化したものです。

経営理念は、自社は「こんなことを大切にしている」「こんな方向を目指している」といった概念を言語化し、発信・共有することで社内外に自社の進む方向性を指し示します。

また、経営理念は作っておしまいではありません。むしろ宣言してからがスタートなのです。企業の「存在意義」の達成に向けて従業員や取引先とともに、顧客への価値ある商品・企画を提供して、社会的な責任を果たしていくことに努めます。

企業理念との違い

「経営理念」と似ている言葉で「企業理念」がありますが、英語に翻訳して比較すると、本質的な意味と違いがわかりやすくなります。

経営理念:Management Philosophy(経営の進め方における根本的な考え方)
企業理念:Corporate philosophy(企業という存在における根本的な考え方)

経営理念とは”Management”に関する理念なので、企業が事業・顧客・利益を拡大し続けるため、企業が持っているヒト・モノ・カネ・時間などの経営資源を使う際の目標や方針を意味します。

一方、企業理念は”Corporate”に関する理念なので、その企業が誰にどんな価値を提供して、世の中に貢献するか「企業自体が存在する理由を明文化したもの」を指します。

社是・社訓など類義語との違い

ここでは社是・社訓など、経営理念と混同されやすい類義語について解説します。


クレド
ビジネスシーンにおいて、企業全体の従業員が心がける「信条」や「行動指針」のことを指します。 

経営戦略
経営理念で示した自社の理想的な姿と、現状のギャップを埋めるための方針。

行動規範・行動方針    
社員が行動や判断をするときの、模範的な姿や方向性です。一般的には理念と組み合わせて明文化されます。

CI(コーポーレートアイデンティティ)    
社外向けに作る企業メッセージをイメージやデザインや言葉で発信し、社会と共有することで存在価値を高めていく企業戦略の一つ

VI(ビジュアルアイデンティティ)    
企業の価値やコンセプトを可視化した、ブランドシンボルやロゴデザインなどの一貫性のあるデザイン全般をまとめたもの

社是    
会社の経営理念をもとに、経営方針を分かりやすい言葉で表現・作成したもの

社訓
その企業で働く従業員の行動方針のもとになるもの

パーパス    
一般に「目的、意図」と訳され、なぜ企業が社会に存在しているのかという現在あるべき存在意義を指す傾向にある

ミッション    
「使命」や「任務」と訳されることが多く、企業が将来に向けて目指す姿に対して何を行うべきかを指したもの

ビジョン    
「展望」や「理想像」と訳されることが多く、企業のミッションを達成したことによる影響力によって世の中がどうなっていくのかという視点

バリュー    
ミッションやビジョンを実現するために必要な、企業や従業員の姿勢や価値観のことを指す

マテリアリティ    
企業が優先的に取り組みたいと考えている「重要課題」

経営理念を作る目的
 

 

経営理念は、「お客様」「社員」「社会」など全てのステークホルダーに対して宣言するメッセージです。今まで以上に経営理念が重要視されている背景とその目的について解説します。

コミュニケーション方法の変化

経営理念は、自社の存在価値を共有するために言語化したものです。リモート業務も一般的になってきた現代において「自社はこうあるべき」という存在意義の概念を従業員と今まで以上に共有することは、 商品・サービスの維持や向上に欠かせません。

また顧客が企業に対する情報収集も、今までのような対面からの受動的なものだけではなく、 コーポレートサイトやSNS、またレビューサイトなどから能動的に集めることができるようになりました。このようなコミュニケーション方法の変化の中で、経営理念をステークホルダーと共有することが重要になってきます。

価値観の多様化

働き方の多様化により価値観も同じく多様化しました。従業員にとって多様化する価値観の中で、その会社で働く意味が明確な事はモチベーションを保つために重要です。また経営理念が浸透していることによって、従業員全体が協働して企業の存在意義を実現しようとしている状態は、従業員にとって安心してチャレンジできる環境を作ることができるのです。

経営理念を掲げるメリット
 

 

経営理念を掲げる4つのメリットについて解説します。

①経営判断を効果的・効率的に伝えられる

経営理念が前者に浸透していることによって、経営判断に対してその意図や背景をその都度説明する必要がないので、時間を効率的に使うことができます。 また従業員にとっても判断のためのストレスや時間を軽減することで、仕事の生産性を上げることにつながります。

②組織や職場に一体感・安心感が生まれる

経営理念の浸透によって、 組織のメンバーと顔を合わせることが少なくても、 同じ価値を共有することによって一体感・安心感とともに帰属意識が高まり、離職防止や生産性の向上につながります。

③ステークホルダーから信頼される 

企業理念が浸透することによって事業における成果だけではなく、企業の経営における考え方を共有することによって、ステークホルダーとの信頼関係を構築することができます。

④企業の一貫性が生まれ、顧客満足度が上がる

企業理念が浸透することによって、事業の分担や連携においても方向性が明確になります。その結果顧客に提供する商品やサービスの価値に一貫性が生まれ、ブランド価値の醸成につながります。また質の高い商品やサービスを生み出し続けることに対して顧客満足度を継続的に高めていくことが可能です。

経営理念の要素成

経営理念を構成する5つの要素と、経営理念を更新するタイミングについて解説します。

経営理念に必要な5つの要素

企業理念を作ろうと考えたとき、創業の理由や自社のこだわりなどを、下記の5つの要素に分解してみることから始めましょう。

  1. 一番重要視する物事:品質・従業員・顧客・株主など
  2. 提供する価値:商品・サービスなど 
  3. 自社のポジション:地域で、日本で、世界でなど 
  4. 社会的意義:社会に役立つために・業界の悩みを解決するためになど
  5. 自社の理想像

経営理念はステージによって更新できる

経営理念は簡単に変更するものではありませんが、企業のステージの変化によって更新が必要な場合があります。 取り扱う業種の変更や、経営理念が難しすぎる、もしくは簡単すぎる場合などは更新が必要となります。企業ステージによって、すべてのステークホルダーと共有でき、実践につながる経営理念を持つことが重要です。

まとめ

経営理念を明確にすることで、企業運営の方向性が定まります。企業の集中するべきコア業務が明確となり、企業として一貫した意思決定や行動をとることができるようになります。 そのためにも経営者自らが率先して、経営理念の浸透に注力することが重要です。

経営理念は社員の誇りとなります。それは商品やサービスの質の向上につながり、顧客満足度を高め、従業員に仕事へのやりがいを与えます。目まぐるしく変動する現代においても、ステークホルダーと相思相愛な関係構築のためにも経営理念を十分に活かし、企業を発展させていきましょう。
 

WRITER

大後 裕子

C-OLING代表

生活用品メーカーで10年間企画職に従事し、企画立ち上げから海外工場との商談、販促まで商品開発のゼロから一貫して行い、多くの商品をブランディングし、リリース。 8年販売され続けるヒット商品を始め、開発商品点数累計約1,200点、約1,700店舗へ導入。ブランディングを主軸とした、経営コンサルティング、 社内教育の3つの事業を通して、多くの人の生活に豊かさを提供ができる企業を社会に増やしたいと考えています。