ブレインストーミングとは?成功に導く4原則、言葉の意味とルールを解説
2022-10-20
大後 ひろ子
C-OLING代表 ブランディングコンサルタント
組織その他
ブレインストーミングとは、複数人でアイデアを生み出す発想の手法です。効果的に行えば、チームのコミュニケーションを活性化したり、組織にイノベーションを起こすクリエイティブな発想・アイデアを生み出すことができます。
この記事ではブレインストーミングの基本的な意味や、複数人だけでなく一人でも効果的に行うためのステップについて解説します。
ブレインストーミングとは
ブレインストーミングとは、1941年ごろにアメリカの実業家・作家であるアレックス・F・オズボーンによって考案され、1953年に発行した著書にて紹介されたアイデアを発想させる会議手法のひとつです。3名から7名、場合によっては10名程度で行われます。
日本でのブレインストーミング
ブレインストーミングは英語で「Brainstorming」と表し、日本では、「BS法」「ブレスト」や「ブレインストーミング」とも呼ばれています。
議題を予め周知しておく方法と、議題を伝えずに先入観を与えない方法を場合によって使い分けられています。
ブレインストーミングの目的
ブレインストーミングは自由に意見を交換することで、一人では思いもつかない発想を、意図的に生み出すことを目的としています。
さまざまな立場の参加者が自由な発想で発言することで個人が刺激され、さらにクリエイティブなアイデアを生み出すことにつながるのです。
ブレインストーミングのメリット
ブレインストーミングのメリットは、複数人が考えや知識・イメージを共有することで、通常業務の中では生まれにくいアイデアを発想できることです。そのためイメージアイデアが短時間でアイデアとしての形になるので、効率的に企画を生み出したいときに、ブレインストーミングを取り入れると効果的です。
ブレインストーミングを成功に導く4原則
ブレインストーミングに厳格なルールはありません。そこで、数多くの自由な発想を共有するために覚えておいてほしいブレインストーミングを成功に導く4原則について解説します。
①否定しない・すぐに結論を出さない
ブレインストーミングを実施する際は、相手の発言を否定してはいけません。ブレインストーミングは自由な発想やイメージを出すことで、可能性を広げることを目的としています。どんな粗野なアイデアに対しても「予算が足りない」「時間が足りない」などの否定や反論は避けましょう。
②ユニークなアイデアを尊重する
一般的で実現可能なアイデアや誰にでも考えつきそうなアイデアより、奇抜な考え方やユニークなアイデアを尊重しましょう。イノベーションを起こすアイデアというものは、最初は笑い物にされることが多いものですが、そういった発言こそ注目すべきなのです。
③質より量にこだわる
ブレインストーミングは、時間を決めて集中して行うことも重要です。その中でより多くのアイデアを出し合うために、質よりも大量のアイデアを出せる環境づくりを心がけましょう。
④アイデアを一つに統合させる
浮かび上がった多くのアイデアを、ブレインストーミング後に一つに統合させることを忘れてはいけません。さまざまなアイデアを統合させたり、一部を変化させたりしながら、肯定的な考え方で新しいアイデアを生み出していきます。
【一人で】ブレインストーミングを成功させるやり方
集団で行うことの多いブレインストーミングですが、一人で行うことも効果的です。会議の最中に急にアイデアや意見を求められたりした際に慌てないよう、事前に一人ブレインストーミングを行うこともおすすめです。
メモや付箋を活用する
一人でブレインストーミングを行うときは、浮かんできたアイデアを最大限に活用できるよう付箋やメモ帳を活用する方法が有効です。浮かんだアイデアを忘れないように見返すことができ、活字やイラストにすることで出てきたアイデアを繋ぎ合わせて新しいアイデアを生み出す流れを効果的に作ることができます。
WEBサービスやアプリを活用する
最近では一人でブレインストーミングを行うのに便利なWEBサービスやアプリも出てきているので、活用することをおすすめします。会議の前や移動中などに、30分程度の短い時間を決めてブレインストーミングを行うことで、集中力や発想力が上がった状態で仕事に臨むことができ、高いパフォーマンスを発揮することができます。
【複数人で】ブレインストーミングを成功させるやり方
ブレインストーミングを、複数人で行う場合のポイントについて解説します。
Step1. ファシリテーターを決定する
複数人でブレインストーミングを行う場合、その場を仕切るファシリテーターの存在が不可欠です。ファシリテーターとは、会議などの場で参加者に発言を促したり話の流れをまとめたりする人を指します。
ファシリテーターはブレインストーミングを行う中で、否定や反論などのネガティブな発言が出ないよう防ぐ役割があります。そのためにブレインストーミングの場では、参加者の役職の上下や関係性などをフラットに考え、ユニークな発言を歓迎する雰囲気づくりを心がけましょう。
Step2. 参加するメンバーを決定する
3名から7名、場合によっては10名程度のメンバーで行うことが適切だと言われています。このメンバー選出でのポイントは、似たような属性の人物ばかりが集まらないようにすることです。
同じような考えを持つ人物ばかりでは、見解の広がりや新しい発想は生まれにくいのです。そこで、多様な年代や役職、性別や経験などを持つさまざまなポジションの人物を集めることを重視しましょう。
Step3. 目的を決定する
ブレインストーミングを開始する前に、参加者に今回の目的を明確に共有する必要があります。質より量を重視するブレインストーミングでは、目的の課題解決に関係ないアイデアや話題で溢れてしまうことがあります。
効果的なブレインストーミングを行うために、何のために集まったのかを開始前に改めて共有する時間を設けましょう。
Step4. 制限時間を設定する
時間制限を設けることで、参加者は集中力を保った状態で前向きに発言をすることができます。人はずっと集中してアイデアを出し続けることはできません。効果的なブレインストーミングを行うためにも、アイデア出しに10分、まとめに15分というように、時間を区切ることをおすすめします。
ブレインストーミングが失敗する原因
ブレインストーミングが効果的に展開できない原因について解説します。
6-1.①インプットが足りない
ブレインストーミングで発言が少ないことの原因の一つに、インプットが足りないことが挙げられます。こう言った場合は他業界や海外の事例など、アイデアの糸口となる話題の提供を行いながら、たくさんの発言が出る環境づくりをしましょう。また、日常的に組織内でさまざまな情報を共有する仕組みを作っておくことも有効です。
6-2.②質問が小さい
質問内容が偏ったり、小さすぎる範囲の場合、参加者もアイデアを提案しにくくなってしまいます。ブレインストーミングを行うリーダーは、参加者がさまざまな角度から発言しあえるように、範囲を広げた質問を用意する必要があります。
6-3.③参加者の立場がフェアでない
参加者には様々なポジションの人物が参加します。そこで管理職や能力の高い人物、元々コミュニケーション力に長けた人物ばかりではなく、普段発言に対して消極的な人物が発言しやすくなる雰囲気づくりが重要です。参加者がポジションによって萎縮してしまわないような、参加者全員がフェアになる発言の場を心がけましょう。
6-4.④緊張している
ブレインストーミングを行う際は、厳格な雰囲気の会議室の使用や意見の強要は避けましょう。一人の緊張は、参加者全員に波及します。参加者がリラックスした状態で参加できるのがブレインストーミングを成功させるカギです。ブレインストーミングを行うリーダーは、発言しやすい環境づくりを意識しましょう。
6-5.⑤集中できていない
参加者が他のことを考えていたり、長時間拘束されていると感じるような集中できない状況では、良いアイデアは生まれません。参加者の意識が目的の質問に対して集中できる時間配分・環境・他の業務とのスケジューリングなどを考慮して行いましょう。
まとめ
ブレインストーミングの目的は「問題解決のための新たなアイデアを生むこと」です。決して集まって楽しく話をするだけで終わることなく、今回の記事で紹介した「①否定しない・すぐに結論を出さない」「 ②ユニークなアイデアを尊重する」「③質より量にこだわる」「④アイデアを一つに統合させる」を取り入れ、集中して問題解決に向けて効果的に行いましょう。
ぜひこの記事を参考に、仕事やプライベートでもクリエイティブな成果を出せるように実践してみてください。
WRITER
大後 裕子
C-OLING代表
生活用品メーカーで10年間企画職に従事し、企画立ち上げから海外工場との商談、販促まで商品開発のゼロから一貫して行い、多くの商品をブランディングし、リリース。 8年販売され続けるヒット商品を始め、開発商品点数累計約1,200点、約1,700店舗へ導入。ブランディングを主軸とした、経営コンサルティング、 社内教育の3つの事業を通して、多くの人の生活に豊かさを提供ができる企業を社会に増やしたいと考えています。