正社員から契約社員へ。雇用形態の違いと変更する際の注意点
2022-11-21
大後 ひろ子
C-OLING代表 ブランディングコンサルタント
採用その他
正社員から契約社員へ
「正社員だけど、契約社員になりたい」
「正社員の数を減らしたいけど、契約社員で応じてくれるだろうか…」
「正社員では雇えない。契約社員にさせられないだろうか」
会社の経営状態や人事的側面はもちろんのこと、社員のライフスタイルの変化や働き方に対する考え方の変化に伴い、正社員から契約社員へと雇用形態を変えるケースがよく見られるようになりました。
しかし、本人が契約社員へと希望するならともかく、会社側の都合により正社員で雇っていた社員を契約社員へと変更することは可能なのでしょうか。
正社員と契約社員の雇用形態による違いや、変更するための手続きなどをまとめてご紹介します。
正社員と契約社員の特徴比較
最初に、正社員と契約社員の特徴について比べてみましょう。
正社員の特徴
正社員は「正規社員」ともいわれ、
- 労働契約の期間の定めがない
- 所定労働時間がフルタイムである
- 直接雇用である
これらに該当する労働者を「正社員」ととらえられています。
企業の正社員であるということは、解雇されない限り、長期で安定して働ける地位が確約されている状態であり、勤続年数や本人の能力によっては昇給や賞与、手当などがつくため、金銭的なメリットも魅力の一つでしょう。
また、正社員は福利厚生についても恵まれており、健康保険、雇用保険、厚生年金といった各種社会保険も法律で保障されています。
契約社員の特徴
契約社員は正規雇用の正社員に対し、「非正規雇用」と呼ばれる雇用形態です。
正社員との大きな違いは「雇用期間に定めがあるかどうか」であり、勤務先との契約期間満了により、労働契約が終了します。
労働契約期間は上限が設けられており、基本的に1回当たりの契約期間の上限は3年です。
※高度専門職、満60歳以上の場合は5年の契約が認められています。
企業は契約期間内に契約社員を解雇できないものの、契約期間が満了した際には契約社員を退職させるか、契約を更新し継続させるかを判断することができます。
勤務時間や福利厚生面は正社員と同様であるケースがほとんどですが、企業によっては同じ保証が受けられない場合もあります。
また、賞与や昇給といった収入面に関する違いも、企業との雇用契約内容次第とはいえ、長い目で見れば大きな差が生まれがちです。
しかし、雇用条件の規定次第では、残業なし、休日出勤なしなど時間の融通が利き、正社員よりも自分の時間を作りやすいというメリットがあります。
また、雇用契約ごとに業務時間が異なるケースもあり、フルタイム勤務とは限りません。
短時間勤務や週休3日など、自分が希望するライフスタイルに合わせた働き方を選択することも契約次第では可能なのです。
正社員、契約社員どちらがおすすめ?
上述した話から考えると、「正社員」に向いている方は金銭面においても福利厚生面においても、安定的に保証され、腰を据えて長く働きたい方におすすめでしょう。
一方の「契約社員」に向いている方は、正社員よりも自由度が高いため、自分のライフスタイルを中心にした生活をしたい方におすすめでしょう。
また、契約社員は契約更新をするか否かで会社を辞められますので、正社員よりも辞めやすく、いろいろな企業で働きスキルアップしたいという方にもおすすめできる働き方でしょう。
会社都合で正社員を契約社員へ変更できる?
企業が正社員として社員を雇用した以上、企業はその社員の生活を守る社会的責任も担っています。
そのため、社員本人の了承、同意がなければ、当然のことながら一方的に雇用形態を変更することはできません。
本人の同意が得られた場合であっても、また本人の希望による変更であったとしても、有期雇用であることや雇用条件についても話し合い、雇用契約書をしっかりと交わすようにしましょう。
正社員から契約社員への変更手続き
正社員から契約社員へ変更するための手続きですが、基本的には特別な手続きは必要ありません。
労働契約書を新たに結ぶだけで大丈夫です。
しかし、労働条件が変わることで給料なども変わるのであれば、一度退職処理をしたうえで、契約社員として再雇用をし、改めて社会保険や雇用保険への手続きをしましょう。
【体験談】正社員から契約社員へ
次に実際に正社員から契約社員へと雇用形態を変更した方の体験談をお伝えします。
ワークライフバランスを重視するため
正社員での安定した生活は魅力でしたが、残業が続く毎日に健康面の不安がありました。
早く帰ろうにも定時では帰りにくく、業務が終わらずに休日出勤をした際に契約社員になることを考えました。
今では自分の時間も取れ、仕事とプライベートのメリハリをつけながら健康的に仕事ができています。
ストレスフルからの解放
正社員としてやりがいをもって働いていましたが、勤続年数が長くなるとその分責任も重くのしかかりました。
楽しかったはずの仕事で精神的に追い詰められることもあり、契約社員になった先輩の話を聞いて、自分も契約社員へ。
契約社員として後輩のサポート役に回りましたが、チームを引っ張っていくよりも縁の下の力持ちとして立ち回る方が自分に合っていたようです。
ストレスから解放され、また仕事へのやりがいを見つけました。
契約社員で転勤回避
結婚したことで転勤が難しくなり、退職することも視野に契約社員への希望を伝えたところ、応じてもらえました。
収入は下がりましたが、同じ仕事を続けさせてもらえ、転勤の心配がなくなったことはメリットでした。
企業は社員のサポートを
企業が社員へ正社員から契約社員への雇用変更の打診を行う際には、慎重に対応しましょう。
また、社員から契約社員への変更希望が出た場合も本人の話を聞き、その意思を尊重しつつ、真摯に対応しましょう。
多様な働き方ができるようになった現在、正社員も契約社員もワークスタイルの一つに過ぎません。
社員が自分に合った働き方をできるよう、企業は社員のサポートをしていきましょう。