コンピテンシー面接とはなにか?そのメリット・デメリットと質問例
2022-11-17
大後 ひろ子
C-OLING代表 ブランディングコンサルタント
採用その他
コンピテンシー面接とはなにか?
面接時には評価の高かった人材が、入社したらパッとしなかった。
面接内容が良かったので期待していたけれど、入社後の成果はあまり…。
このような思いをされた人事担当の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
近年、採用面接の精度を上げるために、「コンピテンシー面接」を導入する企業が増えています。
コンピテンシー面接とは、社内で活躍している人材の行動や考え方の共通点をまとめて一定の基準を設け、面接時の判断材料にする面接のことです。
面接の精度が上がるため、応募者の本質の見極めや採用のミスマッチ回避が期待できます。
コンピテンシー面接に興味をお持ちの方、導入を検討されていた方、こちらのページでコンピテンシー面接のメリット・デメリット、コンピテンシー面接の質問例などをお伝えしますので、是非、ご覧ください。
コンピテンシー面接と一般的な面接の違い
コンピテンシー面接と一般的な面接の大きな違いは、応募者を判断する過程です。
コンピテンシー面接では、面接官が応募者に対し「何をどのように考え、行動したか」という、1つの話題を掘り下げて質問していくことで、応募者の能力や思考、行動特性を判断します。
一方、一般的な面接では応募者の自己PRや志望動機、職務経歴などのさまざまな情報を得て、その情報から多角的に判断します。
コンピテンシー面接のメリットとデメリット
次に、コンピテンシー面接のメリット・デメリットについてみていきましょう。
コンピテンシー面接のメリット
メリット1:学歴などの見た目に惑わされない
応募者の学歴、年齢、性別、外面などの表面的なものに惑わされることなく判断することができます。
学歴や年齢だけでは、応募者の本質を図ることはできず、頭の回転の良さもわかりません。
また、面接の場で印象良く振舞おうとするのは、応募者ならば当たり前のことです。
コンピテンシー面接で応募者の本質を見抜き、色眼鏡をかけずに純粋に判断できることが最大のメリットでしょう。
メリット2:応募者の本質が見極めやすくなる
コンピテンシー面接では質問を繰り返し、掘り下げていくことで、応募者の行動や考え方をより具体的に判断することができます。
また、判断基準が明確化されているため、面接官による第一印象や好みでの偏った判断を防ぎ、より本質重視での選考ができるでしょう。
コンピテンシー面接のデメリット
デメリット1:ローモデルの設定
コンピテンシー面接の最大のデメリットは、基準となるモデル(ローモデル)の設定が難しいことです。
自社で業績を出している優秀な人材をローモデルとするにも、そのような人材の選定から始めなければなりません。
そして、モデルとなる人材の行動特性(コンピテンシー)を明確にする必要があります。
また、職種によって求められるスキルは異なります。
職種ごとにローモデルを設計しなくてはならず、大変手間と時間がかかるでしょう。
デメリット2:採用基準の設定が難しい
モデルとなる社員が決まったら、その社員の日常的な行動やコミュニケーション能力、営業成績や行動、社内での人間関係などさまざまな観点から特性を挙げ、評価軸を決めていきます。
しかし、社員本人が無意識のうちに行っていた行動などは可視化できず、ヒアリングを行っても出てこない可能性が高いでしょう。
どこまでを評価軸にするかは、人事担当者にとって難しい判断となるはずです。
コンピテンシー面接の活用ポイント
コンピテンシー面接をうまく活用するためには、以下のような点を意識して行うことが重要でしょう。
活用ポイント3つをご紹介します。
面接官は共通認識を持つ
多くの社員を抱える会社では、一般的な面接方法しか経験していない社員がまだまだ多くいます。
採用担当の方は、面接官を任せる社員に対し、コンピテンシー面接について共通の認識を持ってもらい、面接官として「応募者の行動特性」を見極めて、評価基準によって判断するという役割をしっかりと伝えましょう。
客観性を意識
コンピテンシー面接では、面接官は自分の主観を捨て、明確化した採用基準を優先して判断しましょう。
公平性を意識
面接を担当する方は、さまざまな経験や実績を重ねてきた方と思われます。
多くの社内外の人間とコミュニケーションを取る中で、人材の見方も培われたはずです。
しかし、コンピテンシー面接の場ではご自身が培った判断基準は捨て、公平に応募者を判断しましょう。
コンピテンシー面接での質問例
コンピテンシー面接は、Googleが入社試験で採用している「STAR面接」を基本にするとわかりやすいでしょう。
「STAR面接」とは、
- Situation(状況)
- Task(課題)
- Action(行動)
- Result(結果)
の順に質問をしていく面接方法です。
以下に質問例を記載します。
状況
- どんなチームの中で、どのような役割を負っていましたか
- 組織の中でのどのような責任や権限をもっていましたか
- あなたはグループでどのような役割を担っていますか
課題
- あなたが掲げた目標を教えてください
- 問題点に気付いたのはどのようなきっかけですか
- その問題が発生した理由は何ですか
行動
- その課題に対し、どんなアプローチをしましたか
- あなたはどんな行動をしましたか
- その行動を起こすために行ったことはなんですか
結果
- 課題の解決はできましたか
- その結果を受けて、反省点などはありますか
- 周囲の反応はどうでしたか
人材の公平な見極めにコンピテンシー面接を
一般的な面接は、面接官の主観や価値観が反映されてしまいがちで、それは応募者にとって不公平感のあるものでした。
また企業としても、応募者の面接時と入社後のギャップに頭を抱えたケースもあったことでしょう。
応募者の行動特性を見抜き、客観的な判断ができるコンピテンシー面接は、自社の求める人材を採用したい企業には大変有効です。
実際にコンピテンシー面接は、大手企業をはじめ、公務員試験などでも導入されています。
面接・採用の効率を高め、入社後のミスマッチも防ぐことができるコンピテンシー面接の導入を、一度、検討してみてはいかがでしょうか。