ミッションとは?優れたミッションの条件とミッション設定の具体的なプロセスを解説

2022-11-29

大後 ひろ子

C-OLING代表 ブランディングコンサルタント

組織その他

ミッションとは、ビジネスにおいて「企業として果たすべき使命」を指します。経営ではその組織や個人が社会において果たすべき使命や任務のことをいいます。

経営学者であるピーター・F・ドラッカー氏は、著書の「Managing in the Next Society(邦題はネクスト・ソサエティ。日本では2002年に発行)』の中で、組織が存在意義や社会的なポジションを示すための方法として「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)」を提唱しています。


今回の記事では企業がミッションを設定し、掲げることによって得られるメリットや優れたミッションの3つの条件について解説します。

ミッションとは? 
 

 

ミッションが持つ、シーン別の意味について解説します。

ビジネスにおけるミッションの意味

そもそもミッションは英語で「Mission」と表記し、「使命」や「役割」、「任務」などの意味があります。

ビジネスシーンにおけるミッションとは、「企業として果たすべき使命」や「企業が社会に存在する意義」のことを指します。

企業のミッション

企業におけるミッションとは、顧客や社会に貢献する価値を逆算して行うアクションや、そのための役割を指します。

企業のミッション:社会への価値創出に求められる行動や役割

企業が事業を通して「社会にもたらす影響」や「社会に与える価値」を言語化したものです。

個人のミッション

ミッションは決して企業や組織だけのものではなく、ここの従業員においても設定することがとても有効です。

個人のミッション:組織への貢献に求められる行動や役割

組織の発展には、従業員の成長が欠かせません。そのために、従業員が個人の理念の中で、「その企業の中で個人のなりたい姿」「それを叶えるための行動や役割」を定めておくことで、目の前の業務に主体性を持って取り組むことができるようになります。

ミッション設定のメリット

ミッションを設定することによって得られる、企業のメリットについて解説します。

①経営指針が明確になり、未来志向な事業計画に結びつく

企業が経営を持続させるためには、世の中の課題解決を行い、人々の生活を豊かにすることが求められます。 しかし目まぐるしく変化する現代において、マーケットのトレンドに振り回され、自社の強みや本来の存在意義を見失ってしまうことがあります。

しかしそんな時でもミッションがあれば、自社の存在意義達成のために、未来志向な事業計画を立て直すことができます。

②商品・サービスブランディングで顧客とつながる

IT技術の進化に伴い情報が溢れる現代において、企業のミッションをステークホルダーと共有することは、商品やサービスの 本当の価値を伝えるために重要です。価値観の多様化によって 技術や品質だけでは競争相手の中から選んでもらうのは難しいのが現状です。しかしミッションが共有されることによって、その企業が考える「世の中の課題」に共感されるステークホルダーから応援される企業へと成長することができます。

③自社の方針にあった採用活動がしやすい

価値観や働き方の多様化によって、 企業における採用活動も毎年目まぐるしく変化をしています。しかし 毎年変化するトレンドに振り回されるのではなく、ブレない企業ミッションを発信し続けることで、その企業の方針を支持する学生が安定してエントリーしてくる仕組みを作ることができます。

優れたミッションの3つの条件

経営学者であるピーター・F・ドラッカー氏は自著の中で、ミッションに必要な3つの条件について述べています。

①社会的な機会(ニーズ)がある
②企業の強みや特性に合っている
③従業員も使命として共感している

①社会的な機会(ニーズ)がある


ミッションは、社会の役に立つ機会がなければ成立しません。 社会の問題や課題を見つけ、それらが解消できるか(ニーズがあるか)を知ることが重要です。自社にとって都合の良いミッションを掲げることは「独善的だ」と厳しい評価を下されるでしょう。もちろん、社会からも必要とされないため、経営活動においても厳しい状況に立たされることでしょう。

②企業の強みや特性に合っている

社会の問題や課題を見つけることができても、それらのニーズに答えられる能力や力がなくては、ミッションを果たすことができません。そのため、ミッションを掲げるときは、会社が持っている特性や能力を理解し、社会に対して貢献できるかどうかという観点が重要です。

③従業員も使命として共感している

経営活動には失敗もあります。 ミッションは究極的な使命なので、短期的なアクションを実現する事は難しいのです。 そのため、企業のミッションが社会にもたらす価値を、全社で心の底から信じ続けられるものであるかが重要です。

優れたミッションの設定プロセス
 

 

ミッションを設定し、ステークホルダーと共有するためにミッションステートメントを行います。ミッションステートメントとは、「意見、声明」(ステートメント)、「使命」「存在意義」(ミッション)と合わせて、「組織や個人の使命を声明にして発信する」というような意味を持ちます。

①ミッションステートメント 9つの要素を分析する

ミッションステートメントでは、ミッション設定のために、下記の9要素を客観的に分析することから始めます。

【環境に関する要素 】

【自社に関する要素 】

この各要素に対して、まずはイメージすることからはじめましょう。

②自社の9つの要素を明文化する

次に、上記の9つの要素を具体的に特定していきます。

例えば下記のように特定していきます。

③組み合わせ、文章化する

各要素を組み合わせ、ストーリーとして1つにまとめられるよう文章化します。この時、自社の現状とミッションにギャップを感じる場合がありますが、それは課題として真摯に捉え、改善策を繰り返し行っていきましょう。そうすることで、次第にそのギャップが解消されていき、企業の目指すべき姿へと成長を続けることができるのです。

そして、文章としてまとまったミッションを社内外にプレスリリースやアピールの機会を設けて発信・共有を行います。

まとめ

テクノロジーの進歩により、技術革新や価値観の多様性によって目まぐるしく変化する現代において、革新的な手法に取り組むためにも、揺らぐことのないミッションの存在が重要となります。

どの時代においても、従業員と共に社会に対して果たすべき使命を、事業の根底に持つことで、企業の強みや特性を活かして社会的なニーズを解決していく商品やサービスを生み出すことができます。

今回の記事を参考に、 自社が社会に対して果たすべき使命について考えてみてはいかがでしょう。
 

WRITER

大後 裕子

C-OLING代表

生活用品メーカーで10年間企画職に従事し、企画立ち上げから海外工場との商談、販促まで商品開発のゼロから一貫して行い、多くの商品をブランディングし、リリース。 8年販売され続けるヒット商品を始め、開発商品点数累計約1,200点、約1,700店舗へ導入。ブランディングを主軸とした、経営コンサルティング、 社内教育の3つの事業を通して、多くの人の生活に豊かさを提供ができる企業を社会に増やしたいと考えています。