三成運輸株式会社

INTERVIEW

代表者名

遠藤朋之

所在地

東京都江戸川区西小岩5-18-1

設立年

1969年

事業内容

  • 運輸・物流業
  • 一般貨物輸送
  • 倉庫運営
  • サービス業
  • 廃棄物収集・運搬

コロナ禍における行動変容によって、さらなる需要の高まりをみせる宅配サービス。宅配便をはじめとしたデリバリーサービスは今や重要な社会インフラとなっている。東京都江戸川区に本社を置く三成運輸は、大手宅配企業を顧客に持つ運送会社だ。20歳代から70歳代まで幅広い年齢層のドライバーを束ねるのは、従業員への愛があふれる遠藤氏。リヤカー1台から始まった会社の歴史や今後の展望などを聞いた。

INTERVIEW

三成運輸株式会社代表取締役遠藤 朋之

私たちの「会社」BUSINESS

物流は重要な社会インフラの1つ。迅速・正確に荷物を運ぶことが私たちの使命

会社の事業内容や設立までの経緯、この分野を選んだ理由をお聞かせください。

三成運輸という名前のとおり、私たちはお客様から依頼されたものを迅速・正確に運ぶことを使命とした運送会社です。会社には小型から大型まで複数台のトラックがあり、さまざまな種類の製品を取り扱っています。また、お客様のニーズに合わせて定期便・チャーター便・フリー便などをご用意し、フォークリフトやバラ積みなどにも柔軟に対応しています。 当社の歴史は1965(昭和40)年、私の父が「遠藤運送」を立ち上げたことに始まります。最初の頃はたった1台のリヤカーを引いて、新聞などを配っていたのだと聞いています。そこから徐々に事業を拡大していって、父を筆頭に7つ年上の兄と私、親子3人で会社を切り盛りするようになりました。 遠藤運送から三成運輸へと社名を変えたのは父や兄の名前にちなんでのことで、本来であれば次男の私が入る余地はありませんでした(笑)。ところが2020年に兄が亡くなったことで、ずっと2番手だった私が先頭に立つことになったのです。とはいえ、それまでも実際に現場を仕切っていたのは自分でしたから、何かが大きく変わったということはありません。ただ、社長になったことで営業的な役割を担う必要が出てきたため、人脈づくりのためにゴルフをする機会が増えましたね(笑)。

この仕事や業界の魅力、やりがいをお聞かせください。

人間が生活している限り、運送業は決してなくならない仕事だと思います。たしかに新型コロナの拡大によってイベントの開催が次々と中止になり、モノが動かなくなり、結果として物量が減少することはありました。しかしその一方で宅配便などに代表される運送の仕事は人々の生活に根づいており、日常生活を送るうえで欠かせない存在になっています。 つまり運送業は“物流”という重要な社会インフラの一端を担っているわけで「人々の生活を支えている」という部分にやりがいがあります。当社は宅配業ではないため、個人のお客様と直接顔を合わせることはないですが、自分のした仕事には確かな手応えを感じることができます。また働けば働いたぶん収入を得られる点も、この仕事ならではの魅力だと思います。 運送業界で働くドライバーが得る収入は、運んだ荷物の量や拘束時間に比例することが一般的です。小型トラックよりは中型、大型という感じに「仕事をすればそれだけ稼げる」わけですから、体力に自信がある若い世代にはもってこいの仕事ではないでしょうか(笑)。当社もそうですが、業界的にもドライバーの高齢化が問題となっているため、ぜひ若い方々に運送の仕事へと目を向けてもらいたいですね。それぞれに異なる依頼に柔軟に対応し、大切な荷物を迅速・正確に運ぶことは、ロボットなどが代わることのできない重要な仕事なのですから。

会社の強みや主力商品の魅力をお聞かせください。

事業のメインとなるのは、大手宅配企業の物流倉庫から物流倉庫へと荷物を移動させる仕事です。荷物によっては“手積み・手降ろし”などの指示を受けるケースもあり、こういったものはまさに体力勝負です(笑)。そうした細かな要望にもきちんと応え、事故のないように安全運転を心がけ、物流を止めない・滞らせないという点においては大いに自信を持っています。 主力となる業務が倉庫間の物品運送ということもあり、ドライバーは直接お客様と触れ合うことはなく、自分たちの仕事が誰かに評価されることはほとんどありません。それでもやはり、彼らにはプライドを持って働いてほしいと考えていて、会社で所有する車両を少しずつアップデートしているんです。新しくてきれいな車に乗るようになると、みんながそれを大事にしますし、「あの車に乗りたい」と言って若い子が集まって来てくれるかもしれません(笑)。もちろん本当の狙いは他社との差別化であり、ソフト面でもハード面でもスマートでスピーディな仕事をしたいと考えています。

経営者の心に残ったエピソードEPISODE

地震発生直後に請け負った支援物資の運送。誰かの役に立てる喜びを実感しました

今まで会社を経営してきた中で、一番心に残っているエピソードをお聞かせください。

2011年3月11日、東日本大震災が発生した数日後のことです。大手宅配企業から、被災地に支援物資を届ける仕事が舞い込んだのです。突然の依頼だったためスタッフは全て出払っており、社長である私が自らハンドルを握って大型トラックを走らせたことがありました。 全面通行止めとなっていた東北道を走るのは、私のように支援物資を運ぶトラックと自衛隊の車だけ。普段は快適に走れる高速もあちこちヒビ割れていて、特に那須(栃木県)から先は道路の状態が一段とひどくなっていたことを覚えています。被災地に向かうことに恐怖感はありませんでしたが、タイヤから伝わるガタガタとした振動は今も忘れることができません。 そのときは被災直後だったこともあり、トラックの荷台いっぱいにテントと水を積んでいました。避難所になっていた文化センターに到着して、自衛隊の方に支援物資をお渡しして……無事に任務完了となったときは、とにかくホッとしましたね。被災した方と直接お会いすることはありませんでしたが「少しは役に立てたかな」と、誇らしい気分にもなりました。この最初の1回を皮切りにその後も被災地への支援は続いて、最終的に会社全体で10台ほどのトラックを走らせました。

私たちの「ビジョン」VISION

業界全体の若返りが急務。若い力を結集し、人々の暮らしをより快適に

あなたの会社の仕事で、どのような社会を実現していきたいですか?

物流という社会インフラをしっかりと支えることによって、人々の暮らしをより快適なものにしていく……という感じでしょうか。具体的な目標としては、いま会社で所有している車両を倍くらいにまで増やせたらいいですね。そのために、会社としても業界としても、若い世代の方たちにたくさん集まってほしいと思っています。 当社は現在80名ほどのドライバーを抱えていますが、そのうち20~30歳代は1割いるかどうかという状況です。ドライバーの高齢化は運送業界全体が抱える悩みですから、若い世代に向けて積極的にアプローチしていく必要があると思っています。ドライバーは独り立ちできればやる気次第で収入を増やすことができ、協調性や個々の性格といった部分が問われることはほぼありません。ガッツがあってたくさん稼ぎたいという若者がいたら、ぜひ私たちの仲間になってほしいですね。

私たちの「SDGs」SDGs

共に働く大切な仲間だから、世代を問わずできるだけ長く仕事をしてほしい

SDGsの取り組みについてお聞かせください。

SDGsと言ってもよく分からないのですが(笑)環境のためという部分では段ボールのリサイクルをしていたり、地域の中では少年野球のコーチを請け負ったりしています。また、会社としての取り組みとしては年2回の健康診断の実施のほか、ドライバーの適性があれば男女を問わず仕事をしてもらうようにしています。 運送の仕事は営業職などと違って、若い頃に収入のピークが訪れることが一般的です。自分が運んだ荷物の量や働いた時間がそのまま収入に結びつきますから、体力や気力が充実している若い世代のほうが有利といえるのです。一方で年齢を重ねていくと運転するトラックが徐々に小さくなっていったり、最終的にトラックを降りなければならなかったりします。そうした場合、当社ではいきなり契約を解除するのではなく、小型トラックの運転や24時間営業の事務所の夜勤業務を提案するようにしています。“雇用の創出”と言ったら少々大げさですけれど、自分の会社に関わってくれた人はできるだけ長く面倒を見たいという気持ちがありますね。

私たちの「チーム作り」TEAM

マンツーマンの指導や免許取得サポート、プライベートな相談もOK!

スタッフの成長をサポートする取り組み、能力を引き出すために工夫していることをお聞かせください。

ドライバーの収入は仕事量に比例しますから、たとえば2tトラックよりも4tトラックを運転できたほうが稼ぎは多くなります。そのため、当社では一人ひとりの適性を見極め、ステップアップしたいという人をきちんとサポートできるようにしています。一般に、大型免許を取得するには20~30万円ほど必要になるものですが、その費用を会社で全額負担しています。 一方で、運送の仕事は初めてという場合は先輩ドライバーが同乗して、独り立ちできると判断するまで親身になって指導しています。最初は先輩の仕事ぶりを見てもらい、実際に動いてもらって。一人ひとりのペースに合わせてステップアップしていくため、研修期間は1週間で終わることもあれば1か月かかることもあります。それでも必ず、何らかの形で活躍してもらえる場所をつくることを第一に考え、一人ひとりに合った人材育成を行っているつもりです。 それと、仕事に直接関係ないことではありますが、社員の誕生日には毎年お米を贈っています。先代からずっと続いていることなのですが、社員本人だけではなく、社員のご家族にも喜んでもらっているようですね。

もしも自分自身が会社の社員だったら、会社に期待することは何ですか?

自分がドライバーとして働いていると想像しても、特に会社への不満などは見当たらないですね。一般的な会社に勤めていれば「お休みが欲しい」といった希望もあるのでしょうが、私たちの仕事は休んだらそれだけ収入が下がってしまいますからね。反対に体が丈夫でコツコツ頑張ることができれば十分な稼ぎを得られますから、しっかりと蓄えて独立を果たしたドライバーもいました。 会社の福利厚生制度というわけではないですが、過去には収入が安定せずに「車のローンが組めない」というときに貸付けを行ったり、家族が増えたドライバーの住み替えを斡旋したりといったことがありました。運送業ですからドライバーは個々で動いているわけですが、やはりご縁があって当社の仲間になってくれた大切な社員であることに変わりはありません。私としては、彼らに困っていることがあるなら「何とかしてあげたい」という気持ちでいますから、ライフステージに変化があったり悩んでいることがあったりしたら遠慮なく相談してほしいと思っています。

最後に、スタッフに向けた感謝の言葉や社外に向けたメッセージをお願いします。

ドライバーたちにはよく「事故を起こさないように」といった声かけをしています。運送の仕事は穴を開けないように体調を整えることはもちろん、事故なく安全に荷物を運ぶことが一番大事ですからね。会社のために日々頑張ってくれているドライバーたちに対しては「ありがとう」という言葉しか思い浮かびません。ですから今後もよりいっそう満足してもらえるように、労働環境の向上に努めたいと思っています。バリバリ働いている若い世代や夜勤業務を担うベテラン世代など、みんなの力を合わせて会社を発展させていきたいですね。

三成運輸株式会社代表取締役遠藤 朋之

出身地
東京都
趣味
ハーレーで神社巡り
好きな本
思考は現実化する
好きな言葉
この道を行けばどうなるものか、危ぶむなかれ、危ぶめば、道は無し、踏み出せば、その一足が道となり、その一足が道となる、迷わずいけよ、行けばわかるさ!元気ですかダー!
好きな場所
水辺