理想の会社|中小企業の経営者から学ぶ組織づくりと仕事術

株式会社パッシオーナ

INTERVIEW

代表者名

酒井惠光

所在地

東京都千代田区九段南4-7-22 メゾン・ド・シャルー6F

設立年

2007年

事業内容

  • コンサルティング業
  • 医療系コンサルティング
  • IT業
  • Web制作

日本ではコンビニの数よりも多く存在するといわれる歯科クリニック。新規オープン時に地域住民に向けて行う“内覧会”は絶好のPRの場となっている。今や開催必須となったPRイベントを中心に、各種ツール制作を一貫して請け負うのがパッシオーナだ。イタリア語で繁栄(Pasciona)を意味する会社を率いるのは、女性ならではのしなやかな視点をもつ酒井氏。クライアントを含めて社会全体の繁栄を目指す酒井氏に、その熱い想いを聞いた。

INTERVIEW

株式会社パッシオーナ代表取締役酒井惠光

私たちの「会社」BUSINESS

新規オープンのクリニックをお披露目する“内覧会”を一貫して請け負います

御社の事業内容や設立までの経緯、この分野を選んだ理由をお聞かせください。

当社のメイン事業である“内覧会”は、開業を控えた歯科医師の先生方をサポートさせていただきながら、新たにクリニックが誕生する町にお住まいの方々に良質な医療情報をご提供するものです。準備期間を経て本番となる“内覧会”の日を迎えたとき、院長先生やスタッフの方々、未来の患者さんとなる町の方々の反応をダイレクトに感じられることが何よりのモチベーションになっています。 私は短大卒業後に事務職として就職し、まさか自分が起業することなど考えてもみませんでした。ただこれまでを振り返ってみると人生においてさまざまな決断をし、その時々に自分にとってベストな道を選んできたという感じがします。結婚を機に勤めていた会社を辞めた後は、出産を経て子育てに専念していた時期がありました。その後、離婚をして息子を1人で育てていくことになり、「何か手に職を」との想いでデザイン学校に通い始めたことが転機になりました。 デザインの知識を生かそうと考え、再就職先に選んだのは印刷会社でした。その後HPなどを制作するベンチャー企業に転職し、まだ小さな息子を母に見てもらいながら仕事をしていました。ところがあるとき母が病気になり、誰にも頼れない状況になってしまって……。自分のペースで仕事したいとの思いで独立し、フリーのディレクターとして活動するようになったのです。(株)パッシオーナを立ち上げたのは、独立からわずか半年後のことでした。HPを制作する過程ではさまざまな職種の方と連携する必要があり、個人事業主のままでは不都合なことが多かったためです。当初は自宅兼オフィスといった感じでのスタートでしたが、スタッフが1人また1人と増え、今では総勢30人ほどの会社に成長しました。

この仕事や業界の魅力、やりがいなどをお聞かせください。

事業の柱となる内覧会は、実際にクリニックがオープンする前に地域の方々に対して行う“お披露目会”のようなものです。新たに開業する先生方は初期投資として大きな金額を負担なさっていますから、安定した集患によりできるだけ早く資金を回収したいとお考えになります。そのため、新しいクリニックを広く知っていただくことにより“開院日から予約枠が埋まっている”という状況を作り出すことが大事になるのです。 以前から長く手がけていたHP制作やチラシづくりのノウハウ、さらに女性ならではの視点を生かして開催する内覧会は、来場者がそのまま患者さんになってくださる可能性があります。私たちが配ったチラシを見て来てくださった方、HPを見たと言ってくださる方……地域の方々の反応を目の当たりにできることは楽しくてやりがいがあるものです。そして何よりも、院長先生に来場者数をお伝えしたり予約の件数をご報告したりしたとき、ほっと安心したような笑顔を見せてくださることが嬉しくて(笑)。「パッシオーナさんにお願いしてよかったです」と言っていただけると疲れが一気に吹き飛んで、頑張ってきてよかったなと思います。

会社の強みや主力商品の魅力をお聞かせください。

当社では内覧会の開催に向けたディレクション業務に加えてHP制作、チラシやリーフレットといった各種ツールの制作までトータルにお引き受けすることができます。クリニック開業にまつわる細々したことは全部パッシオーナさんに任せておこう……そんな風に思っていただける体制を整えていることが強みです。 私たちが一連の作業を一手に引き受けることによって各種広告の効果を最大限に生かすことが期待できます。当社では開業までの3~4ヶ月分の進行管理を“丸投げ”していただいて、こちらが主導権を握ってツールの制作などを進めています。たとえば、新規オープンのチラシを配る日にHPが公開されていないようでは広告効果が半減してしまいますからね。「この部分は○日までにください」「○日までにこれを決めてください」といった感じにコミュニケーションを取りながら、最高の条件のもとで内覧会の日を迎えられるようにしています。また私たちが全ての工程を請け負うことで、院長先生に本来の業務に専念していただけるという点もメリットといえます。開院前の院長先生は目が回るほどお忙しいですからね。1つの業者と打ち合わせをして物事がどんどん前に進めば、気持ち的にも少しは楽になっていただけるのではないでしょうか。 もう1つの強みとして、内覧会を女性スタッフのみで運営していることが挙げられるでしょう。女性ならではの視点を生かして、地域の方々に喜んでいただけるよう内覧会を開催しています。中でもターゲットとなるのはお子さんで、ママさんたちがSNSに写真をアップしてくれることも期待して企画を考えます。たとえば“スーパーボールすい”であったり、歯ブラシを持って白衣姿で記念撮影ができる“歯医者さんなりきりコーナー”であったり。お子さんたちがクリニックを気に入ってくれれば、学校健診で要治療の紙をもらってきたり、歯並びが気になったりしたときに「あの歯医者さんに行ってみよう」となりますからね(笑)。歯科医院を受診する最初のきっかけは“子ども”であることが多いですから、子育て中のママさんたちを意識した内容にすることを心がけています。

経営者の心に残ったエピソードEPISODE

雪の中でチラシ配り、台風直撃に真っ青。予測不能の内覧会はいつもバタバタの連続!

今まで会社を経営してきた中で、心に強く残っているエピソードをお聞かせください。

これまで担当してきたお仕事の中で圧倒的に多いのは“よい思い出”です。ただし、心に残るエピソードという意味では大変だったことのほうが印象深い気がします。まず思い浮かぶのは、雪が降るなかで行った新潟県の内覧会です。新潟の方は雪に慣れていらっしゃいますから、雪が降っているから外出しないですとか、イベントを中止にするといった考えがないんですね。この事実は私にとってカルチャーショックでした(笑)。雪が降りしきるなかでチラシを配り、道行く人にお声かけをして……それは大変な思いをしましたけれど、最終的に院長先生に喜んでいただけたのでよかったです。 新潟のエピソードはほんの一例で、私たちの仕事は天候に左右されることが本当に多いです。大きな台風が近付いているときは内覧会の前日から近くのホテルに泊まって現場に行きますし、台風のために“行くことも・帰ることもできない”といったケースが何度もありました(笑)。暴風雨で通りには誰も歩いておらず、院長先生以下スタッフみんながすっかり諦めムードになったこともありましたね。こうした自然災害や交通機関のアクシデント、スタッフの体調不良といったものは予測不能ですが、その時々の状況に合わせて臨機応変に対応できることは私たちの強みであるとも言えます。

私たちの「ビジョン」VISION

歯科医院には集患、住民には良質な医療情報。歯医者さんと患者さんの橋渡しが使命

御社の事業を通して、どのような社会を実現していきたいですか?

私たちが手がける内覧会を通して日本中が元気な人で一杯になれば、きっと笑顔があふれる社会になると期待しています。そのためにも歯科医院を受診することが“普通のこと”として受け入れられるとよいなと思っています。一般に、歯医者さんという所は自ら進んで行きたい場所ではありませんよね。“予防”が叫ばれるなかにあっても、痛みなどの症状があってはじめて歯科医院を受診する方がほとんどです。これには忙しい・時間がないといった理由もあるのだと思いますが、それ以上に「痛そう」ですとか「冷たい感じがする」といったマイナスイメージが大きく影響しているのではないでしょうか。私たちが手がける内覧会は、歯医者さんと患者さんの橋渡し的な役割を担います。クリニック側からすると“集患”が大きな目的となりますが、患者さん側からすればクリニックの様子がよく分かって“受診のハードルが下がる”ことにつながるでしょう。 歯科医療はここ何年かで目覚ましい進歩を遂げていて、これまで抜かなければならなかった歯も残せる可能性が出てきました。また、お口の健康が全身の健康に影響を及ぼすことが分かってきたことで、従来の治療から予防、さらに健康維持・増進へとシフトしている先生方も少なくありません。内覧会でこうした歯科医療のトレンドを知っていただくことができれば多くの人の予防意識が高まり、歯医者さんに通うことが“普通のこと”になるのではないでしょうか。定期的にお口の中をクリーニングしていればむし歯や歯周病にならず、体も健康で楽しく過ごせます。日本の幸せな未来のためにも、クリニックと患者さんをつなぐ質の高い内覧会を開催しなければいけないなと思っています。 新たに開業される院長先生が私たちにもっとも期待することは、開業日からの安定した集患です。初日から予約枠が埋まっているという状況は院長先生に精神的な安定・安心をもたらしますので、綿密な戦略やスケジュール管理のもとで効果的な内覧会を実現する必要があるのです。 一方で、私たちができることは内覧会を成功させることだけではありません。効果的なツール制作・配布はもちろんのこと、これまでの経験を踏まえて開業に適した立地をアドバイスすることもできます。集患を考えたとき「どこにクリニックを開くか」は非常に重要な要素であり、路地を一本入っただけでも、ビルの階数が1階違うだけでも内覧会に集まってくださる人数が変わってきます。内覧会の集客はそのまま将来の来院率につながりますので、できれば院長先生が物件選びをなさる段階から関わらせていただくのが理想です。そのためにも私たちの会社を広く知っていただけるように、目の前の1つ1つの仕事と丁寧に向き合っていかなければならないと考えています。

私たちの「SDGs」SDGs

ライフステージの変化があったとしても全ての女性が長く活躍できる社会にしたい

SDGsの取り組みについてお聞かせください。

会社の事業については、健康や福祉の面で大きな役割を果たせていると考えています。私自身がやりがいを持ち、楽しみながら仕事をしていますので、その部分はきっとスタッフたちにも伝わっていると思います。みんなが同じ目的に向かって仕事をすることで充足感を得るとともに、プライベートタイムも楽しんでくれるとよいなと思います。 社内の環境整備の面では、自分自身の経験を踏まえて“女性の働きやすさ”を大切に考えています。何よりも女性が働きやすい環境を重視しているという意味では“逆ジェンダー”と言えるかもしれません(笑)。結婚・出産・子育て、家族の介護などさまざまなライフステージの変化を乗り越え、女性がいきいきと働けるような社会を作っていきたいですね。

私たちの「チーム作り」TEAM

スタッフは内覧会の“顔”だから礼儀作法は入社後もしっかりと教育します

スタッフの成長をサポートする取り組みなどについてお聞かせください。

私たちの仕事は内覧会などで地域の方々と接する機会が多く、礼儀作法や接遇といったことがとても重要になります。当社のスタッフの印象がクリニックの印象を左右することもありますので、挨拶をはじめとした礼儀作法はかなり厳しく指導しています。入社してから私が個人的に指導することもありますし、先輩スタッフが後輩に教える場面も少なくありません。このほかメーカー主催のセミナーを活用したり、定期的に練習会のようなものを行ったりすることもあります。 スタッフたちの評価については20項目ほどの評価基準を点数化して、それぞれの評価をもとに賃金計算ができるようにしています。たとえば“挨拶”の項目では、大きな声ではっきりできていれば5段階評価の“5”が付きます(笑)。明確な基準を設けることでスタッフの意識も高まりますし、評価や賃金にも納得感が得られやすいようです。

もしも自分自身が会社の社員だったら、会社に期待することは何ですか?

すぐに思いつくのは「お給料を上げてください」ということでしょうか(笑)。一方で、長く働き続けるために必要なのはお金だけではないことも分かっています。私自身も経験がありますが、女性が子どもを育てながら働き続けるには、それに適した環境や条件が整っていなければなりません。子どもを産んでも、産休を取った後でも、もう一度職場に復帰することができる……子育て中の私が願った環境は今、当社の女性スタッフたちに提供しているつもりです。 今現在、社内には産休に入っているスタッフがいるほか、テレワークとして自宅で仕事をしているスタッフもいます。また当社では、休業前に営業職だったスタッフが復帰後にテレワークを選べる職種に転向してもよいことになっています。今はいろいろな働き方ができる時代ですから、スタッフたちの“働きやすさ”を大事にしてくれる会社が一番喜ばれるのではないかと思っています。

最後に、スタッフに向けた感謝の言葉や社外に向けたメッセージをお願いします。

スタッフたちはみんな本当に頑張ってくれていますから、それぞれの状況をきちんと把握して評価につなげるようにしています。毎日頑張っているスタッフたちの姿を見ていると「一緒に頑張ってくれてありがとう」という気持ちでいっぱいになりますね。 スタッフ1人1人に対して感謝の言葉を伝えたい気持ちはあるのですが、あえて言葉をかけないこともあるんです。頑張り過ぎている人や無理をしている人がいることも分かっているのですが、頑張らないといけない時期があることも事実ですから。時には心を鬼にして(笑)スタッフの成長を見守っていることもあります。ただし「心の奥底ではいつも感謝しているよ」と、それだけは分かってもらえたら嬉しいですね。 ※上記記事は2022年8月に取材したものです。時間の経過による変化があることをご了承ください。

株式会社パッシオーナ代表取締役酒井惠光

出身地
東京都
趣味・特技
歌/テニス
好きな本
斎藤一人さん
好きな映画
ミュージカル映画
好きな言葉・座右の銘
何事も楽しく!
好きな音楽
ロック
好きな場所・観光地
島/青い海