週休3日時代に突入か? 導入するメリットや気になるポイントを解説

2022-10-19

大後 ひろ子

C-OLING代表 ブランディングコンサルタント

労務勤務管理

楽しい週末を過ごした日曜日の夜、「明日も休みならいいのになぁ…」と思ったことがある人は多いはず。かつては夢のまた夢と思えた「週休3日制」ですが、ここに来ていよいよ現実味を帯びてきました。こちらの記事では週休3日制の基本的な知識やメリット・デメリットなどをわかりやすく解説します。多様な働き方が求められている今、あなたの会社でも制度の導入を検討してみてはいかがでしょうか?

そもそも、週休3日制とは?

週休3日制とはその名のとおり、1週間あたりの休日を3日(週休3日)とする制度です。日本では多くの企業が「週休2日制」や「完全週休2日制」を導入するなか、さらに休みを1日増やすことにより多様な働き方に対応できると考えられています。

週休3日制が注目を集めるのはなぜ?

多様な働き方が認められる社会でなくては、子育てや介護をはじめとした「生活」と「仕事」を両立させることはできません。政府においてもワークライフバランスを重視し、週休3日制の導入の検討が進められています。

週休3日制の導入で時間的な余裕ができれば、休日を利用して副業をはじめることもできるでしょう。政府は都市部から地方都市への人流が生まれることを予測しており、国として交通費や滞在費を負担する案が浮上しています。

選択的週休3日制

選択的週休3日制は、1週間に3日の休日を希望する人が制限なく週休3日で働けるようにするもので、政府内で検討が進んでいます。選択的週休3日制が導入されれば、週休2日制の会社に勤めている人も週休3日を選択できるようになります。

週休3日制は休日が増える反面、その分の給与が削減される可能性があるため、導入に反対する従業員が出てくることも予想されます。しかし、選択的週休3日制は従業員が希望する・希望しないを選択できる点がメリットであり、個人の考え方や家庭の事情に合わせて休みの日数を選べる制度です。

週休3日制のメリット

週休3日で仕事をすることにより、従業員は時間的な余裕ができプライベートの充実が図れるでしょう。従業員のモチベーションがアップすれば、会社にもさまざまなメリットがもたらされます。

多様な働き方に対応

1週間の休日が3日に増えることにより、育児や介護などのライフスタイルに合わせた働き方が可能になります。また、単身赴任者や副業をしている人は週末の土・日曜日に加えて金曜日(または月曜日)を休日にすることで長時間に及ぶ移動にも対応できるでしょう。

従業員のモチベーションアップ

1週間に3日の休日ができれば、連休を利用して旅行に出かけたり、趣味に没頭したりして心身ともにリフレッシュできるでしょう。プライベートが充実すれば従業員のやる気がアップし、生産性向上も期待できます。

優秀な人材の確保

週休3日制をはじめとした多様な働き方を認めている会社は、労働者にとって魅力的に感じられることでしょう。週休3日制は採用活動においてもプラスになるほか、子育てや介護を理由に退職する従業員も少なくなるでしょう。

週休3日制のデメリット

1週間の休日が3日となることで労使双方へのメリットが期待できる一方、週休3日制を疑問視する意見もないわけではありません。

コミュニケーション不足

土曜日・日曜日に加えて休日がもう1日増えることにより、1日あたりの出勤者数が少なくなることが予想されます。直接顔を合わせてコミュニケーションを取る機会が減ることで、思わぬミスや業務効率の低下が懸念されます。

業務スケジュールの遅延

休日の増加はそのまま勤務時間の減少につながり、仕事に遅れが出る可能性が大きくなります。短くなった勤務時間中で従来通り業務を進行するには、さまざまな工夫が必要になるでしょう。

勤怠管理の複雑化

選択的週休3日制を導入する場合は、従業員の中に「週休2日で働く人」と「週休3日で働く人」が混在することになります。会社としては従業員の休暇管理が煩雑になるほか、給与や待遇面をどうするかなど、さまざまな課題を解決する必要があります。

給与・社会保険の支払いはどうなる?

週休3日で働くことによって給与が減額されると、社会保障や年金にも影響が出てきます。

給与

週休3日で働く従業員の給与については、導入した企業ごとに対応が異なります。
A社の場合:勤務日の勤務時間を延長し、休日分の勤務時間に充てる(週休2日と同一賃金)
B社の場合:週休2日を100%としたとき、週休3日は80%、週休4日は60%

社会保険

週休3日による給与の減額は、年金や社会保険の支払い・給付にも影響を及ぼします。特に、健康保険をはじめとした社会保険料は「標準報酬月額」をベースに支払い額が決まります。標準報酬月額の等級が下がれば毎月の保険料負担は軽くなりますが、将来受け取れる給付金が少なくなってしまう恐れがあります。

週休3日時代を見据えて、社内環境を見直してみよう!

働く人の立場で考えれば、1週間に3日も休みが取れるのは嬉しいことかもしれません。従業員がリフレッシュして仕事に取り組むようになれば、会社にとっても大いにメリットがある一方、週休3日制には少なからずデメリットもあります。制度の導入にあたっては会社の状況を適切に把握し、自社に合ったルールづくりを進めましょう。
 

WRITER

大場由佳

取材対象者の想いを伝えるWebライター

証券会社勤務を経て、印刷会社にてグラフィックデザインを学ぶ。キャリアップを目指した広告代理店では、企画・デザイン・ライティング・ディレクション業務などを幅広く手がける。出産を機にフリーライターとして活動をスタート。医療・グルメ・女性・スクール系など幅広いジャンルのWebサイトで記事を執筆し店舗取材を多数経験。取材時に寄せられる労務問題に対応する中で知識を深め、読みやすく・分かりやすい文章で発信中。