クレドとは?導入する目的とメリット、注意点、導入ステップをご紹介

2022-11-28

大後 ひろ子

C-OLING代表 ブランディングコンサルタント

採用その他

クレドとは

「クレド」とは、企業の行動指針や文化、仕事の基準となる価値観などを具体的に定めた内容のことです。
近年、企業は従業員の行動指針や企業の一員として心がけて欲しい信条などを「クレド」として示すことで、従業員の意識改革や組織の環境開発を行うべく、導入しています。
しかし、クレドを企業が導入するにも人事担当の方や経営層はクレドがもたらす効果などを把握できているのでしょうか。
こちらのページでは、クレドを導入する目的とメリット、注意点などを詳しく解説していきます。

クレドが注目されたのはなぜ?

クレドが注目された背景には、残念ながら食品の産地偽装問題などを代表する、度重なる企業の不祥事が関係しています。
従業員の不祥事によるSNSでの炎上も続発し、企業は従業員のコンプライアンスの遵守や社会的責任の理解などが重要であると考えるようになりました。
しかし、企業の方向性を従業員に理解してもらうにはどのようにすればよいのでしょうか。

そこで企業が導入したのが「クレド」です。
クレドで具体的な活動方針を表すことで、従業員の意識を高め、従業員が業務上、行動や判断に困ったときにはクレドを参考にし、行動することができるようにしたのです。

企業理念やミッション、ビジョンとの違いは?

クレドに似た言葉で、「企業理念」や「ミッション」、「ビジョン」、「バリュー」という言葉がありますが、これらの言葉には以下のような違いがあります。
それぞれの言葉の違いを理解し、自社にあった「クレド」を導入してみてはいかがでしょうか。

企業理念(経営理念)

企業理念とは、企業の社会的存在意義や価値など、会社の理想像を創業者や経営層が定めたもので、具体的なクレドに反し、抽象的な考えが反映されたものといえます。

ミッション

ミッションとは、企業や従業員が果たすべき社会的な使命や任務、価値観のことを指しています。
ミッションを見れば従業員は企業の基本的な考え方や優先すべき事柄などがわかるため、仕事に取り組みやすくなります。

ビジョン

ビジョンとは、企業の将来像、進むべき方向性を表したものです。
ミッションを実現させたのちの企業の理想的な姿がビジョンであり、将来像を共有し、そこに向かうために掲げます。

バリュー

バリューとは、企業の価値や共有されている行動基準のことをいいます。
従業員は日々の業務を、バリューを基準として行動するため、バリューはより具体的な言葉と表現で掲げられます。
日々の行動の規範ともなるため、ミッションやビジョンに達するための評価・判断基準にもなります。

メリット

次に、企業がクレドを導入することでどのようなメリットがあるのか、具体的に挙げてみましょう。

コンプライアンスの遵守

メリットの一つ目に、従業員の「コンプライアンスの遵守」があります。
コンプライアンス対策を踏まえたクレドは、従業員の倫理観を統一させることができ、不祥事を防ぐためにも効果的です。

従業員のモチベーション向上

メリットの二つ目は、従業員のモチベーションアップです。
クレドによって従業員の行動基準が定まり、クレドに沿って行動することで従業員は自信をもって業務に臨めます。

従業員の成長と人材育成

メリットの三つ目は、従業員の成長と人材育成です。
企業の指針を具体的に示しているクレドは、従業員にとって実践しやすいものであり、従業員の成長や意識の改革を促すものとなるでしょう。
また、現場にいても従業員は企業の指針に沿った判断を自ら考えて行動できるため、人材の育成へと繋げることができるでしょう。

クレド導入の際の注意点

クレドを導入する際には従業員にアンケートを取り、さまざまな意見や考え方、アイデアを取り入れて、土台作りから始めるのが基本です。
クレドは企業の従業員の行動指針を示したものであるため、経営者や経営者層の独断で決めてしまっては、従業員の価値観は反映されず、従業員にとってもすんなりと受け入れられず、従業員間に浸透することもないでしょう。
導入の際には、従業員全員に受け入れられ、浸透することを熟慮した上で作成しましょう。

クレド導入ステップ

最後に、クレド導入のために必要なステップを順にご紹介していきましょう。

代表選出

幅広い従業員の意見を聞くために、さまざまな部署や役職からクレド作成の代表を選出しましょう。
この際、代表となるメンバーは、偏りがないように気を付けてください。
メンバーが決まったらクレドを作成する目的を共有し、会社の理念などから理想の従業員像などを話し合っていきましょう。

経営層へのヒアリング調査

経営層の考えや方針、理念をヒアリングします。
クレドと企業理念は切っても切れない関係にあり、経営層の意見は必須です。
企業としての想いや理想、目標などを反映するためにも、クレド作成会議の場には企業の代表である経営者も参加することが望ましいです。

従業員へのヒアリング調査

クレドを実践する全従業員へのヒアリング調査は欠かせません。
まずはクレド作成のために必要なアンケートを行い、そのヒアリング結果をクレドへと落とし込んでいきましょう。
従業員の考えや価値観が盛り込まれたクレドは、企業の指針がより明確になるだけではなく、従業員自身がクレドに対して興味・関心を抱き、実践するきっかけにもなります。

クレドの文章化

経営層や従業員からのヒアリングをまとめた内容を実際に文章化していきましょう。
文章化することによって従業員はいつでもクレドを確認できる状態になります。
難しい表現、回りくどい表現は用いらず、できるだけ具体的でわかりやすい簡潔な文章を心がけましょう。
どの従業員が読んでもイメージしやすく、実践しやすいクレドを意識することが重要です。

クレド導入の勧め
 

 

クレドの導入は企業の方向性を明確にするうえでも多くのメリットを生み出します。
従業員の行動指針が共有されれば、意識の改革もでき、組織としての環境開発にも役立つなど、企業にとっても大きな成長が望めるでしょう。
自社にとって効果的なクレドを作成し、従業員の意識と行動が統一された経営を考えてみませんか?
 

WRITER

麻生さきこ

ライター

キャリアアドバイザーとして求職者のカウンセリングや面接対策、就職セミナーなどに携わり、求職者と企業の双方の立場から就職支援、採用支援を行った経験あり。 個人事業主として開業後は、人材分野のほか、学習・教育分野、医療分野、サブカルチャー関連など幅広いジャンルでの執筆活動、インタビュー取材を多数行う。WEB媒体はもとより、広告、新聞、雑誌など紙面での記事執筆経験あり。硬軟使い分けたコラム、エッセイも得意。